ニール投手が勝ち続けられる理由
埼玉西武ライオンズのニール投手が、
昨日の試合も勝ち投手となり、なんと10連勝となりました。
なぜここまで勝ち続けられるのか
について今日は考察していきたいと思います。
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まず、ニール投手の投球スタイルについて紹介します。
以下、baseballgeeks さんの記事から抜粋です。https://www.baseballgeeks.jp/?p=7116
2018年のメジャーでの投球データを解析すると、
なんと投球割合の60%が2シーム、19%がカットボールで、ストレート(4シーム)の割合は0でした。
小さくボールを動かしゴロを量産するスタイルの投手は、日本人打者が苦手とすることが多く、
どのような投球を2019シーズンに日本で見せるか注目されていました。
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今季における球種割合などの細かい投球データなどは見つけられませんでしたが、
8/12の登板から6戦連続のQS(※)を記録し、7/10〜9/18の登板で見事10連勝を達成しました。
(※QS…クオリティー・スタートの略で、6イニング以上を投げ、かつ自責点が3以内のときに記録される。「良好な先発投手」を示す指標。)
現在は、11勝1敗、防御率2.96という成績を残しています。
直近の9/18のオリックス戦は、8回無失点でしたが、
なんと15個の内野ゴロと2個の併殺でアウトを重ねました。
9/11のソフトバンク戦は、7回1失点で、10個の内野ゴロと2個の併殺、
9/3のオリックス戦は、6・1/3回1失点、11個の内野ゴロと1個の併殺と、
2シームとカットボール、そしてチェンジアップを丁寧にゾーンに集め、アウトの大半をゴロで奪っています。
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ゴロアウト率を調べてみると、61.0%であり、
これは両リーグ通じて4位の数字でした。
(これは8/20時点での数字なので、もう少し割合も順位も上がっているかもしれません。)
なお、ゴロ率のランキングは以下の通りでした。
↓参考
ここで際立つのは、
阪神タイガースの投手陣が上位を占めていることです。
では、ここからは少し着眼点を変えて話を進めていきます。
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ゴロアウトを量産しているライオンズのニール投手が現在勝ち続けているということは、
タイガースのゴロアウトランキング上位者も勝ちを積み重ねているのでは、と考えましたが実態は以下の通りでした。
岩田 …3勝4敗
青柳 …8勝9敗
ガルシア…3勝8敗
高橋遥 …3勝8敗
なぜこのような差が生まれるのかを考えてみます。
ゴロが多いということは、それだけ内野の守備力が求められます。
特に併殺では二遊間のどちらかあるいは両者が必ず絡みますし、一塁手・三塁手と比べても担う守備範囲やプレーの幅はとても大きいです。
よって、「二遊間の守備力」がチームの失点に大きく関わってくると考えられます。
そこで今回、タイガースとライオンズの二遊間の守備力について調べました。
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まずは、両チームの二遊間の失策数です。
〈失策数 (9/18時点)〉
【ライオンズ】
外崎 … 15
源田 … 8
合計 … 23
【タイガース】
糸原 … 6
木浪 … 14
合計 … 20
↑参考
http://www.baseball-lab.jp/
失策数を比較したところ両者に大きな差はありませんでした。
むしろライオンズのほうが二遊間のエラーの数は多かったのです。
しかし、ここで別の守備指標であるUZRを見てみると大きな差がありました。
(UZRについては後述します。)
〈UZR (9/18時点)〉
【ライオンズ】
外崎 … +7.9
源田 … +23.0
【タイガース】
糸原 … −6.4
木浪 … −11.6
↑参考
https://1point02.jp/op/gnav/leaders/pl/pfs_advanced.aspx?sn=2019&lg=1&tm=1961001&ps=6&sl=1&sr=0&pn=-1
では、UZRとは何なのでしょうか。
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UZR(アルティメット・ゾーン・レーティング)
とは、守備評価項目の一つで、
「リーグにおける同じ守備位置の平均的な選手が守る場合に比べて、守備でどれだけの失点を防いだか」
を表す指標とされています。
要するに、失策数だけで守備力を査定するのではなく、
打球の処理難易度や、守備範囲、併殺奪取能力、肩の強さなども考慮した上で算出される数字となっているため、
真の守備力を評価できると言われています。
詳しい算出方法は難解のため、省略しますが詳しくはこちらをご覧ください。↓
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%A1%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%BE%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0
リンクによると、評価基準は以下とされています。
ゴールドグラブ級 +15
優秀 +10
平均以上 +5
平均 0
平均以下 -5
悪い -10
非常に悪い -15
では、ここで先程のUZRをもう一度見てみましょう。
【ライオンズ】
外崎 … +7.9
源田 … +23.0
【タイガース】
糸原 … −6.4
木浪 … −11.6
UZRの数値によれば、
両チームにおける二遊間の守備力に圧倒的な差があると言えます。
この指標だけで判断することが正しいとは言えませんし、
もちろんホーム球場としている内野が人工芝なのか・土なのか、という点も大きく影響しているかもしれません。
しかしながら、実際に同じゴロピッチャーでもここまで成績に差が開くということも事実です。
当然ながらゴロアウトの割合だけで投手の良し悪しを判断することも短絡的であり、
様々な要素が絡んだ上で今の成績になっていると思いますので注意は必要です。
昨今はありとあらゆるデータを収集できるために、
スカウティングの際にも様々な数字を使って選手の能力を判断しているはずです。
今回のニール投手の成功例に追随し、
ゴロアウト率が高いから日本で活躍できるかも!
と安易に結論づけるのではなく、
新たに投手を獲得する際には、
自チーム二遊間のUZRを考慮した上で、ゴロボールピッチャーが適合するかを見極める必要があるかもしれません。
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長々と述べてきましたが
今日の話をまとめると、
#源田たまらん
以上です。
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追記:
当たり前ですが、糸原選手も、木浪選手も私より数万倍の守備力を誇ります。
タイガースおよび特定の選手を悪く言うつもりは1ミリもありませんのでご理解ください!
なお2013年シーズンは、
鳥谷選手が遊撃手でUZR +20.0を叩き出し、この年はレギュラーシーズン2位となっています。
計算が難しいですが、ぜひUZRという指標にも注目してみてください!
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