PHONON SMB-03(Subtonic Monitor Basic Headphones)レビュー。
こんにちは。YouTubeでゲーム実況をやっているイーヴィルな斉藤(@evilsaitoh)といいます。
私は10年ほどDTMをやっていて、オーディオオタクでもありますが、この商品のレビューはあまり見かけないのでやってみました。
机の上が汚くて写真は撮っておりませんので、代わり映えしない記事になることをお詫びします。
また、自費で購入しております。行灯記事を書く気はまったくありませんし、誹謗中傷をする気もありません。購入者目線で素直に書きます。
1 外観
〇ヘッドバンド…1~1.5cmほどで、フカフカしており、痛み、不快感などはありません。
〇長さ調節機構…目盛りごとにほどよく止まります。私の場合、11段階中5段階でちょうどいいので、頭が大きい人でも全然大丈夫かと思います。
〇側圧…締め付けはちょうどいいと思います。激しく頭を振ればズレますが、普通に動いている中でズレることはありません。ULTRASONE社のヘッドホンよりはゆるく、SONY MDR-CD900STやSENNHEISER HD800よりは締め付けがあります。
ただし、長時間着けていると徐々に頭頂部がヘッドバンドに当たります。
〇ケーブル…ヘッドホンの左にステレオプラグがついており、カールコードを差して使う形です。
左からコードが出ているのはSONY MDR-CD900STと同じで問題ありませんが、カールコードは長くつけていると片側に重みが集中して肩コリになるので私は好きではありません。
〇イヤーパッド…合成皮革のイヤーパッドです。フカフカとしていて痛みはありません。耳を完全に覆う大きさです。
(余談ですが、SMB-02という機種ではイヤーパッドが小さ目だったようで、耳を押しつぶす形になるので敬遠していました)
2 音
低域の量…★★★★☆
中域の量…★★★★★
高域の量…★★★☆☆
アーティスト向けのヘッドホンということで、中域が目立っています。
ボーカルは近く聞こえますが、オーディオテクニカのようにピタピタに張り付いてくる感じではありません。
ボーカルのモニターでは正直MDR-CD900STの方が近くて音を取りやすいです。
ベースのモニターは少し膨らみますが、低域の音階がわかりやすいので聞きやすいと思います。
低域は、かなり低いところまで出ていて耳の周りに圧を感じます。ただ、締まっていて、DJ系の緩い低域のヘッドホンを使っていた人だと物足りないかもしれません。
一番残念だったのは高域です。
中高域付近の一部が凹んでいて、ちょっと違和感があります。
また、超高域(20kHz付近)がかなり弱いので、よく言えば「自然な聞こえ方をする」し、悪く言えば「物足りない」「ミックスには使いにくい」とも言えます。
演奏する人に向けたヘッドホンなので「気持ちよく演奏をする」という一点に向けられたのかもしれません。
ただ、リスニング目的で聞くときは刺激がなく物足りません。ちょっと欠落した部分がある印象です。ULTRASONEなどに慣れているとなおさらかもしれません。
3 比較
〇SONY MDR-CD900STとの比較
900STは低域が軽すぎる。高域はよく出ているが、シンバルがシャリ付く。SMB-03は低域がボン付かず素早い。シンバルは一歩奥に引っ込んだような音。
解像度は……900STは低域が少ないので相対的にそれ以外がよく聞こえる分、900STのがマシと思いました(好んで使いたくはないけど)。
音楽を聴くならSMB-03の方がいいんですけど、2万も出すならもっといい機種あるかもなぁ。
〇ULTRASONE edition9との比較
e9は明らかに高域が出ており、高域のノリ(ハイハットなど)が見えやすい。低域は比較すると遅い。高域の問題で、サンバなどの「スッカーン!」というスネアはe9の方が楽しい。ボーカルは遠く、中域の高いところにちょっとしたピークがあって少し不自然。
SMB-03は低域が速くてリズム隊のノリがいい。ただ、自然すぎる……。管楽器の「耳に痛いギリギリのラインの高域」みたいなのが落ち着いてしまうので、刺激が少ない。
〇TAKSTAR PRO82との比較
この2機種、見た目が似ています。
PRO82の方がボーカルが遠くてシャリつき、全体的に薄味ですが、自然に音楽を楽しめます。ミックスの意図通りの音というか……。
SMB-03はボーカルが近く、全体的な完成度は高いんでしょうけど、やはり高域とか中域の凹みが気になります。
4 曲とのマッチング
※すべてYoutube音質ではなく、CDで聴いています。
※貼ってある動画はすべて公式動画です。
〇PIZZICATO FIVE ー 悲しい歌
私にとってのポップスの神様です。
SMB-02は結構低域が暑苦しい音なんですが、低域がある曲だとずっとベースが目立ちます。これは単純に好みなんですが、私は結構好きです。
「意識しなくても低域の音階が聞こえるヘッドホンだ」と言われていますが、確かにそうで、低域の解像度はかなり高いですね。
この曲は、爽やかだけどそれだけじゃないモヤモヤを強めの低域で表現しているようなイメージなんですが、低域が強くてそれどころじゃなくなってるのに笑いました。
でも、ボーカルは近いし、ノリもあるし、ベース音が聞き取れるので一緒に歌いたくなるような音です。
〇SOIL&'PIMP'SESSIONS - Movin'
現代的なジャズなんですが、ボーカルも何もかも高水準で超好きな曲です。
SMB-03で聴くと、「管楽器がもっとヒステリックに鳴ってほしい…」と思います。ちょっと耳に痛いくらいがちょうどいいというか。
低域のノリは良いんですが、元々のコントラバスの音がくっきり録っていないので、淀んだ感じに聞こえます。
でもやはりボーカルは100点満点です。というかかっこよすぎる。
〇東京事変 - 今夜はから騒ぎ
バンドサウンドとのマッチングを調べるために聞きました。
この曲はベルがリズムの中でかなり重要な位置を占めるのですが、ちょっと奥まったところに配置されているような音になってしまいます。
ベースそのものはノリがよく、サスティンをミュートしているところまで聞こえるのはいいですね!
音数が多くてちょっとごちゃごちゃしてしまう印象です(SMB-03は密閉型にしては広めの音場ではありますが…)。
GRADOのヘッドホンのようなスッカーンとしたあっけらかんな音で聴きたい曲です。SMB-03だとちょっと暗いかも。
〇King Gnu - 白日
女性ボーカルばかりだった&最近の曲がなかったので選出。
まずはリズム隊が小気味いいですね!元々スカッとした音色ではないので、ちょっと暗めなSMB-03の音色に合います。特にメロからサビに行くときのバスドラムは耳に風が当たるような振動を感じます。
曲自体が暗い音色でSMB-03の音色にマッチしているんですが、ボーカルの伸びやかに消える高域があまり生かされていないのが残念です。
可もなく不可もない感じですね…(一番困る)。
5 まとめ
・ボーカルが近く、ベースが聞き取りやすいので歌いやすい。
・超高域は他のヘッドホンのように出ていない。高域は一部凹みがあって不自然に感じるかも。
・シンプルな歌い上げる曲に向く。ヒステリックな音が売りの楽器(トランペットとかシンバル)はおとなしくなりすぎる。
万能なヘッドホンだとは思いませんが、ボーカルが近くて既存の曲を歌って楽しむ用途では適していると思います。
一方で、これでミキシングなどをするのはオススメしません(超高域を出しすぎていても聞こえにくいため)。
ボーカルのモニターにも、「声が近いからエフェクトの変化がわかりやすい」「ベースの音階が聞き取りやすいので音程を取りやすい」とも言えますし、「MDR-CD900STでいいじゃん」と言われればその通りとも思います。
まとめると、期待しすぎるとちょっと肩透かしを食らうとは思いますが、低域が締まっていてボーカルものをよく聞くならアリと思います!
※追記 大きい音を出して急に止めると「オォン…」みたいな音がするので調べてみたら、ハウジングが共鳴してるっぽいです。自分のものだけかもしれませんが、ダイナミックレンジが広い曲を聴くと余計な音が鳴っていて微妙です。。
【使用機材】
・Universal Audio Apollo Twin(DAC代わり)
・intercity MBA-1 PlatinumEdition(Headphone Amp①)
・RudiStor RPX-308(Headphone Amp②)
・Grace design m903(Headphone Amp③)
※いくつかアンプを変えて聞き直しました。
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