見出し画像

【映画】西川貴教のオールナイトニッポンを聞き続けていた類の人間がサンファンの映画を観てきた

西川貴教とアニメ出演には、いつもタイアップの味がしてきたんだ。主題歌、監督とのコネ、主題歌、主題歌、プロデューサーやってるイケメン二次元アイドルプロジェクトと来てお出しされたのが浪巫謠だったので「次こそは大丈夫なんだろうな……」という気持ちでいた。サンファンの二期でも、なんとなくソワソワとしており、出てくるたびにソワソワしていた。映画を見に行くかどうかとても迷った。

で、見た。

西川貴教のライブでやってる芝居のパートだぁ……そうかぁ、今回は虚淵が本を書いてくれたのかぁ……

武侠人形劇を見に行ってどうしてそうなるのか? と尋ねられますと、20年あの小さいオッサンの声を聞いて育ったので、役者と役の切り離しがうまく行かなかったの一言です。どんな役の歌でも西川貴教になってしまうし、サンファン2期の頃から「ライブのMCの声からシームレスにライブを始めおった」と思う西川貴教と浪巫謠の切り離しにしくじった人間の感想だと思って読んでもらえると助かります。吹雪……風……White Breath…とか、手の内で踊らされ……蒼い霹靂……とか、何もないところに幻覚を見出していた気がする。

美少年、なぜ声変わりしてしまうんだ

いつも美少年が青年になるたび自分が思ってる業がこんなにハマってしまった悲劇もなかなかない。

まず、浪ママは変声期をご存じでいてくれ……いや存じていても急にライブのMCの「こんばんは西川貴教です」の声になったら「誰だお前!!」になるよな……お母さん、変声期知らないから即席祭壇に供物捧げてお祈りするだけで良かったのか……? 下手したらカストラート待ったなしだったかもしれないし……息子に自宮させる親でなくてよかったよな……全体的に良くはないがそこは救い……

ここのちゃん西の芝居良かったですね……あどけなさがあって凄い。応援上映だったら来年50歳とは思えない! などと声をかけていたと思う。

声の芝居と歌の芝居

浪くんが会話に慣れてなくて長い文節が喋れないとか、「思っていることが言えない」っていうニュアンスのうめき声をあげるところとか、人里慣れしていない西川貴教の芝居、めちゃくちゃ上手いんですよ。「割り切れよ」の頃と比べてはいけない。歌も既存トラックからボーカルだけ抜いたやつじゃないテイクっぽかったし、天命ちゃんとの歌デュエルシーンもアガった。

歌といえば冒頭「Crescent Cutlass」、琵琶でギターコード鳴らすもんだから飲んでいたコーヒーが危なかった。「Roll the Dice」も普通に歌ってしれっと英文歌詞ブチこんでくるの強い。なんかもっと、音楽アレンジしてくるかなあと思っていたので不意を打たれた。その辺の話もパンフレットとかで見られたら嬉しかったぜ……

笑ってはいけない西幽、一番ヤバかったの天命ちゃんが浪に向かって「純粋な人」するくだりで、役者と役の切り離しに失敗してるせいで「待ってほしい。そいつはラジオで散々童貞いじり倒したり番組ADんちの家具を勝手にラジオ局に持ち出してるの見てゲラゲラ笑っていた男だぞ」ってなっちゃって変な顔になってしまった。

そのほか登場人物

魔剣食べ食べ太歳こと某不患さんが途中まで一切喋らないの、二期の浪との対比めいていて良かったですね。それはそれとして、大目的のためには邪魔だてする相手をバサバサ切断していくの、侠客あるあるというより、虚淵の主人公の味がして「明るい衛宮切嗣……」という感じ。

嘲風公主のワガママ小娘は良かったなあ。あの長回しで浪を手籠めにしようとするシーン可愛かった。ところで西幽の皇帝、本当に存在してるんです……? 御簾の向こうにいたの、人形では? いや人形なんだけど、そういう人形ではなく……ややこしいがそういう風に考えてしまう演出だった。不穏だなぁ。3期も楽しみだなあ。

光る! 回る! 音が出る! デラックス聆牙くん、多分浪が飲み込んだ言葉たちを音楽に変換する外部接続デバイスなんだろうという理解をしました。母の形見でもあるし、しゃべるようになってくれて良かったよ……

天命ちゃんに関しては、いつ死ぬのかとハラハラしながら見ていました。よかった……なにもなくて良かった……アクセサリが谷間にすっぽりinしているのでまろやかな胸元ばかり見てしまったけど、あの琴のギミックもっと見ていたかった。

西川貴教が好きだったんだよなあというを再確認した

何を歌ってもその人の歌になるパワーは歌い手の積み重ねたパワーで、浪巫謠に西川貴教を持ってきたのはとてもわかる。わかった。

ルイマリーがポシャってT.M.RになったあとT.M.R-eになってT.M.Rに戻ってから西川貴教になる足取り、浪巫謠なんだよなあ……そんだけ名前を変えても歌うことをやめなかったのが西川貴教で、つかず離れずな感じでラジオから西川貴教を追いかけていた人間にとっては「ありがとう虚淵」でした。劇場で見てよかった。