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人生で初めてお笑いを見て泣くほど笑った日記

1月11日(土)
通勤途中、久しぶりに嫌な感じの予期不安がむくりを顔を覗かせてきた。
頑張れば乗り続けられるかもしれない。けれど、もし途中で不安に飲まれたら。この間、コンマ1秒で頭を巡らせ途中下車をした。

お手洗いに寄ったらビックリするほどゴミに溢れていて、引っ越し先候補から脳内削除した。
駅構内のお手洗いの掃除が行き届いているか否かは、その周辺に住んでいる住人のリテラシーが垣間見えると思っている。

ひと息ついて、念の為に頓服も飲んで次の電車に乗ったものの二駅過ぎた辺りでやはり落ち着かない。これはもうアカンやつや、と諦めて再度降り職場に遅刻する連絡を入れた。

3度目の正直で乗った電車は、ほどよく空いていて無事座席にも座れ、ようやく目的地まで安心して乗れることができた。


パニック発作との付き合いは長い。
幸い薬が効いているのか、各駅停車であればこうして1時間ほどの通勤もできるようになってきた。
私の症状はどちらかと言うと、パニック発作に多く見られる「このまま死んでしまうんじゃないか」という不安より、「今この止まらない電車の中でお腹が痛くなったらどうしようどうしようどうしよう」と言ったifの感情やふとした思いつきに思考が飲み込まれてしまうものだ。

電車を降りて「ああこれで自由にどこにでも行ける」と思うと、さっきまでの不安感や焦燥感はふっとたち消える。
パニック発作を起こして以来、私はこの十数年、快速電車には乗れた試しが無い。新幹線や飛行機は機内にお手洗いがあるから、案外なんとかなるかもしれないと思いつつ、元来の出不精と面倒が勝りチャレンジには至らずにいる。

あ、これはアカンやつや。と電車から降りようとした時。扉の前にスペースを陣取って、スマホから目を上げることも、降りるスペースを空けることもなくガンとその場に立ち続ける女の子がいた。
その子の生きる世界には、『世の中に電車に乗る恐れを堪えながら生きている人がいる』という認識は存在しないんだろう。

彼女のようになりたくはないけれど、少し羨ましいと思った。
気付かない方が良いことなんて世の中に山ほどある。そして気付かなければ、考えるという行為にも繋がらないから楽だ。


お笑いと縁の無い人生を送ってきたけれど、人生で初めてネタを見て涙が出るくらい笑った。

実家はリビングと弟達の部屋にしかテレビがなく、自分の部屋が唯一の安地だった私はテレビを観ずに過ごすことが多かった。一人暮らしを始めて自分だけのテレビを手に入れた後も、特に観たい番組が浮かばなかった。
だから令和ロマンさんがどういうコンビかも、M1を二連覇することがどれだけ凄いのかも未だによく分かっていない。

動画冒頭のネタで、義務教育を終わっていない従業員達を「だいじょうぶだよ」「ぼくたちがいるじゃないか」とくるまさんが演じる。
一呼吸おいて、ハシと3人まとめて抱き締める演技とそこからくるくると回転する様も回される側の表情も秀逸で、私は初めてお笑いを見て涙が出るくらい声に出して笑った。

共感とは、すなわち経験だ。
野球やサッカーなど、スポーツに疎い私がそれらをネタにしたコントを見ても笑いどころが分からないのがオチだ。
何がそんなに笑えたんだろう、と考えた時に共感できる頭に浮かぶものがあったからだろうなと思った。

くるくる回される子供の表情は、私の好きな漫画家荒川弘さんの作品に出てくる八軒くんを彷彿とした。
ラスト、小脇に抱えながのオチでは働く細胞の血小板みたいな子が3人きゃっきゃしている絵が見えた。
こういったお笑いの楽しみ方は正しいのかはさておき、身近にある何かを感じられたから令和ロマンのステージが面白かったんだろうなと思った。

くるまさんの演技力が凄かったので、いつかくるまさんが「これなら出てもいい」と思える作品に出会えたらドラマや映画でぜひ観てみたいです。

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