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恥の多い生涯を送って来ました。
12月21日(土)
チャイムの音で目が覚めた。
マンションの点検日だったことを1秒後に思い出し、起きて1秒の姿で点検係を迎え入れる。午後から仕事なので朝イチに来てほしいという私の希望通り来てくれたのに、こんな寝起きの醜態を晒してしまい申し訳ない…とは思わず、「いやー、チャイムに気付いてよかったわ。よし、点検も異常なし。これで安心やな」と心の中で思いつつ、笑顔で点検係の方を見送れるくらい最近の私は結構図太い。
これまで、人生という大海原をなんとか泳ぎ切ろうと懸命にもがいていた。
360度視界一面広がる海の中、『あの人はヨットを手に入れてどこどこに着いたらしい』とか『誰々は泳ぐのをやめて違う場所へ向かったそうだ』、『一緒に泳ぐ人を見つけたから、時々その人に掴まって休めるようになったよー』なんて情報が海を伝って流れ着いてくる。
そうか、私もそれを手にしたら楽になるのか。もっと先へ進めるのか。休めるのか。そう思い、安易に手を伸ばしたり、疲れから逃れる為の一時的な止まり木に癒しを求めたりした。
その結果どうなったか恥を忍んでここに初めて打ち明ける。私には借金がある。
ということで、今日はクレジットカードの残高とそれにまつわる思い出話です。
毎月なんやかんやとクレジットカードの請求が嵩む。原因は分かりきっている。収入に支出が見合っていないという単純明快な話。
転職した結果、収入が増え今でこそ多少まとまった額を返済できるようになったものの、まだ幼く、世の中のありとあらゆるものが魅力的に見えたその当時の私は手に望むことしか考えられなかった。
ぶっちゃけた話、貢いでしまったわけです。
友人でも知人でも、ましてや恋人でも無い、当時応援していたアーティストに。
貢いだという書き方には語弊があるか。相手からしたら何の関わりも無いただのいちファンの私がが、一方的に送りつけていたに過ぎないのだから。
時間とお金と体力の許す限りライブへ通った。
ライブの度に新しい服を買った。
イベントに合わせて美容院やネイルサロン。可愛くて目にも楽しい便箋は使いきれないまま増え続け、一言一句丁寧にしたためた手紙を贈り物に添える。
自分への買い物ももちろんだけど、好きな人へのプレゼントってなんであんなにも金銭感覚がガバガバになるんだろうか。
同じ金額でも自分への買い物なら「んー、今月使いすぎたしもうちょっと考えようかな」ってなるところが差し入れとなると「◯万?安っっす。え、もう一個何か足す?それか単価上げる??」ってなるんだもん。本当に不思議でならない。
気持ちよく散財しているけれど決して収入が増えているわけじゃない。となるとどうなるか?ここでクレジットカードの登場ですよ。
ご利用は計画的に。いやもう本当、それができる人はきっとクレジットカードでリボ払いはしない。
最初こそ「この一個だけリボにして金額をおさえよう」と計画的だったので、翌月の引き落とし日には利用残高を0円にできていた。
少しずつ「あ、ちょっとヤバいかも」という月がが続き、ついにしてしまったんですね。一括からリボへの複数明細指定変更。
そこからは坂を転がるようにリボ残高+1回払い=結構な金額となり、最終的には支払いコースの変更(減額)や限度額の増額。ようこそ、終わりの見えない地獄のハイキングコースへ。けれど当の本人はあいも変わらず危機感は薄く。
今にして思えばバカだったなーって思うんです。
私程度が贈れる品物なんて、相手からしてみたら買えて当たり前のものだろうに。
ライブの度に新しい服を買う必要も無かった。ツアーTシャツで良かったんだよ。運営に売上も入るし。そして何より、彼らの活動や音楽を通して私が感じたこと想ったこと、応援していること、毎日助けられていること。それが伝わる手紙があれば充分だった。
わかってる。完全なる自業自得だ。
ただ、あの時の経験はあの時にしかできなかったもので。あの時にしか見られなかった夢で。
結局私の手元にはクレジットカードの利用残高以外何も残らなかったけれど、あの頃の自分に救われることもちょっぴりある。
ああ楽しかったな。目一杯やりきったなって。
ただ、まあぼちぼち目えかっぴらかないとなと。
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これ以上元金が増えないことを前提としてシュミレートした結果、完済までにかかる年月。利息だけで結構いい金額です。本当にバカですね、ありがとうございます。
けれど、努めて冷静に考えて今ならまだ全然返せる額。
お金があればある程度の悩みは解消されるとよく耳にするけれど、それはそう。でも、結局のところそのお金を何に使うのか、どういった形で自分や社会、これから先の未来へ還元していくのかは生きていく限り向き合い続ける必要がある。
画像の中に連なる数字と年月の羅列は、それと向き合うことから逃げ続けてきた私への当然の結果であり、今なら受け取れるよね?という自分自身への挑戦状のようにも感じている。
不思議と悲観はしていない。
言葉を選ばずに言うなれば、画面いっぱい貯まりに貯まったぷよぷよを「ここらでいっちょ消してやりますか」という感覚にも近い。いや、消えてくれ。頼む。
この場所に行き着く原点である、今はもう存在しないバンドのメンバーへ。
忘れもしない、友人に連れられて入った某店舗であなた達の音楽が流れた瞬間、私の人生は一変しました。
途中、メンバー交代がありつつ紆余曲折を経て、今でも名前を目にする機会があるのは私が好きだったあなただけになってしまいましたね。他のメンバーは元気にしているでしょうか。
元気の塊のような人だったから、きっとあなた自身はこれから先も変わらず音楽に関わる何かしらの世界で生きているのでしょう。
あなた方の音楽との出会いをきっかけに沢山のバンドを知り、あなた方から離れ、他のバンドへと夢中になり、性懲りも無く私は新しく好きになったメンバーへと貢ぎ、そしてまた次の対象へと移り…と恥の多い生涯を送ってきました。
バンドを渡り歩く内に経験値が増えたんでしょうね。夢中になる楽しさを教えてくれたのはあなただったのに、結果金銭的に一番貢いだのは3番目に出会ったギターの彼でした。
初めて知る音楽、世界、界隈特有の文化。
楽しかったなあ。あれからかなりの歳月が流れても思い出す度に出てくる言葉は「楽しかった」の一言に尽きます。
素敵な音楽を、思い出の数々を本当にありがとう。