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【THE・ニッチ】Apollo Twin USBを2つ使う方法
俺だ。イーヴィルな斉藤(@evilsaitoh)です。
超ニッチでスキマ産業な話なんですが、オーディオIFのApollo Twin USBを2つ使っています。
Apollo Twin USBを2つ買った理由とメリット
1 買った理由
金が余って仕方ないから……ではなく、元々持っていたApolloのデジタル入力(光端子入力)が壊れたからイヤイヤ買いました。
「アナログ入力を使えよ」と思われるかもしれませんが、Apolloのアナログ入力(LINE入力)は通常+10dBのブーストがかかった状態で受けています。
![](https://assets.st-note.com/img/1657890446888-hvdpZlGf6S.png)
これにより、マイクプリ→Apollo間で+0dBぎりぎりまで上げると、Apollo間で自動的に+10dBされるため、音が割れます。
デジタル上の音量限界は+0dBであり、それを越えると不愉快な歪み、デジタルクリップとなるわけです。
![](https://assets.st-note.com/img/1657890848526-aw8aHCFfmp.png?width=1200)
これを防ぐため、マイクプリからの音を-10dBすることになり、マイクプリのダイナミックレンジを全開で使えなかったり、その間にコンプ挟んでいたりするとマイクプリ→コンプ→オーディオIFによる+10dB……となり、コンプの後に無駄なアンプ回路を入れることになります。
(正直なところ、Apolloのマイクプリ部はあまり評価していません、2つ買ってるのに)
また、ApolloのADC回路(アナログ音声→デジタル音声に変換する回路)も、割と低域が強め&薄めの音でさほど優秀なわけでもなく、外部のものを使った方がよい場合も多いです。
要するに、
①音割れするまでの音量(ヘッドルーム)を稼げない
②高品質なマイクプリ、コンプ等で増幅した後にApolloのアンプ部を通す羽目になる
③ApolloのADC回路を使う羽目になる
の3つの点で音質的に不利なわけです。
一方で、Apolloのデジタル入力は音量変化がないまま扱えるため、マイクプリによるダイナミックレンジをぎりぎり扱えます。
また、AD化も(マイクプリが対応していれば)高音質な外部機器を扱えます。
私はSSL AlphaChannelというチャンネルストリップを使っており、ADCの音はApolloよりも厚みがあり、正確な感じで気に入っているので、デジタル化したわけですね。
いや、「わけですね」と独りごちられても困るでしょうけど。
※ApolloにLINEインで使ってる場合のみ、意味があります。直でマイクを繋いでいる方はそのまま使用していてOKです。
2 反論
えー、生来正直なタチなので、上記はやや恣意的な真実の可能性があることも言っておかなければ公平ではありません(持って回った言い方)。
というのも、Apolloシリーズでは専用のマイクプリ・プラグイン(UNISON)を前段に入れることができます。
![](https://assets.st-note.com/img/1657894178207-NMqxAJFo8z.png)
プラグインを入れない場合は、インプット(LINE IN)に自動的に+10dBされますが、UNISONプラグインを使えば+0dBで通すこともできます。
(上の画像で言えば、左のインプットノブが+30dBで音割れるなら+20dBにすれば0dBで通すことができます)
ただ、それが「+10dBした後に-10dBにしているのか」「元々0dBで通しているのか」がわかりません。
私としては、音割れを感じるような、感じないような……しかしどうにもアンプを二つ通したような過剰な温かみ(warmth)を感じました。
よって私はデジタルインを使っています。
もしかしたら、SSLのADCの音がすっきりしていて好きなだけかもしれません。信じるかどうかは君次第だ!
3 メリット
さて、今までもそこそこメリットではありましたが、ニッチすぎるというもの。
わかりやすいメリットを上げると、「Apolloは2つ繋げるとDSPが二つ分使える」のです。
DSPとは、Apollo特有のプラグイン(UADプラグイン)を使う時に必要なCPUのようなものです。
Apollo Twinは「Twin」なので2つCPUが入っており、上位機種は8つ入ってたりします。
(Windowsに対応していたのはApollo Twin USBのみでしたが、最近はマザボがThunderbolt対応ならWinでも使えるのかな?)
じゃあ、実際に見せましょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1657893510402-9d0EptsK8t.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1657893545937-275qVBFSEQ.png?width=1200)
画面下の赤枠部分を見て欲しいのですが、入れているプラグイン自体は変わっていないのに2つ繋いだ場合はDSP負荷が約半分になっています。
このため、プラグインは2倍使えます。
ただし…!
4 ただし…!
章をまたぐようなことか?と思いますが、ニッチな記事だけに気になった方の道しるべになるかと思い書いておきます。
4-1 使っているチャンネル分のプラグインパワーしか対応していない
例えば、先ほどの画像でいえば、「私がマイクを繋いでいるApollo」で使えるのは、今までの分のDSPしか割り当てられません。
![](https://assets.st-note.com/img/1657894875217-Kqw0MG48LD.png?width=1200)
このため、「ボーカルモニターに付けてるNeve1073が重たいからもう一つApollo Twinを追加してまだまだエフェクトを足そう!」と思っている頭のおかしい方あなたの希望には添えないかもしれません。
ただ、DAW上で後からプラグインをかける場合は両方のDSPパワーが使えるので、「ミックス時に後でNeve1073付けたい」などの時には2つ分のDSPが使えます。
上記の説明でよくわかんなかったら使わない方がいいと思います(突き放す)。
なんでも教えてもらえると思うなよ(豹変)。
4-2 設定がめんどい
通常、OSではオーディオIFを2つ使う想定はされていません。知らんけど。サランヘヨ。
Apollo Twinではこれを「Console」というソフトによって統合することにより無理矢理使えるようにしていますが、Windows上では「なんで音を出す機器が2つ繋がってるの?」「どっちで音を聴いて、どっちで録音するの?」とパニクっています。
このため、設定→システム→サウンドデバイスを管理する→入力デバイス(出力デバイス)の中から使わない方を無効にすると自動で認識してくれます。
![](https://assets.st-note.com/img/1657895461064-rRmsQuxuDs.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1657895476411-WVpwuAJ7Ap.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1657895541251-279GsXsJtd.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1657895545311-Or3ipw7Ovv.png?width=1200)
「俺はバカだからよ…よくわかんねぇんだワ」とチンピラなのに本質を突くタイプは使わないでいただいて毎回Apolloの物理スイッチをオフにして使う順にオンにするといいですよ。
「Windows開く度にパチパチやってる文明を亡くしたゴリラに作曲を頼みたいか?」というのを除けば良い方法だと思います。
5 今回の内容は誤解も多い
ちなみにGoogle先生に聞くと…
![](https://assets.st-note.com/img/1657893726157-Wh9i3cmzKb.png?width=1200)
と、間違ったアナウンスをされます。
(出典が2021/5/20ですが、2015年時点でApollo Twinを二台使えると言われていたような…?)
6 まとめというか、今回のオチ。
↑気晴らしにマッシュアップ作りました。
「使えないのかもなぁ」と思っていたあなたは胸を張って買いましょう。
いや、自分で解決できるタイプだけ買いましょう。こんな記事信じてんじゃねぇ!
また、もう廃盤なのでメルカリとかで買うならきちんと機器ライセンスを譲渡してもらうようにしましょう。
普通に機器だけ買うとロックかかって使えないので…
(相手がApolloを卒業したならプラグインのライセンスももらっちゃいましょう)