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人事労務室の会話から#5 「ハラスメント研修を企画して」

上司さん「人事部長から、ハラスメント研修を行うように指示がきたよ。」

部下くん「先月パワハラが原因での退職がありましたからね・・・」

2019年5月成立、2020年6月に施行された、「改正労働施策総合推進法」いわゆる「パワハラ防止法」ですが、2022年4月からは中小企業も対象になりました。
皆さんの会社では、対策は行われていますか?

企業の義務は、以下の4つです。
 ①社内の方針を明確にし、従業員に周知・啓発すること
 ②相談体制を整えること
 ③被害を受けた労働者に適切かつ迅速なケアをすること
 ④プライバシーを保護し、相談を理由とした不利益な扱いはしないこと

部下くん「ハラスメントの研修って、社員からは嫌な顔されそうですね。」

上司さん「委縮してしまう状態になるのは避けたいな。」

これはパワハラ! それはセクハラ!! あれはモラハラ!!! 
と、ひたすら注意喚起が行われるような研修では、チームのマネージャーや後輩を教育する立場の先輩たちが、「何を言ってもハラスメントになりそう・・」と委縮してしまうかもしれません。

「相手がパワハラと感じたらパワハラ」という言葉をよく耳にしますが、これは間違いです。
ハラスメントと判断されるには、平均・客観・社会一般的にみて、看過できない程度の支障が生じたか、がポイントになります。

せっかく研修をするのなら、このような知識を正しく身に付けて、安心してもらえるようなものだといいですよね。誰も加害者にはなりたくないですから。

上司さん「同期たちも、女性や後輩に話しかけにくいって嘆いていたよ。」

部下さん「ハラスメントを気遣って職場環境がギスギスしたら本末転倒ですね。」

相手の受け止め方次第で、ハラスメントになってしまうかも、、という誤った認識は、職場のコミュニケーション不全を起こしてしまいます。

そしてこの、コミュニケーション不全はハラスメントが起きやすい職場の特徴とされているのです!なんという悪循環!!

厚生労働省(令和2年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査)

上の表は厚生労働省の行った調査で、パワハラを経験した人と、パワハラを経験しなかった人の職場を比較したものです。

両者の回答割合で、特に差が大きかった
 「上司と部下のコミュニケーションが少ない/ない」
 「残業が多い/休暇をとりづらい」
 「失敗が許されない/失敗への許容度が低い」 
こういった職場の環境は、ハラスメントが起きやすい職場といわれます。
みなさんの会社はいかがですか??

これを見ると、個々に知識を身に付けてもらうだけではなく、
改めてチームビルディングをすることも、ハラスメント対策には効果がありそうです。

「心理的安全性」という言葉がありますが、ハラスメントが起きにくい職場環境はまさにこの「心理的安全性」が高い職場といえるのではないでしょうか。心理的安全性について詳しく知りたい方はこちら

部下くん「一度、アンケート調査をしてみましょうかね。」

部下くん、まずは状況把握から動くようです!
研修というと、現場からは「忙しいのに…」といった冷ややかな声が聞こえてきたりもしますが、こんなに社員のことを思っている上司さんと部下くん。ふたりの思いが実りますように、、、

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