ピカピカ企業の第2要素、「競合優位性」を評価する上でのポイント
私が独自に作った企業評価のポイントを解説します。2つ目として「競合優位性」があるかを評価します。
ビジネスモデルが魅力的であれば、本来多数の新規参入が発生します。それでも大丈夫か?というチェックが必要です。
①ビジネスモデルの魅力
②競合優位性
と分けて評価することが重要です。この2つを兼ね備えない時があるからです。
例えば、儲かるネットサービスに参入した企業の大半が①〇②×となります。魅力的なビジネスモデルは、挑戦者が多数発生します。
逆に吉野家などは①×②〇です。業界トップ企業でも買えない銘柄は沢山あります。そもそもビジネスとして投資に値しない、というものです。
1.トップ企業、最大手企業
シンプルに、トップシェア・トップ企業という「事実」で評価できることがベストです。明確にトップ企業であれば+2です。
「記号で言えば「◎」「5つ星」「S」が+2、「◯」「合格」が+1。」と共通評価原則で書きましたので、トップ企業で+2とは甘く聞こえるかもしれません。ただし、トップ企業よりも上の状況がないので、この評価項目は天井が低い項目です。
+1は、たしかに最大手ではあるが同様の企業があって優位とは言えない。というレベル感です。
特定地域や分野限定のニッチシェアトップでも+2で良いです。それを強みにして実際有利な商売ができているか否か、が重要です。
明確に3プレイヤー程度に完全収束した寡占業界であれば、1位に劣後していても+2と甘めにします。寡占という状況自体がプレイヤー全員を儲けやすい環境に置き続けてくれるからです。誰が1位かを評価しているのではなく「有利な商売ができているか?」を評価しているからです。
コンビニとしてのファミマはセブンに劣後していますが+2です。ビールはキリンもアサヒも+2で比べることはしません。サッポロは…+1かもしれません。このような感覚です。逆にレッドオーシャンでプレイヤー飽和の業界では、最大手自体がたくさんいるので+1が限度です。(飲食業界、ドラッグストア)。
ヤマダ電機は業界最大手ですが、最大手であることで有利に商売ができていると感じますか?できなければ0、甘く見ても+1です。「家電の販売」は家電量販店同士で競うのではなくAmazonもライバルです。「一見業界最大手に見えて、より大きな枠組みで見ると他に強いライバルがいる」こんなパターンに注意すべきです。
2.そもそも競合と売上を奪い合っていない
「独自のビジネスで、競合他社と売上を奪い合っている状況にない」というのも、+2評価します。
この評価項目は「トップか?1位か?」をチェックしたいのではなくて、「競合他社に影響をうけず有利な商売ができているか?」をチェックしています。
なので、そもそも自分しかいないのであれば、それは評価普通ではなくて、評価最高なのです。
競合との価格競争を心配しなくていい状況に評価+2ということです。
「このサービスを提供できるのはこの会社だけ。ライバル企業もいない。後は社会・国民が、このサービスを欲するか否か」という状況であり、シンプルな勝負に持ち込めます。
3.競合が絶対持てない特性を持っている
羽田は東京に近いですが、成田は東京から遠いです。成田はどんなにサービスを向上させても、この重要な特性が永遠に手に入りません。
こういうものです。ビジネスモデル評価でも見ていますが、ここでも評価します。
圧倒的で唯一無二のブランド。稀にトップ企業ではないが、独自の圧倒的ブランドがあるゆえに価格戦略などで有利に動ける企業があります。
大衆向けのトップ企業に対して、超ハイブランドを持つ高利益の中堅企業。強いプレイヤーも多数跋扈する自動車業界の中でフェラーリ。土地、歴史的経緯など、後から逆転することができない優位性を持っている。(沖縄セルラー、JR東海、空港施設)
「競合他社が大抵持っている負の遺産がない」という、歴史が浅いがゆえに覆せない優位性を持っているパターンもある。古い産業に出てきたゲームチェンジャータイプ(ライフネット)
4.業界トップを苦しめている目下のゲームチェンジャー
現在君臨しているトップ企業が、新興企業に明確に苦しめられている構図が時々あります。(JES)
これも競合優位性として評価します。ビジネスモデル評価と重なる時がありますが、ここでは主に、そうなっている仕組みではなく、結果として勢力図がどのぐらい変わっているのかの変化で評価します。
5.競合他社に比べて、感動するレベルで差がある
トップ企業とは言えないが、自分でサービスを使ってみたところ「今までのは何だったんだ!」と感動するケースもあります。
次の+2点ルールに当てはまるレベルか自問自答し、感動の根拠を言語化して+2とします。実際に、業界内でグングンシェアを伸ばしているかもチェックします。
自分の言葉で小学生に説明することができるレベル。
自分の中に強い確信があるレベル。
何度見直しても、すぐに+2と判断できるレベル。
典型例は共立メンテナンス。レッドオーシャンでプレイヤー飽和のホテル業界では、大手でも競合優位性は+1評価がせいぜいです。
しかし、ドーミーインの特出したサービスレベルに感動し、「これは絶対にホテル業界の最強企業だ!」と考えれば、レッドオーシャンのホテル業界であっても+2を付けます。
自分の主観的判断での高評価はしていいです。それが社会の認識と異なっていて、近い将来に自分の想定シナリオ通りになれば、株価が力強く動き出します。もちろんシナリオ通りになるか分かりません、間違っているかもしれません。それでいいんです。その不確実性こそ、リターンの源泉だからです。
評価する際のポイント
既にビジネスモデルで+2評価した要素が、そのまま自然と競合優位性にもつながるケースも多いです(独占、特許)。その時は+2+2とコンボで評価して良いです。「独自の儲かるビジネスモデルや儲かる根拠を持っており、その独自性ゆえに他社がマネできない」というのは、最強パターンです。
「ピカピカ企業」を探すスタート地点として、この競合優位性評価からアプローチするのも有効です。例えば、業界トップの企業が苦しんでいるというニュースを見る。それを巻き起こしているゲームチェンジャーを知る。ビジネスモデルを聞いてみると、確かに素晴らしい。財務指標を調べると高利益で、成長率もいい。スペック評価+2を連発する企業だった。といった流れです。業界の勢力図にスポットを当てたニュースは多いので、ここから探すのも手です。