それはスワヒリ語で書かれた特殊工作機械のマニュアルを選ばなかったということ
「何かを選ぶということは、何かを選ばないということ」という名言があるそうですが、果たしてそうでしょうか?
前後を見るに失恋の文脈らしいのでハートブレイクしたナニガシさんには回復するまで自分の信じたいものを信じてもらうとしても、まともな人が信じるには「そんなに選択の余地があると思っている」という時点で乱暴な話だと思っています。
例えば「キミは本屋で恋愛小説を選んだが、それはスワヒリ語で書かれた特殊工作機械のマニュアルを選ばなかったということ」と言われると「そりゃそうだよ、常識で考えろ」と思いませんか?
何が言いたいのかと言うと、「今回選ばなかった曲も俺は大好きだよ」「気分というバイアスがかかってるから明日の俺に聞いたら変わるよ」という言い訳でした。
では早速(かどうかはともかくとして)、#スキな3曲を熱く語る をやっていきましょう。
1 EGO-WRAPPIN' - Speculation
さっきは「気分によって選ぶ曲は変わるよ」とは言いましたが、いつの時代の俺に聞いてもこの曲について文句は出ないはずです。
「○年に発売された~」とかいう御託はいらないでしょう。そんなもんはグーグルに聞けばいい。俺が話す価値があるのは「どこが好きか」だけ。
ボーカルが、良い!!!!!!!!!!!!!!!!!
演奏が、良い!!!!!!!!!!!!!!!!!!しゅき!!!!!!!!!!!!!!!!
良いヘッドホンで聴いてほしいんですが、ボーカルの吐息まで感じるようなマイキングで、「特性の素直なマイクで歌っているんやろなぁ!!AT5040か!????(機材好き)」と思わざるを得ないような100%のボーカルに100%のミックスが合わさって10000%になっています。これは俺ックスフォード大学がまとめた論文で有効性が示されています(焚書対象)。
ただのバラードではなく、EGO-WRAPPIN'は「押して、引く」が伝わる波のような盛り上がりを持っていると思います。このバランス感がわかる人にはガラスよりも深く、歯痛よりもずっと強く、心に引っかかるはず。
2 PIZZICATO FIVE ー 悲しい歌
ピチカートファイブはね…いいね…。
バラードなんだけどずっと明るくて、二人の愛は終わったんだけど、それは悲しいことだけど、どうしようもないことで、決して険悪ではないのに、ただ、終わった。っていう構成がね…。ホントいいね…。
恋愛ソングは大好物で、「○○したから別れた」とか「○○だから好き」みたいな話が多いんですが、これはただある日、理由もなく目が覚めたようにすっと相手への温度が引く……みたいなのがリアルな恋愛を感じさせるので好きです。
ベースラインがノリノリで、使ってる楽器も明るいトランペットとかなのにボーカルの技量で悲しくしているのが単純にテクニックとしてすげぇ!とかで感情グチャグチャなるわ。
3 UNDER 17 - 1+1
(公式チャンネルなかったので動画なし)
ひとりの部屋は
すべてが君の
名前を呼ぶ
ぬるいコーラの缶を そっと置く音も
(UNDER 17 - 1+1より引用)
この歌詞で心動かないやつはゴーレムかなにか?
桃井はるこさん、作詞の才能がめちゃめちゃあると感じていて、特に恋愛に関しては「これな~~~~~」ってなりっぱなしで戻らない壊れた推進機関になってしまうんですが、ひとつ選ぶとしたらこれです。
恋人に感情的になってしまって、取り残された部屋に一人のとき、確かに「すべてが君の名前を呼ぶ」んですよ。がらんとして反響する音や耳鳴りでさえ、あなた、あなた、あなたなんです(壊れている)。
そして長い時間話し合ったことが伺える「ぬるいコーラ」がね、木のテーブルに当たる音とかもね、相手が実は帰ってきたんじゃないかって、未熟なままの私でいいって言って、全部何もかも今までどおりで、連絡をくれたんじゃないかって携帯見たりしてね……………………………。
君は今どこにいるの?
強い風でちぎれた糸の片端を
僕はまだもってるの
(UNDER 17 - 1+1より引用)
ここ第二の泣きポイントね……。
自分の気持ちが「まだ言えない」と思っていたけど、愛していて、罪だと思って隠そうとしたけど、全然隠せないし心が逆に脳に命令するような焦燥感があって、追いかけたいと思うシーンね。
逆境とか偏見とか思い込みについて「強い風でちぎれた糸」と考えて、自分のせいなのに離すこともできなくて、離そうとすれば離れるようなわずかな力なんだけど、その小さくて大きい力を執着と呼ぶんだぜ!!!!!っていう、は~~~~~天才かよ……。
僕ははしりだす 君をまっすぐに見つめて
こんどはちゃんと抱きしめる
もう二度と まちがいはしない
(UNDER 17 - 1+1より引用)
そして一生懸命追いかけるっていうね!?最初に抱いたのは「そこまで見せてくれるんだ!?この曲はよ!」というね!?わかるか?!(わからん)
ここのポイントは、少し前まで「誰かを愛するのは罪だから」と言っていたのに、今は「まちがい」ではないという点なんですね。「なんですね」とひとりごちられても困ると思いますが。
そうなんだぜ、宗教だの法律だの倫理だのがタブーを作ってもたかだか人間が勝手に考え出した話であって最終的には公衆道徳でしかないが、生き物としては何も間違ってないんだよ……酒も飲んでないのにこのテンション大丈夫か…?
(実際問題、この曲はDearSというアニメのEDなので、宇宙人が地球人に恋する話を描いていると思います)
人間の目が前にあるのは前を向くためかもしれないが、俺の耳は1+1を聴くためにあったんですね……。
ってやかましいわ。夜も遅いしもう寝る。おやすみ。