【6039】日本動物高度医療(JARMeC) 適正株価算出

「日本動物高度医療(JARMeC)」を分析して、適正株価を算出してみます。株式投資のための自分用メモです。

適正株価:2560 = 基準PER16*確約EPS160
実際株価:2013【21/04/13】
割安率:21%

参考

https://www.buffett-code.com/company/6039/

2019年3月期 決算補足資料

2020年3月期 決算補足資料

2020年3月期 決算短信

2021年3月期 第3四半期 決算説明資料

2021年3月期 第3四半期 決算短信

ベーシックレポート|アイフィスジャパン|2020

1.ビジネスモデル

+3

顧客はペットオーナー。高額な手術等(2次診療)に特化しており、お金に余裕がある顧客が中心。ペット保険の契約者が増えており、保険のおかげでJARMeCの高額医療を利用する人も多くなった。

・富裕層(ペットが飼えて、保険に入れて、手術を厭わない、お金の余裕)
・高齢者(ペットが飼える=持ち家、戸建て、専業主婦世代、子育て終了、お金の余裕)

JARMeCの中心顧客は、富裕層かつ高齢者寄り。日本で唯一、金払いが良い客層

BtoCの日本内需株を物色する上で最強・最長・最有力の投資ストーリー

オレオレ詐欺が減らないのは、なぜか?

犯罪者という営利追求組織(=企業)がマーケティングした結果、一番大きな金額が狙えて、成功しやすいターゲットが「蓄えのある寂しい高齢者」だった。よって、至極当然な経営判断の結果、有望なマーケットに経営資源を注力している。だからオレオレ詐欺は減らない。

JARMeCのターゲットって実は同じ。もちろんこっちは犯罪ではなく、医療技術を用いて「ペットの健康」という価値を提供するビジネス。

さらに。

高齢者富裕層相手の商売として、お墓とか高級旅館もあるが、JARMeCの提供する価値は「健康・命」。貴金属や旅行に比べて、どれほど豊かになっても衰えない、桁違いの岩盤ニーズがある。

顧客層が強い、提供する価値も強い。これが両立している商売って滅多にない。

さらに。

資料通りなので省略しますが、獣医と提携病院の確保はハードルが高く、競合が容易に追従できない「堀」も持っています。

さらに。

2023年からは、獣医だけに限定されていた医療行為の一部が、動物看護師でも実施できるようになり、医療行為の原価が軽減されていく追い風が吹きます。

今後、日本の消費を牛耳る最高の顧客層を相手にしている。「命・健康」という今後ますます高まる価値を提供している。堀がある。追い風もある。

市場拡大等の数字裏付も確認、問題なし。

自信を持って最高の+3評価を出します。

2.財務指標

+1
配当:0%
配当性向:0%
増配傾向:ずっと無配が続く。

明確にビハインド要素。株価が上がらない限り5年ホールドしてもリターンゼロ。リターンをミスターマーケットの気まぐれに一任することになる。配当性向30%のノーマル企業になるまで10年かかると思え。

営業利益率:14% (16→14、大阪準備で費用先行気味の数字)

設備投資先行型、固定費(人件費・減価償却費)が大きく、損益分岐点を越えるまでは辛いタイプ。それでも東京出店直後で一番辛かった時も営利率12%をキープしていた事実は心強い。

21/03期決算は、大阪出店が延期されて、人だけ多くなって利益悪化の決算だろう。が、長期的目線では些細なトラブル。素質としては高利益。

一人当たり税引き前利益:2百万円
従業員数:200人

パーヘッドは悪い、獣医の待遇改善も喫緊の課題だから、さらに悪くなる覚悟が必要(2020年時点で獣医70人、看護師50人規模)。こうなると売上は成長するも利益成長は超鈍化のリスクがある。とはいえ、動物看護師浸透の追い風で改善の期待もある。分からない部分。ここの行く末が、投資判断の最大のポイントと考える。

BS。借金して建物建てて、、、の典型的なBSで、悪くはないが、良くもない。

CF。17/03期の投資CFが東京出店時、直近が出店後の回収期だとすれば、典型的で予定調和な形。

PBR:2.1
過去平均PBR:2〜5
ネットD純利益比率:7

順当にBSが良化される一方で株価は下がっているので、PBR目線ではコロナショックを除くと今が一番割安。

利息年間1500万で営利の3%程度、営業外の安定不動産収益で相殺可。商売の安定性を考えたら、この借金に不安は何もない。むしろ「配当くれ」って思う。

総じて、飛び抜けて商売がうまい財務諸表には見えないが、そもそもJARMeCが財テクや経営に長けていることなど期待していない。ふつーの凡庸なBS,CFで経営してくれれば十分。お医者さんがやってんだし医療に全力集中でオッケー。大阪進出を急がない経営判断は、この会社の性格には合っている。

大阪出店が落ち着いて、人件費問題も動物看護師の浸透により解消されれば、素質が良いからピカピカになってゆく見通しは立つ。

君は大人になったら美人になる。洋服センスも化粧も普通の「すっぴん美人」、全然それでいい(そういうのが一番モテるのだ)。期待を込めて+0ではなく+1。

3.競合優位性

+2

会社側からの説明を読む限り、一朝一夕で同規模の獣医と提携病院を確保することは困難、、、というか不可能レベルに感じる。

2020年時点で全国の動物病院の32%と連携。

4.業績安定性

+2

病気の発生率は自然現象なので安定。保険契約者は、病気が発生したら医療を受けることを希望するだろうし。

事実、過去業績は安定。利益のブレは先行投資起因なのでビジネスの素質としては業績安定タイプ。+2評価。

5.成長KPI

+1 CAGR2%級

大阪出店安定後の成長KPI。他のクロスセルには期待していない。大阪出店エリア拡大成長ストーリーの後は、ここでJARMeCは成熟化とみる。インフレ、減価償却逓減、提携動物病院の増加により微増程度。

それでも、経年してジャブジャブ儲かれば何か次のアクションを起こすと思うけど、自分の成長評価は、今の所+1レベル。

6.成長期待

+1 CAGR2%級

KPI評価に同じ。東阪名出し切った後は札仙広福、、うーん、そこは評価に入れられないな。クロスセルも入れず。あればもちろん嬉しいが。

7.その他PER評

なし

8.基準PER

基準PER:16 = 6+3+1+2+2+1+1+0
過去平均PER:14〜30。

基準PERの決定方法については以下記事。

大阪出店が延期され、先行投資(人員増加)が利益減少(PER増加)にはねて、「待ってらんねぇ」と離れる人は離れて株価は下がって(PER減少)で今。

この綱引きの結果、コロナショックを除いては直近が一番PER低評価。よーく熟成された割安。

9.確約EPS

確約EPS:160 ざっくり超概算パターン
営利計画未達:1/5
営利未達レベル最大:-14%

17/03期の東京出店時に混乱があって利益が減少(売上は大丈夫)。とはいえ1年程度で混乱期収束。商売自体が強ければ社内ゴタゴタコスト増はすぐに自然治癒する(こういうのが治らない企業は根本的なダメ企業)。

大阪出店でも同じことがおきるだろう。が、そんなのは1年ぐらいの話で、長期的目線で言えば些細な話。1年のごたつきの間に競合にシェアを奪われるわけでもない、大阪で顧客が作れるのか不安があるわけでもない。単に「新店で混乱する」って話。商売が強いと本当に気楽だ。

問題は、大阪出店後の営業利益がどの程度なのか具体的数字がわからないこと。ここは、アイフィスのレポートを信用する。

レポート発行時は22/03期に大阪分の利益が含まれる前提で予想営利は5.2億。うん、まぁそんなもんだろ。

これが、大阪出店後混乱期を終えて、JARMecが出し続ける確約の営利(EPS)。

2020/03期を東京出店後の安定期だと考えると、この時点で、ざっくり営利4.3億、EPS130ぐらい。超概算で、

大阪出店後安定化後の確約EPS = 130*5.2/4.3=157

数字をまるっとして、確約EPS160!とします。アイフィスのレポートでの予想EPSとも一致。

10.日本動物高度医療の適正株価と割安率

適正株価:2560 = 基準PER16*確約EPS160
実際株価:2013【21/04/13】
割安率:21%

【21/5/16修正:大阪開業が2022年秋遅延決定、下記の期間も一年ずらした】

割安率は一見良いが、2024年3月期の確約EPSなので、感覚的には2年後にマーケットが意識するEPSを先取りしている。配当もない。待ったあげく失敗もゼロではない。よって、そんなに割安でもない。とはいえ、抜群の商売を持っているので21%割安なら2年握って待っても良い。

2〜3年も金を遊ばせたくはない、成長も並程度で期待外れ、という意見も多いだろう、これも説得力のある意見。なので株が売られていてダウントレンドなのは納得。自分は時間を犠牲にして、最強のビジネスを手に入れる方を選ぶ。

11.チャート

OK??
週足MACD:AB28CDC16D5-
月足MACD:CD23A3B4\

個人的迷信「週足MACDクロス前、オシレータ上昇」、、、というほどクロスよりだいぶ前だし、オシレーターも上昇か微妙なんだけど。まぁまぁほぼ適合。

そして、これだけ自信があるので、下がったら絶好の安値でフル投資も視野に入れることができる。まず、ここで一発目入ろう。

12.投資判断

買い 500株 @2013

13.想定シナリオ

会社の発表通り、2022年春に大阪開業。最悪秋まで延びてもまぁOK。

2024年3月期の予想EPS160。2年先に捉えるEPSなので、2年待ったあげく、こうならなかった時のダメージはでかい。

14.リスクシナリオ

2022年秋になっても大阪開業せず。っつか「コロナの影響で遅延」って全く意味不明。え?工事できるっしょ別に。もう1年切ってるよ、おーい。、、、実は土地から土器が出てきたとか、地面師詐欺とか、、、建設や登記で本当にトラブルが出てるのかも。考えたくないが、最悪大阪進出プラン白紙発表なら失望売り暴落で大損。

過去資料を読み返すと、「2017年秋 開業予定」という発表から丸5年遅延中だった。驚愕の事実!!!

2017年10月開業予定の大阪分院(仮称)
出店:2017年3月期 第2四半期決算説明資料p.21

「遅延ってもたかが1年ぐらいでしょ」という感覚は持たない方がいい。


獣医の待遇改善により、売上は成長するも利益成長は超鈍化、結果的にEPS160すらいかない。成長評価+1+1(成長CAGR+2%級)すら厳しくなる。動物看護師のおかげで自分としては緩和方向と見ているが、印象論なので実際には違うのかもしれない。ここの行く末が、投資判断の最大のポイントと考える。

うーん、、、これ以外、特段ビジネスにおいて懸念要素ない。これが投資したい最大のポイントでもある。成長評価も最低の+2だから、かなーり保守的だし。

メモ

ネコ飼い始めたから投資したわけじゃないです!ペット保険入ってないし!富裕層じゃないし!

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ふみちゃん、、保険、考えてあげるか、、、。

その後の通期決算分析


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