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23時の朝ドラ

CS放送で「月に咲く花の如く」という美しいタイトルの中国ドラマをやっていて、見ている。清王朝末期に実在した女性実業家、周瑩の生涯をドラマ化したものだ。本国の百度だと西太后から「義理の娘よ」とまで言われたとかなんとかいう、それはもう女傑では……? みたいな記述が見られる人らしい。

これまでのあらすじ

渡世人の義父に連れられ大道芸(イカサマ)で日銭を稼ぐ主人公の周瑩、どっからどう見てもチンピラ。隙あらば金持ちから小金をちょろまかすことばっか考えている。教養もなければ文字も読めないけど得意の金勘定と機転とハッタリで世渡りしていくタイプの女主人公。

その周瑩が使用人として転がり込み、勉強を教えてもらったり、あれこれ世話になったしちょっと好きな呉家の若旦那(大商家の本家跡取り)が結婚しないと死ぬ状態になってしまった! でも婚約者はそこんちの親父が嫌がったせいで嫁に来てくれない! このままでは若旦那が死んでしまう! 皆さんの中に花嫁は! 花嫁はいらっしゃいませんか!

「私です!」

という流れで若旦那と夫婦になる周營。ところが案の定、粗暴な周瑩は金持ちの若奥様として不向きすぎる。でも、若旦那も周瑩も相思相愛というか、見てて恥ずかしくなる初々しいカップルぶりを見せつけてくるのでストレスフリーに見られます。若旦那やってるのがピーター・ホーという役者さんで、前に書いた「修羅の剣士」で燕十三というデスメイク剣士をやっていた方で、すっぴんだとこんなにも好青年だったんだな……役者ってすげえ……と感心というかリスペクトというか。

で、エンディングでがっつり若旦那の墓が写ってるのでこれ遠からず未亡人になるな……? と思ってたら、思ってたより早めに若旦那死んでしまった。あげく彼女をよく思わない義理の叔母から夫殺しの濡れ衣を着せられ一族郎党から囲んで水没させられる。レディコミのエグいやつでよく見るやつだ……インターネットスカム広告ではよくこの後壮絶な復讐……ってなるんだけど、周瑩は汚名を返上するだけにとどめ、傾いた婚家を立て直すのが先だと妓楼へ視察に行ったりケシの栽培に目をつける。目の付け所がヤクザのシノギである。火傷の予感しかしない。「月に咲く花の如く」の花がまさかケシだとは思わないじゃん……?

頑張る(ヤカラみたいな)女性のおはなし

このドラマ、清朝末期ということでイギリスがアレだったり西太后がアレだったり歴史的には結構ドンヨリしたところがあるので、今後もしかしたらそこらへんが絡んでヘビーな展開になっていくかもしれない。

でも俺たちの周瑩ネキは、たとえそんな展開も怒った顔で蹴散らすような生命力ある主人公だ。気に入らない男には前蹴り食らわせるし、名誉を傷つけられたら相手が誰でも食ってかかるし、侵入者は縛り上げて拷問するし、往来でヤンキー座りするのだろう。頑張って成功する女性の物語。実に朝ドラですね? わたしは今ケシの文字からは全力で目を逸らしています。

さいごに

「月に咲く花の如く」、タイトルの繊細な美しさと本編の生命力がギラギラする美しさが衝突事故を起こしている面白ドラマです。

強い女の子、清朝末期の美しい衣装、辮髪のイケメン、成長するボンクラなどが出てきます。チャンネル銀河で平日23時からやっている朝ドラ、ぜひご覧ください。