4767 テー・オー・ダブリュー(TOW) 2024年6月期 本決算 評価
決算書に書いてある事は省略して、自分の所感を書いてきます。
25/06期の1Q決算は見た目良さそう
24/06 2Qは、モーターショーがあったのでイレギュラー的に利益が大きく出ていた。
25/06 上期は、これなしで進捗50%を目指すということなので、25/06 1Qは前年対比での進捗率が見た目よくなる。
どうでもいい話なのだが、決算短信の数字の見え方だけで暴落する昨今なので…。1Qの数字が独り歩きして変な売りが出なそうなのはプラス。
逆に言えば1Qで、ぬか喜びしてはいけない。
株主還元志向の判断に拍手
TOWの配当方針は、かなり特殊。「配当利回りを4.5%とするよう配当額を決定する」というルールで、株価が下がると配当額も下がるという、最悪のルールになっている。
(もちろん下限を作って止まる仕組みもあるのだが、一定の幅があるとはいえ、株価が下がると配当が下がるのは、投資家的に受け入れがたいパラドックス)
今年、その最悪のケースが早速やってきた。
本決算直前に株価が暴落して、せっかく業績が復帰したのに、超微増配になると、がっかりしてたんですが、良い意味で裏切ってくれた。
要するに、「配当額は、ルールを参考にして決めるけど、株主が納得しないような杓子定規な決定はしないよ」ということだ。意思が行動で示された。
コロナ過で業績がボロボロになった時も、「配当性向上限50%までとする」というルールを一時排除してくれた。
根性配当の実績あり、株主還元を考え、増配優先で行動した実績あり。
いいね。
、、、とまぁ、そこまで還元志向をアピールしたいなら、DOEか累進配当を宣言しろって話なんですが。知らないのかな。
またキャッシュが増えている
当たり前ですが、キャッシュじゃぶじゃぶ企業なので、あっという間にまた最高額レベルまで増えてますね。いいことですが、活用してほしくもある。
妄想レベルですが、共同創業者の三木さんもご高齢と思われる。相続の売却時に、創業者川村氏同様にまた自社株買いで買い上げる可能性はあると見てます。
そのこともあって、現金多めなのかな。と考えればこれは将来のEPSジャンプアップ要素。ポジティブシンキングすぎですが。
まぁM&A候補もなくはない業界だろう。昨今、人を増やすための買収ってのが普通にある。今TOWに必要なのは即戦力の企画屋。
経営戦略にオプションが増える。キャッシュじゃぶじゃぶの強さを再認識。
ようやくコロナ前の業績に戻った
ようやく、コロナ前に業績が戻りました。ついでに(実質的には)過去最高の売上・利益。
コロナ前に業績復帰は、当たり前のようで当たり前ではないと思ってます。
業界の中では、「コロナを通じて、リモートが当たり前のものとなり、もはやリアルイベントは過去のものとなる」という論説もあったと思っています。
これもあって、「TOWって本当に業績もどるのか?」という懸念があったのだと思ってました。
つか、この仮説でも立てないと、コロナ前後で基準PERが違いすぎる説明がつかない。
上記の意見はごもっともで、最も今重要な論点だと思います。
テー・オー・ダブリューの中でも、セグメント種別を「オンラインイベント」から「ハイブリッドイベント」に名称変更しています。
決算資料で「定番化したハイブリットイベント」と書いているように、オンラインイベントがオンラインだけで完結せず、またリアルイベントも何らかのSNS連動やウェブとの連動が当然になってきている。
これは実感としてもある。
で、株主視点で何が言いたいかというと、
「リモートが当たり前となった時代において、リアルイベントの市場規模(=TOWの業績)は戻るのか?」
という問いに対しては、
「リアルイベントは、オンラインとリアルを融合したハイブリットイベントが定番となって戻ってくる。よって、さらに工数が増え予算は大きくなる。TOWの仕事は増える」
が回答と考えています。
24/06期の業績が、数字的な答えにもなっている。
上記記事の2024年版が来年2月に発表されるはず。「イベント・展示・映像ほか」の数字が楽しみです。さらにぐっと戻る、と考えています。
コロナ禍の中で、リアルイベント業界の将来不安からPER基準が大きく下がってしまいました。が、「TOWの実績」と「イベント・展示の市場規模」という2つの数字が明確に戻ってくれば、世間のTOW評価は、以前の水準に戻ると考えています。
社員増加。一番重要なニュースかも。
このビジネスは、売上拡大の原資として、どうしても手を動かす社員を増やす必要がある。
社員は230→260と13%増加。質が損なわれない塩梅でまずまずとみる。
24/06期は特に即戦力のキャリア入社が多かったとのこと。
功罪あると感じる。
もともとTOWは平均年齢が若く給料に対してパフォーマンスが良いコスパ人材が多いから、この高利益体質だったと評価していた。中途が多くなると給料も多く払う。金食い虫にならなければ良いが…。リスク要素。
一方で、即戦力が期待できるので、パフォーマンスは業績に即時反映される。
なんにせよ、人員増は、成長根拠の大前提。
これがないと、市場が成長してようと、TOWは成長しないというリスクもありうる。突然大量にとればバランス崩して決算も大崩れもありうる。
ペースが重要。今回のはペース強すぎに見えるが、決算は崩れていないのでまずは一安心。
来期業績予想
総合評価
自信をもって、「ホールド継続」と判断する本決算でした。
企業分析記事も作りました
基準PER評価14は、変わらず。
確約EPS30も変えず。
(クライアントが不要と判断すれば最悪なくても世の中回るシクリカル銘柄。EPSは好業績の今を大前提とするべきではない。)
適正株価420円。
株価420円まで上がったとしても、配当15円で、配当利回り3.6%。
まったく違和感ない。つまり今は安すぎる。