絵本『えんとつ町のプペル』で英語をやりなおし #15
キングコング西野さんの絵本『えんとつ町のプぺル』を1ページずつ、英訳の英文法解説をします。(#14はコチラ)
【STEP 1】まずは日本語で読んでみよう!
「あなた、きょう、あのゴミ人間とあそんだの?」
「だいじょうぶだよ、母ちゃん。プぺルはわるいやつじゃない」
「その好奇心は父ちゃんゆずりだねえ」
町でただひとりの漁師だったルビッチのお父さんは、
きょねんの冬に波にのまれ、死んでしまいました。
みつかったのは、ボロボロにこわれた漁船だけ。
この町では、海には魔物がいると信じられていて、海にでることを禁止されていたので、
町のひとたちは「自業自得だ」といいました。
「ねえ、母ちゃんは父ちゃんのどこがよかったの?」
「照れ屋でかわいいところもあったでしょ。うれしいことがあると、すぐにこうやってひとさし指で鼻のしたをこすって」
【STEP 2】次は英語をチェック!
“Hey, did you play with that trashman today?”
“It’s OK, Mom. Poupelle’s not a bad guy.”
“You got that curiosity from your dad.”
Lubicchi’s father was the only fisherman in town,
but he was swallowed by the waves and died last winter.
The only thing they found was his fishing boat in tatters.
In this town, people believed that there were monsters in the ocean and it was forbidden to go out to sea ;
so the townsfolk said “He had it coming.”
“Say, Mom, what did you like about Dad?”
“He was shy and cute in a way, don’t you think? When he was happy, he’d rub under his nose, like this.”
【STEP 3】英文法解説をします!
“Hey, did you play with that trashman today?”
「あなた、きょう、あのゴミ人間とあそんだの?」
◆ポイント1:過去形の疑問文
一般動詞の疑問文はアタマに Do を付けるだけで完成です。それが過去の話であれば、過去形 Did に変えるだけでOK(動詞は原形になります)。
[現在形] You play with that trashman.(あなたはあのゴミ人間と遊ぶ)
↓
Do you play with that trashman?(あなたはあのゴミ人間と遊ぶの?)
[過去形] You played with that trashman.(あなたはあのゴミ人間と遊んだ)
↓
Did you play with that trashman?(あなたはあのゴミ人間と遊んだの?)
◆Words & Phrases
play with([友達と]遊ぶ)
*新出単語・熟語のみ掲載しています。
“It’s OK, Mom. Poupelle’s not a bad guy.”
「だいじょうぶだよ、母ちゃん。プぺルはわるいやつじゃない」
“You got that curiosity from your dad.”
「その好奇心は父ちゃんゆずりだねえ」
◆ポイント1:短縮形
Poupelle’s は Poupelle is の短縮形です。I'm / You're / He's / She's / It's のように「主語+be動詞[is/am/are]」は会話の中ではしばしば短縮されます。短縮していない I am は、短縮した I'm に比べて音が耳に残るため、会話では「ヘンに強調した感じ」が出てしまいます。
Poupelle’s not a bad guy.(プぺルはわるいやつじゃない)
◆Words & Phrases
bad(悪い)、guy(やつ)、curiosity(好奇心)、get A from B(AをBから譲り受ける)
Lubicchi’s father was the only fisherman in town,
町でただひとりの漁師だったルビッチのお父さんは、
but he was swallowed by the waves and died last winter.
きょねんの冬に波にのまれ、死んでしまいました。
◆ポイント1:所有を表す 's
Lubicchi’s の 's は「ルビッチの~」という「所有・所属」を表します。Lubicchi is の短縮形ではないことに注意しましょう。 Lubicchi’s father was と、be動詞の was があるため、Lubicchi is の短縮形と考えてしまうと、be動詞が2つ出てくることになってしまいます(基本的に主語と動詞は1つずつ)。
Lubicchi’s father(ルビッチのお父さん)
◆ポイント2:受け身
動詞を「be動詞+過去分詞」のカタチにすることで、「~れる、~られる」という受け身の文を作ることができます。ここでは swallow(~を飲み込む)を was swallowed のカタチにしています。
The waves swallowed him.(波が彼を飲み込んだ)
↓
He was swallowed by the waves.(彼は波に飲み込まれた)
このように、受け身はもとの英文の目的語(動詞の後ろの名詞)を主語に置き、もとの英文の主語が by の後ろに置かれるカタチになります。
he was swallowed by the waves(彼は波にのまれた)
◆ポイント3:過去形 and 過去形
過去形 was swallowed(飲み込まれた)と過去形 died(死んだ)が、接続詞 and で結ばれているカタチです。このような「過去形 and 過去形」のカタチは「連続する2つの動作」を表し、「波にのまれ、そして、死んでしまった」ということがわかります。
was swallowed by the waves and died(波にのまれ、死んでしまいました)
◆Words & Phrases
father(父親)、fisherman(漁師)、but(しかし)、wave(波)、die(死ぬ)、winter(冬)
The only thing they found was his fishing boat in tatters.
みつかったのは、ボロボロにこわれた漁船だけ。
◆ポイント1:接触節
もともと They found the only thing.(彼らは唯一のものを見つけた)という英文の目的語 the only thing を頭に移動させると、the only thing they found(彼らが見つけた唯一のもの)という1つの名詞のカタマリにすることができます。日本語では「彼らが見つけた+唯一のもの」と、名詞の説明は全て前に置かれますが、英語では「唯一のもの+彼らが見つけた」と、後ろに置かれます。「説明は後ろ」、これが英語の特徴です。また、ここでの they(彼ら)は「町の人たち」を指しています。
The only thing they found(見つかった唯一のもの)
◆Words & Phrases
found(find[~を見つける]の過去形)、fishing boat(漁船)、in tatters(ズタズタになって、めちゃめちゃになって)
In this town, people believed that there were monsters in the ocean
この町では、海には魔物がいると信じられていて、
◆ポイント1:接続詞 that
people believed that の that は接続詞です(「あれ」という意味の名詞ではないことに注意)。接続詞の that は特に日本語訳があるわけではなく、後ろに続く英文 there were monsters… のアタマに置くことで1つの大きな名詞のカタマリを作ることができます。名詞のカタマリになることで、動詞 believed の後ろに置くことができるようになりました。
people believed that there were monsters in the ocean(海には魔物がいると信じられていた)
◆ポイント2:存在を伝える There is ~
There is[are] ~ は「~があります」と、存在を伝えるときに使います。ここでは過去形の there were になっています。日本語では「海には魔物が"いる"」となっていますが、過去の話であるため動詞は過去形にする必要があります(コレを「時制の一致」といいます)。
there were monsters in the ocean(海には魔物がいる)
◆Words & Phrases
ocean(海)
and it was forbidden to go out to sea ;
海にでることを禁止されていたので、
◆ポイント1:受け身
動詞を「be動詞+過去分詞」のカタチにすることで、「~れる、~られる」という受け身の文を作ることができます。ここでは forbid(~を禁止する)を was forbidden のカタチにしています。
it was forbidden(禁止されていた)
◆ポイント2:不定詞
「to+動詞の原形」のカタチを不定詞といいます。不定詞は、もともと「~する」という動詞だったものが、「~すること」という名詞の働きに変化したものです。
to go out to sea(海にでること)
◆ポイント3:仮の主語 it
主語として不定詞を使った場合、頭でっかちな文になってしまいます。このような表現は基本的に避けられ、長い不定詞部分は文末に移動させます。
To go out to sea was forbidden.(海に出ることが禁止されていた)
↓
---- was forbidden to go out to sea.
↓
It was forbidden to go out to sea.
このとき、単純に文末に移動させるだけでは、唐突に is から始まる英文になってしまいます。そこで、仮の主語 It を文頭に置き「It is ~ to V」(Vするのは~だ)のカタチにします。この It は仮置きのため、「それ」とは訳しません。
it was forbidden to go out to sea(海にでることを禁止されていた)
◆Words & Phrases
forbidden(forbid[~を禁止する]の過去分詞)、forbid(~を禁止する)、go out(出て行く)
so the townsfolk said “He had it coming.”
町のひとたちは「自業自得だ」といいました。
◆ポイント1:接続詞 so
接続詞 so は、英文と英文をつないで、「A, so B」のカタチで「AなのでB」「A、だからB」と解釈します。Aには理由(=海にでることを禁止されていた)、Bには結果(=町のひとたちが「自業自得だ」と言った)を置きます。
◆ポイント2:動詞の使い方
「言う、話す」という意味の動詞は say, tell, speak, talk など、いろいろありますが、“He had it coming” のようなセリフを後ろに置くときは say を使います(say は「何を伝えるか」を意識します)。一方、tell は tell me のように「誰に伝えるか」を意識するときに使います。このように、英単語やフレーズは意味だけでなく「使い方」をおさえることで、「話せる英語」として身に付けることができます。
the townsfolk said “He had it coming.”(町のひとたちは「自業自得だ」といいました)
◆ポイント3:have O Ving
ここでの動詞 have は「have O Ving」のカタチで「Oを~させる」と解釈します。He had it coming. を直訳すると「彼がそれ(=トラブル)を来させた」、つまり「自業自得だ」という意味になります。
He had it coming.(自業自得だ)
◆Words & Phrases
townsfolk(町の住民)、have it coming(自業自得である)
“Say, Mom, what did you like about Dad?”
「ねえ、母ちゃんは父ちゃんのどこがよかったの?」
◆ポイント1:What did you like about ~?
What did you like about ~? は、「~のどこがよかったの?」という意味の表現ですが、シンプルな単語と文法であるにもかかわらず、うまく使いこなせている人は多くありません。これは「日本語⇒英語」の直訳発想によるものです。日本語では「どこ」と言いますが、内容を尋ねているため、疑問詞は what を使います。また、日本語の「よかった」は「何が気に入ったの?」と考え、動詞 like を使います。
what did you like about Dad?(父ちゃんのどこがよかったの?)
◆Words & Phrases
say([呼びかけの言葉]ねえ、なあ)
“He was shy and cute in a way, don’t you think?
「照れ屋でかわいいところもあったでしょ。
◆ポイント1:否定疑問文
否定疑問文とは、その名の通り否定文と疑問文を一緒にしたもので、ここでは don’t you think? というカタチで使われています。これは「~だと思わない?」と相手に同意を求めるときに使う表現です。
◆Words & Phrases
shy(恥ずかしがりの、内気な)、cute(かわいい)、in a way(ある意味では、見方によれば)、think(思う)
When he was happy, he’d rub under his nose, like this.”
うれしいことがあると、すぐにこうやってひとさし指で鼻のしたをこすって」
◆ポイント1:時を表す接続詞 when
ここでの when は2つの文をつなぐ接続詞の働きをしています。When S V~, で「SがVするとき」と解釈し、後ろの文へとつながります。
When he was happy,(うれしいことがあると)
◆ポイント2:短縮形
ここでの he’d は he would の短縮形です(would は will の過去形)。「うれしいことがあった」時点では、「鼻の下をこする」のは未来の話であるため、未来の表現 will を使いますが、過去の文脈であるため、時制を合わせて would にします。
he’d rub under his nose(鼻のしたをこすって)
◆Words & Phrases
happy(うれしい)、rub(こする)、under(~の下)、nose(鼻)
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