【Letter for XXX】#18 早川瑛子さん
こんにちは、Shihoです。独断と偏愛で他己紹介をさせて頂く3Minutesマガジン「Letter for XXX」。
#18 は早川瑛子さんです。
■#18 早川瑛子さん/Status:初対面(オンライン)
これまで対面でお会いすることを前提にしていたこの他己紹介もオンラインでの対話が前提に変わりました。そんな中で最初にお話させて頂いたのが瑛子さん。彼女からもらった「自己紹介noteを書きたいのに、まとめたくない」という興味深いメッセージが気になっていました。
現在早稲田大学に通う瑛子さんはコーチングを学習中。養成講座受講を終えたばかりながら、取材時点で既にセッションも135時間を提供しているそうです。しかし、コーチングについて勉強しはじめたのは今年に入ってから。「人生に色がないと思って」始めたコーチングですが、これまでも何かに取り組む時は同じようなアクセルの踏み方をしていたといいます。大学に入学後は10個のサークルに入り、1年生では日本中を、2年生では世界中を旅したそう。「やれることは全部やる」「やるならとことんやる」それが彼女が物事に取り組むスタンスです。
だから、でしょうか。地元・三重から大学進学のために上京した当時は金髪だったとか。「東京は荒れていると思っていた」からと彼女は言いますが、それにより目立つ存在・興味を引く存在になったことで「友達」の輪が勝手に広がっていきます。
でもその友達は「」(カッコ)付き。「金髪の子」だから「友達」になったのかもしれない。飛んでくる言葉のベクトルは内側ではなく外面に対してのものだと感じ、中が見られていない違和感を感じつつもその原因が分からなかった当時の瑛子さんは、「金髪の子」というネームプレートを配っているかのような虚無感に陥ってしまったといいます。周囲から見られる自分と、自分の思う自分。元々持ち合わせていた周囲への敏感さ故に生じた「何が正しいのか」「何を信じたらいいのか」という戸惑いは、「心を開いていいのか」という戸惑いへと変化し、結果他人への心の壁を分厚くしていったといいます。
それでも、2年生になるとその「肩書」への疑念は少し形を変えていきます。「だって、“金髪”にしたのは自分の意志」。そう、ならば、それは人から与えられた肩書ではなく、自分で選んだ肩書なのかもしれない。仮面だと感じる自身の姿に嫌気がさしつつも、それで広がっていく輪は捨てがたいと思い、肥大化していく周囲の状況を客観的に眺めながら、変わらない自身の根本を活かせる何かを模索しはじめます。
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瑛子さんがコーチングに出会ったのは昨年の10月。クライアントとして受けたセッションでは、コーチが自分自身の鏡のように見えたといいます。おうむ返し、話の整理と確認、その姿勢。思考を邪魔しないそのセッションは、自分と対話しているかのような感覚をもたらしました。
そうした体験を経て、現在はコーチを目指している瑛子さん。彼女の提供したい「コーチング」は「安心できる場所」のようなもの。実は型にも自由度があるというコーチング。そこで自分が提供したいコーチングを磨き上げ、コーチという存在をもっと多くの人に届け、普遍的なものにしたいと考えています。
「安心できる場所」。それは幼い頃の彼女にとっては、家庭でも、学校でも見つけられなかったもの。テストを受ければ軒並み100点という子供時代は、むしろ「100点を取れなくなったら自分が無くなる」という恐怖感があったといいます。やれることをとことんやっていただけなのに、ついてしまった「出来る子」という期待、肩書。それらを取り除こうとして金髪にしてみたものの、今度は「金髪の瑛子」という肩書にとらわれることに。0か100かしかない彼女にとっては、動けば動くだけまた別の意図しない肩書にすり替わっていくだけ。「自己紹介noteを書きたいのに、まとめたくない」とあがく気持ちは、そこに根がありました。
学生時代、「出来る子」にしろ「金髪の子」にしろ、一つの肩書におさまることで世間になじもうとしてきた瑛子さん。常に「自分」という役を演じ、そこにはカメラが回っているような感覚を持っていたといいます。その違和感は、自身が持っているはずの複雑性を排除されることへの恐怖感でもあり、「単純化されたくない」という願いの発露でもありました。
そんな時に出会ったコーチング。そこでは、自らがありのまま、複雑な状態のまま存在することを前提にしたコミュニケーションがありました。彼女にとっては3つの自分があるといい、1番目の自分は屈折した部分も含めて素直な感情を持つ自分、2番目は「お前もっと出来るだろ」と発破をかけてくる自分、3番目は社会的で一般的な感覚を持つ自分。そして、そこに「自分自身の鏡」として存在するコーチは、ある意味4番目の自分。それは「いてほしかった自分」であり、これまで表には出してこなかった1番目の自分とも向き合う存在。相手を写す鏡であり、クライアントの「本当の自分」に寄り添う存在であるコーチに救われた経験から、彼女自身、誰かにとっての「4番目の自分」になろうとしています。
まとめたくなかった自己紹介。それは、書き記すことで、それがまたあたらしい肩書、「瑛子の決定版」になってしまうということへの彼女なりの抵抗なのだと思います。でも、人間は複雑で変わりゆく生き物。そしてその変化こそが「生きている」ということ。自分という存在のディティールに細部までこだわり、その統一感のなさに意識を巡らせ、複雑であることに一貫性を持ち続ける。彼女はそんな自分に向き合うことでコーチングという目標を見つけました。いつかきっと瑛子さんが書く自己紹介は、4番目の自分によるものかもしれません。
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Letter for XXXは、不定期かつ独断と偏愛で随時更新していきます。
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