誰に言うわけじゃないけど「好き」で溢れてるこの世界
私には人にわざわざ言わない「好きなこと」や「好きなもの」がたくさんある。
「隠しごと」とまではいかない。そして「趣味」でもない。ただ「好き」なのだ。
例えば茶碗を机に置く音とか、米びつの中に手を入れる時の感覚とか。
自室を出てトイレに向かう時五歩で行くというのもある。変なルールを決めて実行して成功するとちょっと嬉しい。あと映画を見ている時に画面に偶然写り込んだ虫や鳥が居ないか探してしまう。
きっと誰も言葉にはしない、そして気にも留めないであろうことを一人で楽しむのが大好きだ。
でも人と繋がるのは人より苦手。
友達は居たがそこで話題にしないことの方が好きだった。昨日見たテレビの話より、毎朝すれ違うおじさんは実は仮面ライダーだったりして、とか空想する時間が宝物だった。
外の世界は時にひどく私を傷付けてくる。
だから自分の殻に閉じこもって楽しめることを探していたら、そのまま大人になってしまった。
でも別に良いのだ。
私って楽しい。だって好きなことや好きなものがたくさんあるんだから。
私って美しい。だって好きなことや好きなものがたくさんあるんだから。
私はここから世界を見て、たまに外へ出て、疲れたら戻る。
人生の良し悪しは自分にしか分からない。
もし自分が生きている場所が息苦しいと思う人が居たら、殻の中に入って欲しいと思う。そこから見る世界はきっと今よりも色鮮やかで暖かいはずだ。
自分が自分のために作った場所だから、誰かに傷付けられることもない。
人生は楽しむには短いが生きるには長いのだ。優しさだけが溢れた世界に入り浸る瞬間があっても良いだろう。
優しさに毛布のように包まって眠りにつこう。何も帰るところは家だけではないのだ。
そうやって生きたら昨日より優しくなれる。
人にも自分にも。そうやって生きていこう。
誰かに優しくするためじゃなくて、自分が優しい気持ちでいるために。
そうして殻の外も暖かくなっていったら嬉しいな。
そんな世界になりますように。