【中国ドラマ】「唐朝詭事録」~怪しい外連がたっぷりの唐王朝にようこそ~
2月になってから見ている中国ドラマ「唐朝詭事録」が、まだ序盤なんだけどめちゃくちゃ面白くて毎日ニコニコして見ています。
ジャンルとしては怪奇ミステリとかサスペンスになると思います。唐の時代、各地で起こる怪事件を解決していくフォーマットで、主な探偵役は老獪なおっさん役人の蘇無名。一緒に事件を解決する相棒は若く堅物の武官盧凌風。
この凸凹バディが中心になって、ケレンたっぷりの世界で政治的な駆け引きをしたり、武打やったり。
わたしが見たのは7話までで、序盤の「長安紅茶」という高級なお茶をめぐる連続殺人事件が終わって、次の事件のブリッジみたいなところまで。
唐揚げが大皿で出てきた
唐王朝を舞台にしたここ十年ぐらいの作品、長安十二時辰(邦題:長安二十四時)、映画の狄仁杰シリーズ(邦題:王朝の陰謀シリーズ)、妖猫伝(邦題:空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎)なんかを見ていると、退廃的な美しさや爛熟したさまを強く押し出すセットとか衣装が多いのかな、という印象を受けていて、唐朝詭事録からもそういう面を感じます。
ただ、このドラマはディテールの繊細さにちょっとフィクションを盛る、という感じじゃなくて、デカくて派手で面白い画面を作ることに全力を注いでいるような趣があります。
石像が割れて屈強な戦士が飛び出す「なにそれ?!」っていう奇抜なシチュエーション、頂上が見えないほどのデカさと高さを誇る塔、クセの強すぎる設定や衣装やメイクのゲスト。
このところ「うわあ丁寧にVFXと画面が馴染んでいるねえ」「小物や髪型が登場人物の背景に合っていてすごいねえ」みたいなドラマをよく見ていたので、「ドン!!!!!」って出される唐揚げの大皿みたいな演出にキャッキャと手を叩いて喜んでいます。
演出や画面の面白さに対してシナリオも外連の強い部分があったりしつつ、芯の部分はブレないというか、要所はバチっと抑えて決めてくれるのでストレスは少ないし、演者のお芝居は地に足をつけているのでバランスが取れていて見やすいです。
対照的な男二人のチームアップこれが大好き
このドラマの主人公たちが面白いのが、本当に対照的な男二人であること。
すべての発端になった官吏の不審死を受け、やんごとなき公主さまに推され後任として長安にやってきたのが、主人公その1、蘇無名。
この無名、かの狄仁杰(実在の人物。日本で言うなら大岡越前みたいに、フィクションでも有名になった優秀な役人)の弟子を自称する中年男で、色々なところで「あの人の弟子」という七光りをチラつかせる。どうやら弟子だったことは本当らしいのですが、どうにも言動が胡散臭くて信用できない。けれど頭は回るし、状況のコントロールが上手い。言葉巧みに相手を煙に巻き、場の空気を掌握する手練手管の数々。へりくだりながら相手を操縦するさまは見ていて笑顔になってしまう。
その蘇無名と、事あるごとに角突き合わすのが、もう一人の主役、武官の盧凌風。金吾衛(皇宮の警護や長安の治安維持をつかさどる部署)の若いエリート。武器、特に槍の扱いに長じた青年で、皇太子を後ろ盾に都を守護するため、という名目で無名にちょっかいをかけるのですが、理由は、自分は狄仁杰の弟子になれなかったから。プライドが高すぎたり、任務を優先して煙たがられたり、自分の信じたいものを真偽を確かめず信じちゃう。
根は善良で高潔な面もあるし武人としてはいっぱしでも、人間としては成長の余地が多くあるのが凌風です。
6話が終わった時点で二人して事件を解決したのに、お互いの後ろ盾から尻尾斬りされたせいで揃って長安をお払い箱になった無名と凌風。凌風の噛みつきを無名が受け流しながら、ひとまずチームを組んで新たな土地に向かいます。
さっそく道中の宿で妖しすぎる従業員が出てきて、どんな事件とでくわすのか楽しみに追いかけたいなあと思っています。脇を固めるキャラクターも、個性的で楽しい人が多いので合流するのが楽しみ。
長さも30話前後と中国のドラマにしては短めなので、配信サイトとかに乗ったら見てみてください(YouTubeに公式があげてる動画は翻訳が機械なのであんまり精度がよくないため)。
▲これは配信サービスの予告