【海上牧雲記】最終回だった
海上牧雲記、75話、完走しました。
完走した感想なんですけど、正直人に勧めにくい終わり方をしてしまって……わたしは楽しかったから、75話かけて人間関係のもつれで王朝が倒れるところが見たい人とか……群像劇が大好きな人とか……人生何事もキリよく片付くなんてことないよねっていう気持ちでドラマを見られる人なら……一万ちょい払って見てもいいかもしれない……そういう感じです。
本当に「俺たちの戦いはこれからだ」っていうエンディングで、たぶんこれ小説だと余韻があっていいんだろうけど、ドラマでやるならケリつけてほしかった因縁結構ある。口の悪いハッシュタグで「壮大に何も始まらない」とか言われそう。
主人公三人の誰の人生には勝敗が決さず、本当に欲しいものを手に入れられないままだ。
基本的に海上牧雲記で幸せになった人っていないんですよ。73話かけて立場の安寧を手に入れても、次の話15分ぐらいでクーデターで死ぬやつもいたり。その運命を我々は天から見ることしかできない。こっちのカタルシスのためにキャラクターが生きているわけじゃなくて彼ら彼女らは各々の人生をやってるので、そこに我々の気持ちが介入する余地はない。人の生きざまに共感したり、動転したり。
振り返ると、どいつもこいつも、各々の生きざまに忠実だったな。キャラクターの一貫性はすごかった。それはめっちゃ良い。75話でキャラクターが雑なブレかたしなかったのは、本当にすごい。
美術や衣装もこのドラマのために作られて、作法とか儀礼なんかも作中世界専用の考証がされて、架空ファンタジー世界を細かく作りこむことに余念がない。それもすごい。
それだけに最終回がくやしい。
雑に脱獄したヒロインに特に理由の説明がなかったり、万能皇位継承アイテムが急に出てきたり、ここまで丁寧に作ってきてたのに急にどうした……って思うことがあったので、主人公三人が再会して、お互いの立場の違いを以前より穏やかに、かつ意志を持って語った後それぞれの道へ……っていう73話でしめてくれたら余白がまだ明るくて好きだったかなあ。
ちなみに、今まで紹介してきた人々は生きているんだか分かんないのが一人、生きててくれたのが一人、忠臣概念になってしまったのが一人、死んだふりしていたのが一人です。
推しのハードボイルド武人キャラが紆余曲折の末に主家への忠誠心概念になってしまって、主家のために逆賊を倒すって昔の部下連れて皇帝即位儀礼のど真ん中踏み込んで、二、三人の返り血浴びた後に「俺は不忠者か?」って言いながら大刀チラ付かせるシーンはもう、ああお前はそこに行ってしまったのか……っていうかんじ。行く末が気になる。
そうなの、とにかく行く末が気になるの一言に尽きる。
なので、小説を邦訳するか、頼むから二期があるかこの後の歴史でちょっと触れられるかして日本で見られるようにしてくれ。小説の邦訳、どこに頼んだらいいんだ。三万字加筆したハードカバーのやつ見つけたんだけど一冊で完結してるっぽいんで小説も各々の人生が続く話なのかな。目次だけではわからぬ……原著を読むだけの語学力が欲しい……
古装でこんだけの群像劇を見る機会はなかなかなく、とても楽しかった。続き待っています。