【8914】エリアリンク 2021年12月期 第2四半期 決算分析 と 適正株価算出
適正株価:2210 = 基準PER17*確約EPS130
実際株価:1338
割安率:39%
良い情報の多い決算でした。
着眼点1:ストレージ稼働率が上昇
稼働率は前年同期比5.31pt増の83.39%、過去10年の最高値
出店:2021年12月期 第2四半期 決算説明資料 p.5
肌感覚として80%から上になってくると、ぐぐーんと利益が増えるかな?83%は、かなーり良い感じ。
今後、出店ペース等々で下がったりもするだろう。その時に焦らないように「平熱36.5℃」と同じような「問題ない程度の肌感覚」を身につけたいところ。
まだまだ上がるものなのか、上がりすぎなのか、経営的にやりやすい水準はどの程度なのか知っておいた方がいいんだろう(が、できてない)。
着眼点2:底地、すごくいい。不安がなくなってきた。
エリアリンクの割安が是正されない一因は、「BSに積み上がる底地在庫が嫌われている」と考えています。
底地ビジネスをやる以上、BSに40億、60億、80億と、どんどん底地が積み上がってゆく。
「株主の大切なお金」を「価値がよく分からん権利」に変えて、抱えるわけなので、株主の気分は全然良くないです。
BSの何十億という在庫を見るたびに「これ、僕が持ってることになってる資産なんだよね、、、本当に価値あるんかいな」って毎回思ってしまいます。
で、第2四半期の底地。
在庫額は3,311百万円(前期末比△955百万円)
・厳選仕入を徹底、在庫は減少
出店:2021年12月期 第2四半期 決算説明資料 p.11
順調に、BSの在庫はけてますね。
自分の金だと思って想像してみてください。「9.5億で買った、よー分からん権利」が、しっかり売れてキャッシュに変わったんですよ。しかも利益も出た。「ふーっ」自分の金だったら、脱力してヘナヘナになってます。
どうしてもBSに残るのは仕方ない。「BSに30億程度は残る」「これを回転させて儲けてゆく」。このレベルなら一旦のゴールと言って良いのではないでしょうか。
さらに!利益も順調に出てますね。
投げ売り期を終えて、素早いキャッシュ化ができている裏付け数字も出てきました。決算説明資料に「理想的にはこうしたい」と書いてあるが数字が伴ってないのはダメです。ここは重要です。
四半期単体の底地ビジネスの事業利益と利益率
2021/12 2Q:2.5億(19%)
2021/12 1Q:1.3億(16%)
2020/12 4Q:-0億(-%)※底地投げ売り期
2020/12 3Q:1.1億(9%)※底地投げ売り期
2020/12 2Q:1.8億(15%)
2020/12 1Q:6.0億(26%)
2019/12:13.4億(25%)
この2021/12 2Qの数字が、「新方針の底地ビジネスが完成した上での数字」なのか「過去の負の在庫圧縮も含んだ数字」なのか不明ですが、この時点で既に私としては納得の利益規模と利益率です。ここからさらに成熟するなら尚良し。
エリアリンクが投資家に約束したのは
四半期ごとに上下もあるが、トータル年間5億の底地事業利益
です。
在庫の圧縮を含んだ1Q実績ペースでも合格。2Qは約束ペースの倍。
当然、底地は水物ビジネスなので、ストレージと違って「四半期ど安定に結果が出る」ことはないですが、業務サイクルの成熟途上にあるにもかかわらず、こんな感じで余裕で数字が出せている。
今回の第2四半期決算で、ついに私も確信が持てました。
エリアリンクの底地ビジネスは、今後安定的に年間5億の利益は約束できる。
・しっかりと在庫が減少。新方式への移行が順調であることを感じ取れた。今後は、直近の業績ペースとBSバランスを保って安定的に回ってゆくのだと信じられた。
・成熟途上にもかかわらず利益(1Q1.3億、2Q2.5億)は既に十分出ている。
・納得できる利益率、これは続けるべき良いビジネス。
・今後、相続問題は拡大傾向。底地ビジネスには何年も続く「大河の流れ」の後押しがある。やはり良いビジネス。
うーん、ストレージだけで買いなのに…。話が出来すぎている感もある。
これにより、エリアリンクの確約営業利益を29億に上方修正します。
ストックビジネス利益分:37億(ストレージ4*8.5億、その他3億)
全社経費分:13億
(「累積事業粗利益ー全社経費=2億/月」という会社発表と一致!)
+
底地ビジネス分:5億
以前の確約営業利益に対する考察は以下。
着眼点3:ストレージの買い戻しが若干できている。
買戻損失引当金ですが、前年度の決算あたりからリスクシナリオから消しています。特段問題なしの判断。
今回、買戻損失引当金の目的使用が2.9億出ていますが、これもプラス情報だと捉えます。
引当金が使用されているのは高値で買わされたわけですが、キャッシュの問題が小さくなった今となれば「むしろぜひ買わせてくれ」って感じですね。成長のブースターに確実になっている。ちょっと甘めの値段でも買えるなら買ってほしい。
着眼点4:ストレージミニの強みが自分にも分かってきた。
今回、一番良かった部分です。
下記、インテンドした引用部分は、あくまで私が決算説明動画から聞き取ったメモです。正確性はありません。
ストレージミニとは
・地方の5万都市、10万都市に出す
・30室だと1年しない内に損分点を超える。稼働率70%を超える。
・「地方は衰退」というイメージがあるが、減ると言っても30室が埋まる程度に人は、いる。
・やってみたら成功した。山口の郊外、佐久あたりでも90%で回る。
・「自宅から近い」というのは、非常にニーズが強い。
・女性、高齢者、富裕層は、コンテナを借りない。空調、安全、エレベータ付きを求める。コンテナの1.5倍の賃料(でも借りる)。
のページの解説なのですが、字面よりも実感を持って理解できました。
そして!ここからが価値ある情報でした。
p.30にたった一行で書いてある
地方は屋内型トランクルームの競合が少なく、未開拓市場としてチャンスが大きい
このメッセージの真意がわかりました。
下記、引用部分は、私が決算説明動画から聞き取ったメモです。
・ストレージビジネスをやっている、例えば(…と言いかけて止める)大きい会社というのは室内型、ファンド系ということになる。(筆者解釈:ファンド化して売却するビジネスモデルとなっている。)
はい。直球でキュラーズ、ライゼボックスあたりを指していますね。
・すると、どうしてもヘーベルや鉄骨造になる。すると、どうしても大型になる。すると、損分点を超えるのに2〜3年かかる。
・(こういうビジネスモデルであると)同じような立地に出店が集中する。お互いに食い合ってしまう。
ストレージをファンド化してゆくビジネスは、金に目が眩んだ有象無象の新興企業がたくさん出てきてやりそうですよね。んで、条件が限定されるために立地が限定されてレッドオーシャン化して大変なことになると。
そうですね。ホントそう思います。
これがエリアリンクがマーケットで嫌気されている一因かもしれません。もうファンドやってないけど!「またやるんでしょ」って思われているのかも。
これに対するエリアリンクの答えが「地方のストレージミニ」です。
・一方、地方に行くと、地方でそのような土地を買ってやる会社はない。(筆者解釈:ないことはないと思うが、大手の話をしていた流れから、「地方に大手ほどの強い企業はない」と言いたいのだと解釈)
・地方の不動産屋が真似しようとしても、集客力もノウハウもないから(エリアリンクに)かなわない。
ファンド化して販売しようとすると、「地方で」「木造小型の物件で」という売り込み方はできない。ストレージをファンド化して販売するライバル企業達は、そもそもビジネスモデルとして地方に展開できない構造だよね。と言いたいのだと解釈しました。
そして、地方でエリアリンクレベルのノウハウでストレージをやれるところもないと。
・(エリアリンクの)独占場になっていく。
確かに。林社長の「コンビニ」という例えが、いまいちティンときてなかったんですが今回の動画で、ようやく私にも「ストレージミニで攻めることの重要性」が理解できました。
エリアリンクの割安が是正されない一因は、「ストレージビジネスは参入障壁が低くレッドオーシャン化しやすいから嫌われている」と考えています。
が、これについてはエリアリンクも十分わかっていて、かなり本格的な対策を立てていた。ということです。
ファンド販売系の大手がやれない、有象無象の新興ライバル会社がまねしたくても簡単に攻め込めない「ストレージミニ」に注力する。
「自宅の近くに立地する」という競争優位を作ることにもつながる。コスト競争に巻き込まれず「選ばれるストレージ」になる。
ということだったんですね。正直「自宅から近い」ってのがどれだけ重要なのかいまだに肌感覚ではわかってないんですが、数字も出たということだし、全社員でストレージ使ってみて分かってきたことなんでしょうから信じてみます。
参入障壁が低いストレージビジネスにおいて、エリアリンクは競合優位性を保つことができる。
ここに自信が持てたことは、四半期の業績より何倍も重要でした。
ここは、名著でもたびたび言及されている「堀の継続力」に関わる要素だからです。
「どうすれば、このような企業、つまり今日優れているだけでなく将来も長いこと素晴らしさが継続する企業を見つけることができるのだろうか。そのためにはまず、投資しようとしている企業に関して「何があれば、企業の縄張りに参入しようとしている賢くて資金力もあるライバル社を阻むことができるか」という一見単純に見える質問をしてみてほしい。」
—『千年投資の公理 ──売られ過ぎの優良企業を買う』パット・ドーシー著
https://a.co/aIl2kK7
もちろん、「ストレージミニが実際にニーズがあって埋まる」という結果が出なければいけません。これは来年の最大の焦点です。
適正株価の修正
必要あり。全面見直し、評価上昇。
確約EPS:130 (確約営業利益29億から概算)
毎年やっている-1億を引いて「確約経常利益28億」
*0.6で標準純利益16.8億
ざっくりとEPS130。
といったところです。最近、EPS128か?127か?とか、ホント意味ねぇなと痛感しているので、覚えやすいようにザクっと四捨五入してます。
基準PER:17 = 6+2+2+2+1+2+2+0
ビジネスモデル:+2
財務指標:+2
競合優位性:+2
業績安定性:0 → +1
成長KPI:+2(CAGR+4%級)
成長期待:+2(CAGR+4%級)
その他:0
底地ビジネスは安定した業績が出せると確信を得たので、ついに業績安定性評価を+1に上げます。+2満点は決算を重ねてからでないとダメ。でも期待できる。
成長評価は保守的ですが「営利ざっくり1億ペースで成長」という感覚。評価をこまめに下げたくないので成長は保守的に4%級評価。
適正株価:2210 = 基準PER17*確約EPS130
実際株価:1338
割安率:39%
投資判断
ホールド継続 2000株 @850
かなりの割安、好決算の期待十分。その後も成長は続く。レッドオーシャン化の懸念も薄れた。底地にも期待できる。ホールド継続。
正直、不安要素がなすぎて、売っている側の論拠が見つけられなくなってきているレベル。
が、チャートを見る限り長期目線の買いが弱い。順調に集まっているけど弱い。自分が何かを見落としているかのように。
2Q決算後から、ぐっちゃぐっちゃな値動きとなって「みんな本気の買いじゃなかったんだ」ということだけはわかりました。
ということは、出来高が上がってる期間は「うぉぉ買い!あがれあがれ!おっけガチホ!」みたいな「叫んでいる短期トレード村の人たち」が買っている状況で、「本音の株価」としては参考にならない。という仮説で見てみます。
すると
○部分が出来高減少後の安定期。乱高下で振り回されているイメージですが、振り返ると「順当にじわじわと上がっている」んですよね。
でも、直近8月中旬になっても中々、出来高が減少安定化しない。
つまり、ホルダーの多くは、短期目線で一時的に持ってるだけの人達で、その人達の買った分が抜けると本当に微々たる「ジワジワ上昇」である。
長期目線での買いは2Q決算を見たにもかかわらず、かなり入っていない、ということになる。
何らかの理由で「長く持つ気になれない」ってことでしょうね。
「底地の不安定」も「レッドオーシャン化懸念」も晴れてきた。残りは、
・不動産銘柄への徹底的な敬遠。
・MSワラント企業への徹底的な敬遠。
・昔のエリアリンクのイメージが悪い。
ま、株価はともかく企業は成長、この好決算でホールド継続に迷いはなし。今度はストレージミニの成功を期待します。
8/23追記
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