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絵本『えんとつ町のプペル』で英語をやりなおし #17

キングコング西野さんの絵本『えんとつ町のプぺル』を1ページずつ、英訳の英文法解説をします。(#16はコチラ

【STEP 1】まずは日本語で読んでみよう!


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「ねえ、プぺル、『ホシ』って知ってるかい?」

「ホシ?」

「この町は煙でおおわれているだろ? だからぼくらには、みることができないけど、

あの煙のうえには『ホシ』と呼ばれる、光りかがやく石っころが浮かんでるんだ。

それも一個や二個じゃないよ。千個、一万個、もっともっと」

「そんなバカなはなしがあるもんか。ウソっぱちだろ?」

「……ぼくの父ちゃんが、その『ホシ』をみたんだ。

とおくの海にでたときにね、ある場所で、頭のうえの煙がなくなって、

そこには光りかがやく『ホシ』がたくさん浮かんでいたんだって。

町のひとはだれも信じなくて、父ちゃんはうそつき呼ばわりされたまま死んじゃったんだ。

でも、父ちゃんは『煙のうえにはホシがある』っていってね、

ホシをみる方法をぼくにおしえてくれたんだよ

ルビッチはくろい煙をみあげていいました。

「『信じぬくんだ。たとえひとりになっても』」


【STEP 2】次は英語をチェック!

“Say Poupelle, do you know what a ‘star’ is?”

“A star?”

“This town is covered in smoke, right? So we can’t see them, but above that smoke are shining stones called ‘stars.’

Not just one or two. A thousand, ten thousand, or even more.”

“That’s pretty dumb. You’re lying, right?”

“. . . My dad saw those ‘stars.’ When he was far out on the ocean. At one point the smoke overhead all went away,

and there were thousands of shining ‘stars’ floating in the air.

Nobody in town believed him, and Dad died being called liar.

But Dad said ‘There are stars above the smoke,’ and told me how I could see the stars.”

Lubicchi said as he looked up at the smoke.

“‘Believe. Even if you’re the only one.’”


【STEP 3】英文法解説をします!

“Say Poupelle, do you know what a ‘star’ is?”
「ねえ、プぺル、『ホシ』って知ってるかい?」
“A star?”
「ホシ?」

◆ポイント1:間接疑問文
間接疑問文とは、「疑問詞を使った疑問文を動詞の後ろに放り込んだ英文」のことで、もともと What is a ‘star’?(『ホシ』って何?)という疑問文を、Do you know ~? の中に放り込んだカタチです。このとき、もとの疑問文が間接疑問になると、その部分は疑問文ではなくなるため疑問文の語順から解放され、「主語+動詞」の語順になります。

      What is a ‘star’?(『ホシ』って何?)
         ↓
Do you know what a ‘star’ is? (『ホシ』って何か知ってる?)


◆Words & Phrases

say([呼びかけの言葉]ねえ、なあ)
*新出単語・熟語のみ掲載しています。


“This town is covered in smoke, right?
「この町は煙でおおわれているだろ?

◆ポイント1:受け身
動詞を「be動詞+過去分詞」のカタチにすることで、「~れる、~られる」という受け身の文を作ることができます。
This town is covered in smoke(この町は煙でおおわれている)

◆Words & Phrases
right([同意や確認を求めて]そうですよね)


So we can’t see them,
だからぼくらには、みることができないけど、
but above that smoke are shining stones called ‘stars.’
あの煙のうえには『ホシ』と呼ばれる、光りかがやく石っころが浮かんでるんだ。

◆ポイント1:形容詞に変わる動詞
動詞を、現在分詞や過去分詞というカタチに変えると、形容詞の働き(=名詞を詳しく説明する)を持つようになります。現在分詞はそのままの意味で形容詞に、過去分詞は「~れる、~られる」という受け身のニュアンスがプラスされて形容詞になります(現在分詞・過去分詞は、時間的な「現在」「過去」を表さないことに注意!)。ここでは、動詞 shine(光る、輝く)を現在分詞 shining に変えて、動詞 call を過去分詞 called に変えて、それぞれ stones の説明をしています。

shining stones(光りかがやく石)
stones called ‘stars’(『ホシ』と呼ばれる石)

原則として、shining のように1単語であれば名詞の前に、called ‘stars' のように2単語以上であれば名詞の後ろに置きます。
shining stones called ‘stars(『ホシ』と呼ばれる、光りかがやく石っころ)

◆ポイント2:倒置
above that smoke are shining stones called ‘stars は、本来 shining stones called ‘stars are above that smoke という英文が倒置された(ひっくり返った)カタチです。

Shining stones called ‘stars are above that smoke.
 ↓
Above that smoke are shining stones called ‘stars.
*主語:shining stones called ‘stars 動詞: are

場所を表す表現(ここでは above that smoke[あの煙のうえには])を強調のために文の頭に持ってくると、主語と動詞がひっくり返るというルールがあります(英語は倒置をすることで「強調した感」を出すよ)。
above that smoke are shining stones called ‘stars(あの煙のうえには『ホシ』と呼ばれる、光りかがやく石っころが浮かんでるんだ)

◆Words & Phrases
see(~が見える)、above(~の上に)、stone(石)


Not just one or two. A thousand, ten thousand, or even more.”
それも一個や二個じゃないよ。千個、一万個、もっともっと」

◆ポイント1:数の数え方
数を数えるとき、日本語では4ケタごとに単位が変わりますが、英語は3ケタごとに単位が変わります。そのため「一万」は ten thousand(1000が10コ)と数えます。「10,000」と3ケタごとに点が打ってあるのはそういうことです。
A thousand, ten thousand, or even more(千個、一万個、もっともっと)

◆Words & Phrases
not just(~ばかりでなく)、thousand(千)、ten thousand(1万)、even more(さらにいっそう)


“That’s pretty dumb. You’re lying, right?”
「そんなバカなはなしがあるもんか。ウソっぱちだろ?」

◆ポイント1:現在進行形
「be動詞+動詞のing形」で表すカタチを現在進行形といいます。文字通り「現在進行中の動作」を表しています。現在形 lie との違いに注意しましょう。現在形は「今も昔も変わらない日常習慣」(=普段からウソをついている)を表します(「現在形」という用語なのがややこしい!)。
You’re lying(キミは今ウソをついている)

◆Words & Phrases
pretty(とても、かなり)、dumb(ばかな、あほな)、lying(lie[うそをつく]のing形)


“. . . My dad saw those ‘stars.’
「……ぼくの父ちゃんが、その『ホシ』をみたんだ。
When he was far out on the ocean.
とおくの海にでたときにね、

◆ポイント1:単数形と複数形
日本語の名詞では意識しませんが、英語には単数形と複数形という区別があり、stars(星)の s は複数を表しています(「1つの星」であれば単数形の a star と表します)。そのため、「あれ、それ」を表す that も複数形の those に変化します(that は1つのものを指す単数形)。
My dad saw those ‘stars.’(ぼくの父ちゃんが、その『ホシ』をみたんだ)

◆ポイント2:時を表す接続詞 when
ここでの when は2つの文をつなぐ接続詞の働きをしています。When S V~, で「SがVするとき」と解釈します。本来は My dad saw those ‘stars’ when he was far out on the ocean. と2つの文が接続されますが、ここでは、セリフのあいだに「間」があるため2文に切り離されています。
When he was far out on the ocean.(とおくの海にでたときにね)

◆Words & Phrases
far(遠く離れて)、out on the ocean(海に出て)


At one point the smoke overhead all went away,
ある場所で、頭のうえの煙がなくなって、
and there were thousands of shining ‘stars’ floating in the air.
そこには光りかがやく『ホシ』がたくさん浮かんでいたんだって。

◆ポイント1:形容詞的な副詞
overhead(頭上に)は場所を表す副詞ですが、形容詞的に名詞を後ろから修飾(=詳しく説明)することができます。
*副詞=名詞以外を修飾することば
 形容詞=名詞を修飾することば
the smoke overhead(頭のうえの煙)

◆ポイント2:There is[are] S Ving
There is[are] S Ving は「SがVしている」と解釈します。主語が thousands of shining ‘stars’ という複数名詞であるため、be動詞は are の過去形 were を使います。
there were thousands of shining ‘stars’ floating in the air(そこには光りかがやく『ホシ』がたくさん浮かんでいた)

◆Words & Phrases
point(場所、位置)、overhead(頭上の)、go away(消える、なくなる)、thousands of(何千もの)、float(浮かぶ)、air(空、空中)


Nobody in town believed him, and Dad died being called liar.
町のひとはだれも信じなくて、父ちゃんはうそつき呼ばわりされたまま死んじゃったんだ。

◆ポイント1:否定語で始まる否定文
日本語では「町のひとはだれも信じない」と、最後に否定語を持ってきますが、英語はそれをすることができません。Nobody in town believed him のように、否定語はできるだけ前に持って来て、否定文であるということをハッキリさせます。直訳すると、「町の中でいない人が彼を信じていた」となり、なんだかヘンな感じですが、これが英語の特徴です。
Nobody in town believed him(町のひとはだれも信じなくて)

◆ポイント2:副詞に変わる動詞
動詞を、現在分詞や過去分詞というカタチに変えると、副詞(=名詞以外を詳しく説明するもの)としても使うことができます。これを「分詞構文」と呼びます。ここでは、動詞 be called(~と呼ばれる)を現在分詞 being called に変えることで、前の文 Dad died の補足説明をしています。分詞構文は「動作や状況の同時性を伝える」「動作や状況を重ね合わせる」効果があります。
Dad died being called liar.(父ちゃんはうそつき呼ばわりされて死んだ)

◆Words & Phrases
liar(うそつき)


But Dad said ‘There are stars above the smoke,’
でも、父ちゃんは『煙のうえにはホシがある』っていってね、
and told me how I could see the stars.”
ホシをみる方法をぼくにおしえてくれたんだよ」

◆ポイント1:動詞 say と tell
say も tell も「言う、話す」という意味の動詞ですが、「使い方」が異なります。後ろに「セリフ」を置くのが say の役割で、後ろに「人」を置くのが tell の役割です。
said ‘There are stars above the smoke,’(『煙のうえにはホシがある』って言った)
told me how I could see the stars.”(ホシをみる方法をぼくに言って[=教えて]くれた)


◆ポイント2:間接疑問文
ここでも間接疑問文が登場です。もともと How can I see the stars?(どうやってホシを見るの?)という疑問文を、told me ~(僕に~を教えてくれた)の中に放り込んだカタチです。このとき、もとの疑問文が間接疑問になると、その部分は疑問文ではなくなるため、疑問文の語順から解放され、「主語+動詞」の語順になります。また、時制も合わせて can を過去形 could に変えます。

    How can I see the stars?(どうやってホシを見るの?)
         ↓
told me how I could see the stars(ホシをみる方法をぼくにおしえてくれた)


◆ポイント3:疑問詞 how
疑問詞 how は、1人3役をして、「手段・方法」「様子・状況」「程度」を尋ねることができます。使い分けをしっかりおさえておきましょう。

◆疑問詞 how の使い分けポイント
①手段・方法:How do you study English?(どうやって英語を勉強しているの?)
「How+一般動詞の疑問文」のカタチ

②様子・状況:Hi, how are you? (やあ、元気?)
「How+be動詞の疑問文」のカタチ

③程度:How much is the ticket?(そのチケットはいくらですか?)
「How+形容詞(または副詞)」のカタチ

How can I see the stars?(どうやってホシを見るの?)は、「How+一般動詞の疑問文」のカタチであるため、「手段・方法」を尋ねている疑問文です。


◆Words & Phrases

how(どのようにして)


Lubicchi said as he looked up at the smoke.
ルビッチはくろい煙をみあげていいました。
“‘Believe. Even if you’re the only one.’”
「『信じぬくんだ。たとえひとりになっても』」

◆ポイント1:接続詞 as
as は「イコール関係」を表すことばです。「as S V」のカタチで「SがVするとき」と解釈しますが、「ルビッチが言った」という状況と「黒い煙を見上げた」という状況が同時に起こっているということがポイントです。
as he looked up at the smoke(くろい煙をみあげて)

‘Believe. Even if you’re the only one.’(信じぬくんだ。たとえひとりになっても)は、この物語の冒頭に出てきた1文です。#01で解説をしていますが、改めて。

◆ポイント2:命令文
英語は原則として、主語(S)と動詞(V)が必要です。Believe. のような「主語がなく動詞から始まる英文」は命令文と呼ばれ、「~しなさい」「~してね」などのように解釈します。
Believe.(信じぬくんだ)

◆ポイント3:even if
even if は「even if S V~」のカタチで「たとえSがVしても」と解釈します。基本的には、事実に反することや可能性の低いことについて話すときに使います。この even if~ は直前の Believe.(信じぬくんだ)を引き立てる役割を担っています。
Even if you’re the only one.(たとえひとりになっても)

◆Words & Phrases
look up(見上げる)


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