ピカピカ企業の第4要素、「業績安定性」を評価する上でのポイント
私が独自に作った企業評価のポイントを解説します。4つ目として「業績安定性」があるかを評価します。
この投資法は、適正株価を算出して、そこに向かう引力を追い風にする投資方法です。
適正株価、の根拠となる益利回り、の根拠となるEPSが、外部環境によってグワングワンに揺れるようであれば、適正株価自体が常にグワングワン揺れてるのですから、引力も何もあったもんではありません。
ビジネスモデルや成長性を評価をしたところで、この揺れが強すぎてナラティブな動きが壊れてしまいます。何より、こういった動きを前提としたルールを作っていません。なので、下手するとルールに従って動くほど負けます。
グワングワンな「揺れ」を当てようと言うのであれば、相場を当てるのとやってることが同じです。自分に相場を予想できるアドバンテージはありませんし、それを上手くやるルールは何も用意してません。
確約EPSや平均利益率や成長CAGRがまったく機能しないことになります。本投資法は、こういう企業を正しく見ることができるルール設計になっていません。
この評価項目を使って、本投資法が機能しない銘柄を排除します。この項目での0点は、単なる評価減以上に重く見るべきです。
外部要因による影響が大きいビジネス
外部環境要因によって、不可避的に需要や原価が上下する業種である場合、近年発生していなくても0点。
景気、金利、トウモロコシ相場、天気、災害の有無。様々な外部影響をイメージして、大きく引きずられるか評価する。
逆に、大型投資やグリッチなどの内部要因によって利益がU字になっていても、業種として本質的には需要や原価が安定しているビジネスなのであれば、評価は下げません。ただし「とはいえ経営が下手過ぎる」と懸念するのであれば下げることも検討します。
不確実性があり過ぎるビジネス
新規の課金ゲームがヒットするか否かで決まる。そういうもので毎年業績を成り立せている企業。(東映アニメ)
システムやコンサルなどで「採算性の悪いプロジェクトが発生」といった形跡が散見される場合。程度によっては-1程度でも良い。外部要因ではないけどダメ。
超大型案件が受注できるか否かで、数年にわたって業績が大きく上下するビジネス。(日本信号、日揮)
数年単位で需要に自然の波があるビジネス
高額の耐久消費財。去年売上が立ったら、2年間は売上がたたないような商材を扱っている場合、その企業に工夫がないと、外部影響がなくても、自然と業績に波が出ます。
逆に、素晴らしい工夫があって、上記のような商材にもかかわらず業績を安定させているなら、業績安定性評価を上げるだけでなく、ビジネスモデル評価にも該当して、一気に欲しい企業に格上げとなるかもしれません。
数年に一度の「特需」ありきの商売。今年はバージョンアップがあるから好業績。今年は新型ゲーム機が出るから好成績。
評価する際のポイント
スペック評価における「普通」は0点だが、評価項目に限っては普通なら+1でも可です。ここではシクリカル株に0点のマークを付けて落とすことが重要で、業績を極めて高い精度でコントロールできる企業を特別に評価したいわけではないからです。若くて小さい企業に、そんなことは求めないし、先行投資で凸凹したりもするでしょう。
+2は、いわゆるキレイな右肩上がり。ただし、計画的な内部要因・特殊要因で一年や多少なら凸凹しても全然OKです。そのレベルも排除すると、不必要に対象を狭めますので、シクリカルの排除を徹底すれば良いです。
過去5年の営業利益の予想と実績の乖離は、必ずチェックします。乖離があれば決算書で原因を確認して、最終的には定性評価をします。
過去業績でドライに評価するのではなく、業種やビジネスとしての普遍的な特性を評価します。
過去は参考にしますが、重要なのは今後です。例えば、「過去安定しなかったが、ストックビジネスへと生まれ変わる」と自分が確信を持っているなら、過去が悪くても評価を+2として良いです。もし、その見立てが当たれば、大きなリターンとなります。
超大企業ほど、この評価が0点になりやすいパラドックスがあります。ブリヂストンの業績安定性評価は0点です。世界中にタイヤを売りつくしてしまって一番大きな成長カーブはとっくに終えているので、後は自動車製造や景気の波を影響が大きいからです。逆に小型株の成長企業は、世界の動向に関係なく、サービス・モノが出せているか?成長したか?で業績が決まりやすいです。日本の大型株はシクリカル株が多く、結構な数でここで評価を下げて不合格となります。これが、日本株で小型株を好んでいる理由です。