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【レビュー】Rupert Neve DesignsのNewton Channelは音の芯が出る神マイクプリ
こんにちは。イーヴィルな斉藤です。
明けた明けたとは聞いていましたが流石に明けましたね、年が。当たり前だろ。おめでとうございます。
と同時に、石川県地震の被災者におかれましてはなるべくケガ・病気をせず暖かく過ごしてほしいです。無力ですが勝手に祈らせてください。
さて、今回はRupert Neve Designs(以下RND)のNewton Channel(マイクプリ+EQ+コンプレッサー)を購入しました。
この機種はあまりレビューがないので、後に続く方が参考にできるよう綴っておきます。
言うまでもありませんが、自費で買った機材を勝手にレビューしています。どこからもスポンサードされていません。
世の中には誰からも頼まれていないのに4800字もレビューを書く化け物がいるのです。
ステマ案件すら来ない弱小レビュアーでごめんな。
1 なぜ買ったのか
![](https://assets.st-note.com/img/1704711034479-ppAEbcR0eH.jpg)
今まではSSL(Solid State Logic)社のAlpha Channelマイクプリを使っていました。
![](https://assets.st-note.com/img/1704874068363-Rx5IqXgLsx.png)
ですが「どのマイクを使っても納得できないなー」と思っていて、「もしやマイクプリを変えたら良くなるのでは!? 買うゅ!」と思い至ったわけです。
さて、マイクプリ新調に当たっては、
①音が良いこと
②コンプが付属していること
③10年くらいメンテナンスフリーであること
をメインに考えました。
①はともかく、②はコンプを別に用意すると机周りがごちゃごちゃになるのでなるべくチャンネルストリップで揃えたい、③はあんまり買い換えたくないしメンテナンスを気にしながら使いたくない、という気持ちがあり。
30万前後で考えていた機種としては、
・MANLEY - Core(中古で30万)
→Twitterで「電圧が安定しないと起動できない」という書き込みがあって面倒くさいな、と思った。オプトコンプ好きだからELOPは使ってみたい。
・Universal Audio - LA-610(新品で30万)
→使ったことがあって、めちゃんこ良いんですが真空管の劣化を気にしたくない。音だけならこの機種選んでた。
(今回Neve試してみたらLA-610より使える音が出たので後悔はしていない)
・Grace design - m103(中古で30万)
→単体マイクプリのm101は持っていたことがあり、良い音だけど私は好きになれなかった。良いオーディオIFでよさそうというか。
・Rupert Neve Designs - Newton channel(新品特価で25万円)
→RND製で音良さそうで、コンプ付きで、真空管とか無しでメンテナンスフリー。おまけに新品特価になってた(重要)。
また、素直でトランスペアレントなモードとヴィンテージっぽい音を出せるSilkモードの両方があるので気に入った方を使えるのが決め手になった感じ。
2 数少ないネットレビュー
![](https://assets.st-note.com/img/1704876152194-W5vvboNpEL.png)
ヴィンテージNeve 1073と同系統のしっかりとした音。
ニュートン・チャンネルのプリアンプは、高域が強調されつつも滑らかで、極めて高品質な結果をもたらす。
Silk モードは、オーディオに倍音成分を追加して(中略)1990 年代の Amek 9098 シリーズの暖かさ、輝き、光沢の特徴に基づいた素晴らしい機能です。
……ホントかぁ?(猜疑)
3 俺のレビュー
①マイクプリの音(EQとコンプ、Silkをパイパス)
![](https://assets.st-note.com/img/1704878542670-fGLYBnVcUi.png?width=1200)
いやもうめっちゃいいすね。なんだろう、説明を放棄したい。
「いうてNeveの中でも安い方やからあんまり良さがわからないんちゃう~?」と心の中の関西人がわめいていましたが、うーん、文句なし。
純度が高いんですが、オーディオIF直で録った音のような素っ気なさ・聞きづらさがなく、芯がある音です。
なんだろう、「主役パートの音だな」という感じ。濃い音です。
流石にEQは必要ですが、それくらい堂々としている音です。ピュアなのに音が良い。なんだなんだ。そんなことあるのか。
私はヘッドホンオタクでもあるんですが、界隈で言うところの「制動が良くなる」ような印象を受けます。サスティンがピタリと止まる感覚というか。ノイズ少ないからかな。
一応言っておくと、音がズドンと太くなることはありません。いやわずかに太くはなってるんでしょうけど、それを期待するのはマイクプリのセクションではないかも(SILK機能で太くできます)。
でも裏声とかも繊細に、細すぎず出してくれる。ピュアなのに。よくわからんな。俺が素人のレビュアーで良かった、「よくわからない」って言えるんだから。
・ローカットについて
「マイクプリ」セクションにはローカットも付いていますが、これがまた良くて、ローカットする周波数を変えられるので、歌いながらクルクル回してたらちょうどいいカット位置が見つかります。
マイク本体やプリについているローカットって大体「80Hz」とか「120Hz」みたいな固定周波数なので物足りない人もいたはず。俺もそうです。
![](https://assets.st-note.com/img/1704877580192-bvyKwjikmr.png)
②EQの使い勝手
![](https://assets.st-note.com/img/1704878934182-rnPvIgGBs2.png)
ローとハイが固定周波数なので悩まずに設定できますね。
一方、音決めの自由はありませんが、ちゃちゃっと設定してみて気に入らなかったら後でプラグインでEQすればいいのです。
EQごときで悩むな!(自省)
まぁマイクによるので書いても意味ないことではありますが、低域の60Hzのローシェルフを減らすとダイナミックマイクでもだいぶ扱いやすい音になり、ちょっとエアー感を出したい時は8kHzをちょっと上げるとそれだけで「作品の音」っぽくなります。
上げ幅は±12dBですが、3~6dBくらいは気軽に上げ下げしてみてほしいです。音質変化少なめで音量も大きく変わらない印象ですし。
③コンプの音
![](https://assets.st-note.com/img/1704878980229-I61tE9wNIF.png)
透明なコンプレッション、という触れ込みではあったけど、コンプ付けた方・付けてない方で歌ってみたら、違いがハッキリ出ました。
・コンプを付けていた方が前に張り付くような、「前後に動かない音」になります。
・録ってる時テンションが上がって段々声が大きくなってしまうところが均されて聞きやすくなります。
・音質変化はかなり少なめです。
VCAコンプレッサーだから当然の話ではあるんですが、そう変化するからにはこう書くしかないんや。
アタックが固定の20msだったので「あまりコンプに力入れてないのかな?」と思ったけどこれ何にでも使える実用的なコンプですね。
リリースは変えることができますが、「FAST」なら前に出てくるし、「SLOW」なら奥に引っ込みます。
メインボーカルをFASTで録って、コーラス(被せ)をSLOWにひねるだけで立体感のあるボーカルバスができました。ああ試したとも。レビューのためにな!
④SILK機能について
![](https://assets.st-note.com/img/1704880222353-aduPcTHMeQ.png)
・SILKオフ…ピュアな音でバランスがいい。ほぼこれでいい。
・SILK赤…高音域にトランスの歪みを加えるらしい。一聴して歪んでる!って感じで出るわけではなく、「じゃあ」って発音が「ジャあ」みたいにジャキッと変わる感じ。どんな感じだ。俺の声の帯域だとパンチが出る。SILKってほどシルキーにはならずトラックの中でわずかに目立つ音になる。
・SILK青…低中域にトランスの歪みを加えるらしい。こっちのがわかりやすく効く。低域が太くなる。ちょっとUniversal Audio LA-610の低インピーダンス設定みたいな音になる。派手。
海外ニキのレビューに「SILK機能は使わない」と言ってた人がいたけど、気持ちがわかるくらいSILKオフの音が良いですね。
もちろんSILK有りの音も素晴らしいし、使えるのは間違いないです。が、やっぱりオフの音がバランス良くて「これで録っておけばよくない?」とNeveさんから言われているような音です。どんな音だ。
⑤その他
クラスAのプリアンプ、と書いてあったので発熱するかな?と思ったんですが、数時間付けっぱなしでも発熱はなし。夏場も助かりそう。
4 マイクと合わせてみた
①AMATERAS 8097Sでの録音
![](https://assets.st-note.com/img/1704882497336-9frGgy5xnC.png)
ちょっと怪しいマイクですいません、この価格にしてはなかなか良いマイクだと思います(ノイマン売っぱらってしまった、新しいマイク探し中)。
今持ってるマイクでは一番相性が良いですね。
見晴らしがいいだけではなく出すぎない高域が素晴らしいです。
高級マイクプリはUniversal Audio LA-610しか使ったことがないんですが、その時と同じ「高級な音」を感じます。
きちんとマイクが駆動されてサスティンがピタリ止まる音というか…背景の空気がシーンとしてるというか…(わかりにくくてすいません)。
このマイクは比較的フラットですが、高域8kHzを+3dBくらい盛って使ってみました。音がかっこいい。今日俺褒めてしかなくね?
EQの効きも緩やかで「EQかけてまっせ!」みたいな主張する音でないのも良いですね。
②Earthworks ETHOSでの録音
![](https://assets.st-note.com/img/1704883399681-zoKwDak335.png)
良い意味でレンジの狭さを感じました。
私はこの機種をShure SM7Bみたいな周波数帯域してんな、と思っているんですが、そのまままさに「SM7Bをこのプリで増幅したらこういう音になるよな」って感じ。
コンデンサマイクなのになんでこんなに似てるんだろう。
歌録りに使いたいか…と言われるとなるべくコンデンサマイクっぽい音で録れる機種を選びたくなるんですが、ナレーションやゲーム実況などでは太い声が出るので使いやすいし聴きやすい音だと思います。
ラジオなどを長時間聴くにはこういう高域おとなしめの音がちょうどいいんですよね。
③SENNHEISER e935での録音
![](https://assets.st-note.com/img/1704883653933-5ylMTr8NSD.png?width=1200)
ダイナミックマイクも試してみました。
久々に取り出したので「e935ってこんな音だっけ!?」って思ったけど、SM58より高域がシャリっとした機種です。
どうしてもコンデンサーマイクに慣れてるとしばらく会ってない友人みたいなよそよそしさがあります。こんな暗かったっけ。
これもいいですね。コンデンサマイクではヘッドホンの音漏れを拾ったり、部屋鳴りが入ったりしますが、近くで録れるダイナミックマイクだけあってそういったあれこれが入りません。宅録では「いかにデッドな音で録れるか」が一番重要なのでダイナミックマイクももっと脚光浴びてほしいですね。
e935は中~高域に歪みっぽいところがありますが、それがマイクプリによって十全に駆動されていてかっこいい音です。
ダイナミックマイクなので、EQで60Hzを3dBほど下げました。低域が支配的にならず扱いやすい音になりますね。
5 終わりに
![](https://assets.st-note.com/img/1704884675080-4KOpRvCNBx.jpg?width=1200)
結論!
Newton Channelは当たりのマイクプリでした!
Rupert Neve Designsのマイクプリって、PCならMac、車ならジープみたいな「特定の人にとってはゴール」みたいなブランドだと思っていて、手に入れるビジョンが浮かばなかったので、家にあると違和感すごいですね。
つい眺めちゃうぜ!!!んーまっ(っ◝💋◜c)
RNDには「SHELFORD CHANNEL」という音が良いことで有名なマイクプリ(53万円!フリーザ様の戦闘力かよ)があり、聞いたことはありませんが、個人的にはNewtonで充分だと思います。
いや妥協とかじゃなく、個人でこれ以上こだわるなら吸音・防音関係をした方がコスパいいんじゃないでしょうか。
今回の買い物でNeumann TLM103というマイクを売ってしまったので、良いマイク探しをしています。
今狙っているのはAUSTRIAN AUDIO OC18あたりです。10万かぁ。稼がねばね(´ω`)
久しぶりに長文書いて楽しかった(こなみかん)。
※2024.1.14追記
言い忘れていましたが、コンセントを120Vトランスに変換して駆動しています。
全体的に音楽機材は100Vよりも120Vで駆動した方が濃密な音に聞こえるので私はそうしています。
なお、100V~240Vまで使えるユニバーサル電源なのでできる芸当なので、日本製品や100V専用品を120Vで駆動するのはやめましょう。最悪火が出ます。個人の責任でどうぞ。