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【シリウスの光芒】芹沢あさひの足跡を辿るために
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ストレイライトのセンターアイドル、芹沢あさひ。類稀なる才覚の持ち主で、デビュー当初から他のアイドルの追随を許さぬパフォーマンスを力を発揮。ライブ上での迫真の様相とは裏腹に、普段は朗らかな表情を見せる他、自分の好奇心に従った気ままな行動で多くのファンに親しみを持たれている。
それが、彼女の魅力────
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な、だけじゃない!
芹沢あさひという少女の持つ魅力、彼女がこれまでに積み重ねてきた時間、そしてそこから私たちが受け取るものはもっと沢山あるんです。天真爛漫、自由奔放。彼女のパーソナリティを示す言葉としてもちろん正解ではあるのですが、それだけじゃ足りない!
私はもっと多くの人たちに、『芹沢あさひ』という少女のことを知ってほしいのです。
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この記事は、そんな彼女の足跡を今から辿るにはどんなルートで辿っていけばいいのかを私なりに綴っていくものです。
ネタバレは極力避けてはいますが、カードシナリオの大筋などには触れる場面もありますので、そういったものを避けたい方は【1】の結論だけご覧ください。
【1】結論:芹沢あさひを知るならこう読むっす!
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あさひが登場してから現在に至るまでに実装されたシナリオの中から、あさひの歩んできた歴史を追うために最適なコースをご紹介します。ガチャを引かないと読めないお話やCD・各冊子の購入特典などの有料コンテンツによる解放などもあるので、それらの有無によって分岐させたものをコース分けしました。
とはいえ、基本は共通コミュを読んでもらえればOKです! あさひが今日ここに至るまでに必要なエッセンスはすべて、共通コミュに散らばっていますし、ガチャ産コミュはその裏付けとして存在します(どのアイドルにも言えることではありますが)。
それも実装の時系列順に追っていくスタイルでいいですが、STEPに関してはWING前後でもいいかもしれません。あさひが後々獲得していく性格特性に奥行きをもたせてくれるお話、そして何よりストレイライトというユニットを結成することのできた奇跡に感謝せずにはいられなくなるお話で、サポートコミュを追っていくときの歓びが一層増していきます! 私はSTEP編は序盤に読むことをお勧めします。
イベントストーリーに関しては、いわゆるストレイライト三部作と言われるものはせっかくなら触れていただきたいところ。芹沢あさひという人間が受容されていくまでの感覚を肌で味わえますし、ユニットとしての礎となるテーマが詰まっています。
明確にあさひが主軸となっているのは【Wintermute,dawn】。このお話には前提となる積み重ねの要素が多分に含まれていますので、他コミュを読んでから終盤に触れることを強くお勧めします。
以上の要素を踏まえつつ、各種イベント報酬(ミニセレチケ)、ガチャ産、限定ガチャ産カードを加えて出来たルートが次の通り!
☆赤ずきんちゃんコース
芹沢あさひの物語を追い始めたばかり。あちこちに見られる要素に目移りしつつ、まずは骨組みを掴む目的を果たしたいあなたにおすすめ。
WING編・STEP編→イベント【Straylight.run()】→感謝祭→イベント【WorldEnd:BreakDown】→GRAD編→イベント【The Straylight】→Landing Point編→イベント【Wintermute,Dawn】
☆魚坊主コース
イベント報酬、恒常ガチャ産カードを含めたカードでもどんとこい! どんどんシナリオを読むぞと意気込む暴れん坊なあなたにおすすめ。
WING編・STEP編→pSSR【ジャンプ・スタッグ!】→イベント【Straylight.run()】→感謝祭→sSSR【あめ、ゆき、はれ】→イベント【WorldEnd:BreakDown】→GRAD編→イベント【The Straylight】→sSR【頬を照らすのは】→Landing Point編→pSSR【光は光へ】→イベント【Wintermute,Dawn】→pSSR【ムーンライトガーデン】
☆バムバムくんコース
恒常だけでなく、限定ガチャ(トワコレ、マイコレを含む)から出てくるカードも含めた”芹沢あさひを総ざらい”なルート。Lサイズにナゲットまで付けちゃう、貪欲なあなたにおすすめ。
WING編・STEP編→pSSR【ジャンプ・スタッグ!】→イベント【Straylight.run()】→感謝祭→sSSR【あめ、ゆき、はれ】→pSSR【空と青とアイツ】イベント【WorldEnd:BreakDown】→GRAD編→イベント【The Straylight】→sSR【頬を照らすのは】→Landing Point編→pSSR【Howling】→sSSR【ひかりしめすは】→pSSR【Anti-Gravity】→イベント【Wintermute,Dawn】→pSSR【ムーンライトガーデン】
【2】解説:芹沢あさひシナリオの軸っすよ
ここから先は、前章で示しました各種コースに関連して、芹沢あさひという少女の物語全体に寄り添ったベースラインを解説しようと思います。あくまで私の主観で感じているものには過ぎませんが、彼女の歩んできた5年半の中にどんな軸があったのか。彼女の物語を読む上での、一助となれましたら幸いです。
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まず、あさひの物語では彼女の”成長”をベースとしてお話が進んでいくことが多いです。283プロダクション所属のアイドルの中で唯一の中学生。子供から大人になるにつれて、最も大きな成長の過渡期となっていく時期にある彼女は身体的にも精神的にも成長しているとされる描写が多めです。(流石に立ち絵の変更などはありませんが、冬優子や愛依から身長が伸びているかもしれないといった発言がされたことはあります)
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【House Keeping!】は実際、身体的な成長にかなり重点が置かれたコミュで、実際に成長痛を感じてレッスンをストップする場面も。大きく成り行く自分の体と、仕事に打ち込みたい気持ちと、その折り合いをつけていく過程もまた大人への階段を登っていくということ。あさひは一人の人間としても大きくなっていっていることを改めて私たちに伝えてくれたコミュとなっています。
ここでは主に後者、精神面等身体的な成長に終始しないものを取り扱おうと思います。
芹沢あさひという少女の成長の中には主軸として三つの要素が備えられていると私は考えています。その三つとは、『『同化』『拡張』です。大まかな定義なので、無論この言葉の中に色々な要素を含んではいますが、この三要素を主たる軸として走らせつつ、時に交差することで彼女の物語は綴られていきます。
☆『神秘』
おそらく一番彼女のパブリックイメージに近いのがこれ。多種多様なアイドルの入り混じる283プロの中でも、どこか俗世離れした印象のある髪色と瞳。その印象に偽りなく、彼女は到底普通の人間では成し得ない奇跡を実らせています。
・純真
その容姿と同様に、彼女の人格もまた並ならぬ瑞々しさを携えています。彼女のお話が進んでいくにつれ、その純真さは濁るどころかどんどんと透き通っていくのを感じます。
芹沢あさひは根底にある感性が、幼げを失っていない子です。私たちが幼少の頃に抱いていたような幻想的でピュアな世界を未だ抱き続けてくれている彼女は、真っ直ぐに自分の言葉でそれをぶつけてくれます。私たちが忘れてしまったあの時の色づいた記憶が呼び起こされるようで、彼女との会話には他にない温かみを感じます。
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【ジャンプ・スタッグ!】は最初のpSSRコミュでもあるので、導入としてはうってつけでしょう。あさひの自由気ままな行動、遠慮のなさに振り回される心地よさを味わうのならここから。あさひは最近のコミュでは少し聞き分けの良さを得た面もあるので、ここまで振り回してくれることは少なくなってきました。成長を噛み締めて、何度も読み返したくなるコミュだと言えます。
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あさひのコミュにおける傑作として名高い【空と青とアイツ】は我々大人では思いつきもしない、彼女の自由で柔軟な発想を見せてくれるコミュ。彼女の行動は一見危なっかしくて、その目的も分からないことが多いですが、彼女は純粋に自分の中の世界を描きたいだけ。彼女が作ろうと試みた島、そこから見上げる空を理解した瞬間、あなたはグッとあさひのことが好きになるはず。
プロデューサーからの歩み寄りもこれ以上がないと思わせてくれる、今なお色褪せない名作です。
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【不機嫌なテーマパーク】は彼女の童心を全身で浴びられる癒しのコミュ。あまり家族で行ったこともなかったのか、遊園地に行ったあさひのはしゃぎっぷりが本当にかわいらしい。イラストで抱き抱えているぬいぐるみたちは、彼女がアトラクションで手に入れたもの。『ねこ』と『くま』と『うさぎ』が何を意味しているのかは、衣装の「デッドチャンネルl2<)3」を思い返せばすぐに分かるはず!
タイトルに『不機嫌』とついていますが、移り気な彼女なので、すぐに機嫌を直して別のものに関心を寄せちゃいます。そういう切り替えの速さもあさひの魅力です。
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各アイドルのパーソナリティに触れるMySongsコレクションは、あさひはめぐると並んで一番手を務めました。このコミュは自身の中から湧き立つ好奇心と衝動のルーツを探る物語。マイコレコミュ共通でお話は短めではありますが、彼女の行動原理やステージに立つ上でのスタンスに触れることができるので、もし余裕があれば触れてみてください。あさひのソロ曲『星をめざして』の楽曲に秘められた熱に気づくことができるはずです。
・才覚
並ならぬアイドルとしての才能もここに含みます。個人・イベントを問わず、シナリオ内であさひのアイドルとしての評価は異常なまでに高く設定されており、283内でも随一の存在となっています。(それ故に食いついて、逆に超えてやろうとする冬優子と愛依の泥臭さと気高さが際立つのです)後発アイドルの鈴木羽那にも『天性のアイドル』としての評価がついていますが、あさひもそれに引けを取らないと思います。
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そこにフォーカスされ、ストレイライトの二人がどう向き合うのかが描かれたのが感謝祭のお話。実装されてから今に至るまで。ストレイライトというユニットのかたちの礎はこのコミュで築かれたと言っても過言ではありません。一人だけが特出した売れ方をする中で、どこか諦めムードの冬優子と愛依。そして誰もついてきてくれないことに寂しさを感じるあさひ。すれ違う3人を繋ぎ合わせたものは──。
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感謝祭のお話はシャニソンで裏側のお話を交えつつ、3Dグラフィックでリメイクされたのですが、ストレイライトは最後のレッスン前の対話シーンが見どころ! あさひを驚かせた二人のパフォーマンスが、実際の楽曲振りで見ることができたのはそれだけでリメイクの意味があったと思います。
あさひの才能はぐんぐんと伸びていく一方で、その行き先は不安定であることも描写されます。彼女はどんな未来に行くことも選べる立場にある人間、次から次に周りから手を差し伸べられる中でどう進んでいくのか。
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【Howling】では、あさひが自身を白狼に重ね合わせ、その展望を考えるシーンがあります。次から次へと高みへと昇り詰めていけば、辿り着くのは自分の他に誰もいない、ただ凍てつく風の吹き付ける雪原。そこには自分と縄張りを奪い合う存在はおろか、自分と関わることもなくすれ違っていく有象無象も陰すらない。それでも彼女は、足を止めることはない。
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肌寒さと寂しさを感じる中であさひは大自然の過酷さに負けぬ、白狼の姿を目に捉えます。それが本当に見た姿だったのか、幻影だったのか。あさひ当人にすら分かることはないですが、彼女は一つの確信を抱きます。狼は強靭な肉体を持って、雄々しいシルエットを携えている。その背中の逞しさ、風にたなびく大きな尻尾。それは雪原を離れてなお目に焼きついており──。
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あさひの歩む行く先をプロデューサーと冬優子と愛依が結果を持って指し示すお話が【Wintermute,dawn】です。ストレイライトの一つの到達点として、これを読まずしてあさひを語ることはできないでしょう。
海外進出もしている事務所から実質引き抜きの意味合いが強いスカウトを受けたり、同級生の生徒から共演者のサインをせがまれたり、環境をガラリと変えられるような干渉を一度に受けたことであさひは自分の立つ位置の意味を見失いかけます。ステージに立ちつづける理由、アイドルを続ける理由、そしてストレイライトの3人で居続ける理由。
それは感謝祭の時にも一度掴みかけた解答でした。
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あさひがアイドルに見た輝きはどこにあって、フェンスの中から見た外の世界とはどこを指し示すのか。
それを教えてくれるコンパスは、すぐ側にある。
これまでのお話の集大成として、共通コミュなどをすべて追った後に是非触れてほしい作品です。(限定カードのコミュからの引用などもありますが、話の理解を深める程度です)
*
こうして、あさひがストレイライトでい続ける理由を力強く証明されたのですが、8ヶ月の時が経って登場した最新カードである【ムーンライトガーデン】で今度はその根幹を揺るがすような事件が起きています。
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月にも手が届きそうなほどにのびた木、そこによじ登って満月を掴もうとするあさひの姿はまるで絵本のように幻想的ですがそこに投影されているメッセージは複雑で、胸が苦しくなる。
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フェンスの中から見えた世界に向かって一生懸命手を伸ばした。
あさひは窮屈な世界から抜け出せたと思っていた。
広く、開けた世界に自分も行けたと思っていた。
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芹沢あさひの物語は、第二部が始まったのだと思います。
・幸運
あさひの特徴的な要素として、無自覚に自分を含めた周囲の人間にとってプラスとなる作用が挙げられます。彼女がそうしたい、そうすべきだと考える行動が周りの人々にとっての救いとなっていく。そういった描写をされるシーンがしばしば見受けられます。
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個人的に絶対に外せないのが【ちぐはぐ姫】。あさひは自由奔放であるし、思索の果てに自分の周囲を散らかしてしまうことにも無頓着。プロデューサーを含め周りの人々は彼女に終始振り回されるのですが、彼女の持つ天性のものがそれを全て良い方向に運んでいく。あさひ自身にもこの因果は無自覚なことのようなのですが、彼女の足跡を追っていると、彼女の持つ引力が引き寄せている結果のように思えてなりません。
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【とても、とても静かな雨】もおすすめのカードです。ステージに立つストレイライトを突然の雨が襲うというハプニングのコミュなのですが、その結びはあまりにも晴れやか。とある理由からあさひはパフォーマンスを続けることを喜んですらいたのですが、その表情もまた好転的に動かしたようで、あさひの幸運はここでも発揮されます。
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3コミュ目『み使いの止まり木』より
極まったのは【ひかりしめすは】芹沢あさひでしょう。カードイラストで円形の電灯が背後に映ることで、あさひの頭上に天使の輪が宿ったように見えるこのカードは周囲に幸運を呼び込む彼女の特性が遺憾なく発揮されたお話。
もともとスタンプカードをお手伝いした時にもらえる『マル』で埋めるために奔走していたあさひですが、そんな下心を除いたときの振る舞いが街の人々にグッドラックを呼び込んでいく姿が描かれます。純粋無垢な好奇心から飛び出す言動が、不文律なサプライズを引き起こす。
彼女が彼女らしくいることで、救われていく人間は数多く存在するのです。
☆『同化』
これは彼女を取り巻く世界の中にあさひ自身が溶け込んでいくことを意味した表現です。周りの人間からずっと特別扱い(いい意味でも悪い意味でも)されていた彼女が、私たちと同じ日常の地平まで降りていく。芹沢あさひという、ありふれた一人の女の子としての日常を獲得していく文脈の上にあります。神格化に対する解呪とも言えるでしょうか。
・ユニット内
その糸口となっていくのが他でもないプロデューサー、そして黛冬優子と和泉愛依──ストレイライトのメンバーらなのです。ストレイライトのサポートカードのシナリオはそのコミカルな展開や軽妙さでも評判が高いですが、関係性の変化に注目してみると、この5年余りの歩みの中で確かなグラデーションを感じられて味わい深いです。
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初期のサポートカード【283プロのヒナ】を見てみると、あさひに対しての接し方の違いがよく分かります。冬優子はあさひに対しても線引きを試みて、安全圏の確保に執心していますし、愛依は愛嬌に囚われて表面上の愛で方に留まり、あさひの思考を知ろうとする対話は比較的希薄に感じます。ここから今の関係値にまで詰めてきたのだと思うと感慨深くなりますね。
3人が親密になっていく分かりやすい指針として、和泉家との関わり方の変化があります。
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ストレイライトが実装された年のCDシリーズ『FR@GMENT WING06』のボイスドラマ「イーティング・エクスペディション」内で愛依が家に二人を誘うセリフがありますが、まだあさひは行ったこともない状態ですし、冬優子は明確な拒絶を示します。
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そこから【あめゆきはれ】で初めてあさひは愛依の家に泊まり、同じシャンプーや化粧水を使うことで愛依と同じ匂いが自分からもするようになって、行動・体験の共有や他者への愛着を獲得していきます。
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そして今度はその輪を自分から広げていくようになり、【うちくる〜?】で冬優子も巻き込んで、愛依の家でお花見をするまでに。あさひは既に何度か愛依の家に通い詰めており、最寄り駅を覚えているほどに。埼玉までの往復の電車賃が嵩んでも苦にならない、アイドルって本当に楽な商売。
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頑なに家に近づけることを拒んでいた冬優子も、【エンジョイ!パーティ】ではいよいよ自分の家でのパーティを承諾(嫌々ではあるが)。徐々に緊張感も解きほぐされて心を許せる仲になってきたことがわかります。
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ここまで来ると、あさひに対する接し方も二人が感覚を掴んできたことが分かります。どうしても譲ってくれない部分はあっても、言うことを聞かない子ではない。あさひも相手によって踏み込んでいい領域かそうでないかは理解しているようです。
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イベントシナリオ【if!(Straylight)】では愛依の弟たちのために、あさひと冬優子からスケジュールに融通を利かせるよう促す場面があり、二人にとっても愛依の家族がかけがえのない存在になってきていることが分かります。つかず離れずの状態から、家族ぐるみの付き合いの規模感となってきた変化にはドラスティックさを感じますね。
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ストレイライトのユニットメンバーとして結び合った3人。シャニソン内のイベントストーリー『Stray's LINK』 にてその巡り合わせをプロデューサーは奇跡とも呼んでいました。
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if!(Straylight)エンディング『HANABI』より
でもif!(Straylight)を鑑みるに、軌跡は軌跡でも、それはいつか必ず結びついた軌跡なのだろうなと思います。ストレイライトは勿論、プロデューサーも。『もしも』を踏み越えた先の、“必然”を力強く掴み取るのですから。
・ユニット外
あさひはユニット外の交流にも積極的なタイプ。いい意味でも悪い意味でも無遠慮なので、壁を作らず受け入れてくれるこの多い283プロ内では誰とでも接点を作ることができます。
いわゆる越境の組み合わせで、あさひにおける大手は『あさかほ(ファン称)』と『チームまりあ(公称)』の二大巨頭でしょう。
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”あさかほ”は言わずもがな283プロ内で年齢の近い果穂との仲良しコンビのこと。あさひの好奇心まっしぐらな行動に果穂がついていく形で、一緒になって遊んでいるシーンが数多く存在しています。二人が同時に出てくる場面では絶対と言っていいほど絡みが発生しており、283内でも他にない絆が生まれている間柄です。
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あさひにとって果穂は事務所内で唯一年下となるため、一応は敬語の体を撮っているものと思われる「~っす」の語尾は使わずにくだけた話し方をしています。
2人の越境会話が登場するイベントシナリオは【サマーミーツワンダーランド】、【〔MAKING〕スノーマジック】、【明るい部屋】の3つ。
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中でもおすすめは二人の会話が最初に登場した【サマーミーツワンダーランド】。二人が海岸で見つけたボトルメールを起点として、後半の物語は進んでいき、その結果として出くわす幻想的な光景はまさにワンダーランドそのもの。他のアイドルにない童心をそのまま持っている二人だからこそ、導くことができたお話だと思います。
これは余談ですが、最近のシャニマスはコンテンツサイドがこの二人の組み合わせを推してきている様子があります。
端を発したのは異次元フェスにおける『フォーチュンムービー』。シャニマスからの出張を果たしたのはなんと我らがあさかほ。スクリーンの中に登場するヒロインに憧れる少女の淡い憧れを二人して歌ってくれました。
(ライブ音源CDにも収録されているので、曲中の掛け合いセリフが聴けます)
アニメ主題歌のお仕事に向けてレッスン中の、果穂さん、冬優子さん、愛依さんです♪
— アイドルマスター シャイニーカラーズ公式 (@imassc_official) February 29, 2024
3人の様子は「SSRサポートアイドル【友情BURNING!】小宮 果穂」で確かめてくださいね~
アイドルに会いに行くhttps://t.co/NqvUKrnaXm#シャニマス #シャイニーPRオファー pic.twitter.com/Xo2YVHt3nb
シャイニーPRオファーvol.2の記念イラスト。ストレイライトからあさひを除いた二人と果穂の組み合わせとなったこともあったのでしょうが、果穂のメモ帳にはあさひのサインが書き添えられています。二人の友情を示すこれ以上ない証拠ですね。
そして実際のライブ、シャニマス6thライブツアー『Come and Unite!』大阪公演day2で何故かあさひと果穂の二人で『SNOW FLAKES MEMORIES』を披露。【〔MAKING〕スノーマジック】で登場した雪合戦の再現をしてくださいました。シャッフルメンバーでのメドレー曲のうちの一つではありましたが、実際会場にいてすさまじいまでの歓声を肌で感じました(し、私も声を上げた)。
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ストレイライトメインのコミカライズ版『コヒーレントライト』第二巻・特装版についてくるドラマCDはあさひが果穂と愛依と一緒にお祭りに行くために夏休みの宿題を頑張って終わらせる話。あさひと果穂の会話も多分に含まれているほか、ノクチルの透と円香も登場します。
📕 #シャニアニ 1st season&2nd season
— アイドルマスター シャイニーカラーズ【ブランド公式】 (@shinyc_official) September 17, 2024
アニメーションスペシャルブック
9月20日発売決定!໒꒱
☑️キャスト23名が選ぶ名場面集
☑️アニメ登場楽曲22曲への作詞作曲家コメント
☑️あさひ&果穂の社会科見学
☑️作中登場アイドル部屋設定 など
シャニアニの魅力が集結した1冊📖https://t.co/DQvrrHLIyC… pic.twitter.com/qjoKtltztL
シャニアニ放映記念のスペシャルブックにはあさひと果穂ふたりによる専用コーナーが。公式四コマを描いてくださっているギミー先生の書きおろしイラストが惜しげもなく披露されています。
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しまいにはシャニソン1周年記念のアルバムのジャケットがこの二人。手をつなぎ合わせる二人の朗らかな表情に、心が洗われますね。ここまでするならなんで記念楽曲のオリメンに果穂いないんですか
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一方のチームまりあは、イベントシナリオ【きよしこの夜、プレゼン・フォー・ユー!】の駅伝的リレーマラソン企画で作られた越境チームの一つ。チームまりあの他にも5つのチームが登場し、全員で一丸となって空港で待つプロデューサーのもとにプレゼン資料を届けに行くお話。
摩美々、凛世、あさひの名前の頭文字をとって、そのまま『まりあ』。かわいらしい語感もあって、とても覚えやすいですね。
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気だるそうに振舞いつつもなんだかんだで面倒見のいい摩美々に、意外とノリが良く年下の扱いにも心得のある凛世と、あさひにとっても過ごしやすい組み合わせとなっているらしく、イベント内でかなりあさひは生き生きと動いています。もともとの台本の段取りを『ノリが大事』を勝手な解釈で無視していく様はいっそ清々しさすらある。
ストレイライトにいる時とはまた違った組み立て方で進行していくコントのような会話は必見。
イベント自体も、カードイラストになっているようにあさひは物語の中核を担う存在。あさひが混線電波(?)によるサンタへのメッセージを聞いたことから、物語は283プロ全体を巻き込んでの大騒動へと発展していきます。
コミカライズ作品『事務的光空記録』でも語られた社長の過去、ひいてはシャニマスのルーツにまつわる話が出てきた重要なイベントでもあります。シャニマス全体に興味が出てきたのなら、ぜひ一度読むことをお勧めします。
このイベントの他にはあさかほの動きもあった【〔MAKING〕スノーマジック】以後、チームまりあと銘打っての動きは基本的にはなかったです。
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つい最近までは。
町田市のコラボイベントに関してははっきりと【チームまりあ】の文言が出てきていますし、どうやら公式サイドではまだこのチームの灯を絶やすつもりはないようです。まだまだ供給は来るかもしれませんね。
【公式からのお知らせ】
— アイドルマスター シャイニーカラーズ公式 (@imassc_official) March 30, 2024
ストリート系ファッションブランドとのお仕事に向けて集まった、あさひさん、めぐるさん、樹里さん♪
3人の様子は「SSRサポートアイドル【路地裏のRhyme】芹沢 あさひ」で確かめてくださいね~
👇会いに行くhttps://t.co/NqvUKrmD7O#シャニマス #シャイニーPRオファー pic.twitter.com/bPOF1VcJDW
もちろんそれ以外の交流もたくさん! あさひが登場している越境コミュは他に【アジェンダ283】と【#283をひろげよう】がありますし、シャイニーPRオファーのカードやボイスドラマ、グレフェスサポートカード【裏声であいつら】での登場もあります。あさひが出てくると、一緒に話しているアイドルも普段と違ったテンション感や振る舞いとなる場面が多く、面白い化学反応を引き起こしてくれる起爆剤のような活躍を見せてくれます。
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個人的にははるきとの絡みを今後期待しています。どうぞよしなに。
・学校生活
一方、あさひの同化における大きな課題となっているのが、学校生活。成長の過渡期である14歳という年代は、他の同級生らはちょうど思春期。283プロダクション内でも年下の果穂と一番仲がよかったり、年下の少年少女とは交流の描写も多かったり。童心の無邪気さを失っていないあさひは、却って悪目立ちしてしまうのでしょう。
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彼女の行動に付き合いきれず、悪態をついている様子がよく描写されています(さみしい)。
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STEP編ではあさひはハッキリと孤立している姿が描かれています。自分勝手な振る舞いに愛想をつかしたクラスメイトは学校の班課題をあさひに押し付けるような形で強います。クラスに居心地の悪さを感じているらしく、階段の下の暗くもの寂しいスペースで黙々と作業に取り組む姿には胸が痛くなります。
プロデューサーと出会って、その息苦しい世界からは抜け出すことが出来ましたが、元々の居場所であるはずの学校生活はそのまま。後のお話でも学校の描写がたまに入ることはありますが、現状あまり好転している印象はないです。
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【Wintermute,dawn】のサポートカード【真空の庭】でユニットメンバーのサインを渡してクラスが俄かに沸き立つ場面がありますが、その中心にいるのは別生徒であり、あさひはむしろその場の盛り上がりには参加せずに立ち去ります。
シャニソンの1周年記念で公開されている特別ストーリー『小鳥たちの讃歌』では学校が終わるなりに一目散に事務所にかけていく姿が。あさひ自身、愛着を見出せる状況にはあまりないようです。
何か大きな出来事が起きない限りは、解決にはまだまだ先行きが長そうに感じます。
☆『拡張』
彼女のコミュにおける一番最も大きなテーマがこれ。ここでは世界が広がっていくという意味合いで『拡張』の言葉を使っていますが、その主たる部分はコミュニケーションが占めています。
芹沢あさひという少女は先述の通り、好奇心が旺盛で、行動の指針をそこに託している部分があります。それ故に、突飛な行動が目立ち、アイドル以前は集団からは孤立してしまう傾向にありました。そのことをあさひ自身も自覚しており、理解は得られないと諦めている部分もあったのです。初期のコミュでは単独行動をすることが常態であるかのような言動が見られます。
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先ほども少し触れましたSTEPでは、誰にも理解が得られず、世界を閉ざしていたことが屋上のフェンスで象徴的に語られます。向こうの世界は見えているのに、手は届かない。よじ登ろうとしたら引き摺り下ろされ、他の人たちと足並みを揃えさせられる。アイドルになるまで、彼女の世界は四方を格子で覆われた窮屈な空間に留まっていたのです。
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そんな彼女がアイドルという『想いを伝える』存在に巡り合うことで興味を持ち、彼女が受けた衝撃の由来をプロデューサーらと共に探していくこととなります。
はじめこそ、あさひは目先の技術にとらわれて自分のパフォーマンスを磨き上げることに執心していましたが、プロデューサーの寄り添った対話やステージ内外での人々との交流が彼女に大切なものに気づかせてくれました。彼女は段々にただ“届ける”ただ“受け取る”だけでなく、“どうやって”対話するかにまで萌芽を進めてきています。
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あさひはずっと誰かに感情の共有はしたいと思っていたようで、プロデューサーに対しては当初よりそのベクトルは幾度となくぶつけられています。あさひの疑問や感情に同じ目線から接して、理解しようとする存在はこれまでそばにいなかったらしく、あさひからすれば待ち焦がれていた出会いでもありました。WING編ではその心の雪解けが美しく描かれており、真っ直ぐにぶつけてくれる好意が何だかこそばゆくもあります。
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サポートシナリオでも、彼女の興味関心に冬優子と愛依を共有しようとする様子は何度も見受けられます。【今日の手は空を切らない】では廃線の終わりを見にいきたいという関心を二人にぶつけて、強引に押し切って連れて行きますし、【頬を照らすのは】ではスタッフの話を受けて幽霊を探しに二人と一緒に夜の林道を歩き出します。年下の弟や妹に慣れ親しんでいた愛依を糸口にして、段々と冬優子も抱き込んで行こうとするあさひの甲斐甲斐しさも見どころ。
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特に後者のお話は、後述のテーマに繋がる布石が置かれているので重要性が高いです。幻想的な蛍の光に魅せられて、そこに彼女たちは何を重ね合わせるのか。要注目です。
*
あさひの中で革新的な変化が起きるのは、GRAD編とLanding Point編の2シナリオです。あさひの中に確かに息づいていた対話の指向性が一気にここで芽吹くこととなりました。
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GRAD編はあさひが蕎麦屋の配達に強い関心を示し、周りの大人たちの言葉に耳を貸さない半ば暴走状態になってしまいます。岡持ちを持って各所を回る大将の技量に目を奪われ、自分もやってみたいという気持ちが暴走して肝心のGRADの練習も漫ろになってしまう。
危機感を感じたプロデューサーが一緒に出前に立ち会って、その手本となる姿勢を見せることであさひを再び教え導きます。年老いた老婆には蕎麦で火傷をしないように器との間にハンカチを噛ませたり、お金を支払う間も急かすことなく穏やかに待ったり。ただ“届ける”のではなく、“どうやって”届けるかの姿勢を間近で見たことであさひの中にも大きな変化が生まれます。
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肝心なのは相手が、自分のために行動してくれているという実感を得られること。それはアイドルとしてパフォーマンスをする上でも通じることなのです。アイドルは偶像ではあるが、崇拝の対象ではない。アイドルもまた、ファンのことを見つめ返す瞬間があってやっと完成するのです。
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大将が決まって出前のたびに口にしていた『毎度ありがとうございます』の信条は、ここであさひに引き継がれていきます。
実際のライブでも、あさひの声を演じている田中有紀さんがこの言葉を口にしたように、あさひにとっては重要なファクターとなっていることは間違いありません。
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そしてLanding Pointでは、アンケート調査で自身に向けられる興味に疑問符を浮かべていたあさひが人と人の相互発信の形を知る。
東京の海に繰り出している船に押しかける形であさひが同乗。深い青の中に沈む、一見そこにいないように見える魚たちの姿を魚群探知機で捉えていく営みを知ります。
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超音波が届いて、跳ね返り、その姿をとらえる。ステージライトの上から歌声を届けるアイドルと、それに応えて声援を送るファンの関係性に言い換えることができるでしょう。
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無論、アイドル以外の日常でも同じこと。誰かのためにした行動には、必ずレスポンスがあって、対話は生まれていく。誰しもが発している音の存在とその意味に、あさひ自身が気づいていく物語となっています。
以降実装されるプロデュースシナリオにも、GRAD編とLanding Point編での学びは還元されて行きます。あさひはアイドルとして気持ちをファンと通わせること、そして誰かと共に歩んでいくことに対してステージを進めていき始めました。
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【光は光へ】はたくさんの気球を見て思わず走り出していく時に、自身の中に溢れ出た感情に向き合うお話。これまではただ興味がある、面白そうといった好奇心に終始していた衝動を、彼女自身が理解していきます。
言語化できない沢山の感情は何なのか、それが他の人たちも持っている感情だと知ることで、あさひはアイドルとしてステージに立つ時にファンが抱いている感情を知ることになります。
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これらのお話の集大成とも言えるのが【Anti-Gravity】。限定カードゆえ入手機会こそ限られているのですが、芹沢あさひを知る上では必須級のコミュだと言いたいです。
振り付けの先生に勧められたオーディションはインプロの即興もあるこれまでにない形式。自分だけであらゆる概念を表現しなければいけない難題に、流石のあさひも苦戦を強いられます。まだ齢14の、幼く小さな身体ではどうしてもぶつかる限界の壁に藻搔き、足掻いた末に見出した新しい表現のかたちには息を吞みます。
あさひが表現者としてその技術を一段上に運ぶと同時に、その進化の時をプロデューサーに見せたいという衝動に紐づいて、自分の立つ『ステージ』の定義について、一つの答えを見出します。
これまでの他者との対話の末に見出した結論は、ぜひあなたの目で確認して欲しいところ。
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限定カードはどうしても入手が難しい!という方にはPANOR@MA WING06のオーディオドラマ「秋の空、変わらないもの」もおすすめ。
こちらはアイドルとしての解答ではないですが、人と人が心を通わせる温かさをあさひが身をもって証明してくれるお話。ただ冬優子と愛依の二人を自分の興味のために付き合わせるだけだった昔からの成長を強く感じられます。アイドルとしてストイックな冬優子のことを理解した上で、慮った行動ができるようになっているシーンはじんと胸が暖かくなります。
【3】番外編:面白いコミュ、持ってきたっすよ
ここまで芹沢あさひの魅力についていくつか語ってきましたが、その魅力ゆえか彼女の登場するコミュは軽妙なテンポ感でコミカルな展開となることが多いです。読んでいる間についクスッと笑えてしまうおすすめのお話をここで紹介します。
・【がしゃーんとがらがら】芹沢あさひ
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初期のpSRカードで入手も容易。自動販売機の搬入に目を奪われたあさひの熱中ぶりや、その熱が予想外の方向に飛んでいく話の流れが痛快! 初期ならではのプロデューサーへの扱いの雑さもたまらない。読みやすく、触れやすいとてもキャッチーなコミュになっています。
・【+『α』】和泉愛依
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芹沢あさひあるある『口に物を入れたまま喋る』が多分に出てくるし、それを気にせず会話している愛依の様子が絶妙。立ち絵もないのに、なんだか構図がありありと思い浮かんでくるカードです。新しいストレイライトの表情という難題に挑み、奮闘する愛依の様子もいじらしい。彼女が一人芝居をするシーンは必見です。
・【馴染まないで非日常】黛冬優子
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とにかく二話を通じて、『こんガキぁよォ……💢』となること請け合いの、クソガキ感強めのサポートコミュ。なんだかこのカード内のあさひはいつも以上に幼く見えてきます。愛依と冬優子のあさひに対する手綱の握り方の違いも感じられて、大変に微笑ましいコミュです。
・【×トリック/〇____】黛冬優子
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限定コミュにはなりますが、あさひの神出鬼没さとそれに振り乱される冬優子の様子につい笑ってしまう名作。あさひが不意に飛び出すことに慣れてしまって、思考が堂々巡り。あさひを避けようとして却って彼女が行きそうな場所に行き着いてしまう様子には気苦労が垣間見えて笑いが込み上げてきてしまう。ストレイライトというユニットへの親しみがグッと増すお話です。
・スペシャルオーディオドラマ「ストレイライトの熱い夏」(CANVAS05)
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どこぞのスパーランドをモチーフにしたような場所を舞台に、ストレイライトの3人がリゾート気分を堪能し尽くすお話。プロデューサーからの話で南国にでも行けるのかと思っていた冬優子は初めこそ落胆していましたが、あさひに振り回されるうちにそんなことも忘れて、保護者としての役目を全うします。声色から3人の表情がコロコロ変わるのがわかる、小気味良いテンポ感のボイスドラマです。
初期のサポートカード【腹は減っては遊びはできぬ】を事前に読んでおくと、時間が経つにつれて変わった関係値が分かって深みが出てくる部分もあります。
・ボイスドラマ(スタイルブック『ストレイライト』)
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283プロダクションの全ユニットそれぞれ別のロケーションでのグラビア撮影ロケを行った際のドラマCD。ストレイライトは3人でパラオに行くのですが、あさひのマイペースが随所に発揮されます! 結局スルーはできずに相手してしまう冬優子の冴え渡る捌き具合に注目。ドラマCDの中でもコメディ色が特に強いお話です。(スタイルブックの本文絶対愛依の呼称誤植してると思うんですけど)
・シャニラジ283サイドストーリー#233(24:30ごろ~)
和泉愛依の限定サポートコミュ【よしよし♪】にかけての書きおろしストーリー。空いた時間の暇つぶしにお題ボックスを持ち寄り、そこにかかれた話題でトークをする……というのがサポートカードでのお話。サポートコミュでは愛依が『面白い話』を披露しますが、シャニラジ版ではあさひが披露。お題トークの枠組みにハマらないあさひの話しぶりにご注目ください。
そして、それとは関係なしにプレミア会員限定パートの【VS.】の感想語りは全シャニマスプレーヤーに聞いてほしいお話です。
・【The Straylight】
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このコミュがこの枠なのか?という感じもありますが、コメディシーンはイベコミュの中でも特に面白いと思うので。たまに切り抜き動画なんかが流れてくる、あさひが冬優子と愛依をモノマネする話はこのコミュから。あさひが二人によく懐いていること、そしてその二人が御し方をよく理解していることが分かる名シーンです。
もちろん、イベントシナリオとしての出来も最高。ストレイライトを知るすべての人に読んでほしいお話です。
【4】提案:せっかくなんでどうぞっす
ここまで芹沢あさひを知るために必要なコミュをいくらか上げて紹介させていただいたのですが、意図的に外していたお話が一つあります。
是非ともそのお話は、物語を追い終えた〆として最後に読む(もしくは読み直す)提案をしたいのです!
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【さかさま世界】芹沢あさひを〆にするのはいかがでしょうか。
このコミュはかなり初期に実装されたpSR、一通り読んでも10分と経たないほどの一口サイズのお話なのですが……芹沢あさひという少女のエッセンスがかなり濃縮して詰まっているのです。
私たちが何気なく見落としてしまうものに目を留めて、そこに見出したものを他者と共有する。自分自身の輝きもまた他者からの観測、特に喜びを分かち合いたい相手からの認知で増していく。初期のお話なために、あっさりとした語り口で軽やかな着地をするのですが、その清涼感がかえって充足感を高めてくれます。
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これまでに語ってきた『神秘』『同化』『拡張』の三要素が伸びていくための下地はこの時から貼られていたのだと一層味わい深く感じられるはずです。
芹沢あさひという少女が無地の状態から段々と虹を手にしていく物語。
その始まりを、また見に行きませんか?
【5】終わりに
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今回、芹沢あさひのコミュを読む上での大まかなルートを提示させていただきました。当然ながら私の主観に基づくものに過ぎませんし、実際のところ、彼女の物語にはどこから入っていただいても結構です(じゃあ全編通して何だったんだ)。今回紹介しきれなかったカードやイベントシナリオにも素晴らしいお話はたくさんありますし、そのどれにも彼女の魅力は染み出ています。
ただ、一歩踏み込んで彼女のパーソナリティを見つめてみると、そこに在る熱に気づくことができる筈です。自分も作り出したいと憧れたキラキラの意味を追い求めるうちに、その原動力は好奇心だけではなくなってきた。そこに加わったのは誰かと共にいられる喜びであったり、自他の内面を知りたいと思う衝動であったり。
かけがえのない存在が周りに増えていくうちに、その熱はどんどんと増していった。画面の向こうにいる筈の私たちでさえも、その心を温めてくれるほどに。
ひとりの人間の成長を見守ることは、こんなにも晴れやかな気持ちになれるのだと記事を書いて改めて感じています。
*
あさひのコミュを追うなら今がチャンスだと思います。
メタ的な話をすると、最新カードである【ムーンライトガーデン】は実装されたのがこの2024年9月18日ですが、そのひとつ前のカード【Anti-Gravity】は2023年2月28日までに遡るのです。(イベント【Wintermute,dawn】も一年以上前)【ムーンライトガーデン】は明らかに新機軸で物語を始めようとする語り口のカードですし、同ユニット・黛冬優子の【三文ノワール】から連なる連作SSRのこともあって衣装順が一周先になっています。
ここから短いスパンでお話がグッと進む可能性はかなり高いと思います。
なんならパラコレあさひも来る。14歳の二年後って16歳、高校一年生ですよ。ヤバ。※パラコレが12/19に実装されたことに伴って追記しました。
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芹沢あさひに追いつくなら今のうち!
そうしなきゃ、どんどんその背中は小さくなっていっちゃいますよ~~~~~~!!!!!!!
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あなたもぜひ、彼女の温かく優しい物語に触れてみてくださいね。
【6】追記:終末の未来であさひが見つけたもの
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満を持して2024年12月19日、パラコレあさひ【さよならカイト】が実装されました。
本記事の中で紹介しているあさひのこれからについて、一つの回答のようなものが示された形となりますので、雑感をまとめて加筆しました。
芹沢あさひのpSSRカード【さよならカイト】および【ムーンライトガーデン】の内容が大幅に含まれますので、ご注意ください。
あさひのifの世界線で示されたのは、あさひが一人で海外へと旅立ってしまった世界線。海外に発ってから2年半の年月が経っており、既にあさひは高校も中退してしまったようです。
あさひが海外にいたために、ストレイライトは解散(冬優子のパラコレと同一なのかは不明)。業界における伝説と化してしまった状態で物語が幕を開けます。
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あさひは海外に行ってからもプロデューサーとほとんど連絡をとっておらず、今回の帰国も突然の連絡。そもそも迎えにくることをお願いする文面でもなかったようです。
ですが、プロデューサーは逃げなかった。あさひを迎え入れるのは自分が最初でありたい、その一心であさひに対面。彼の姿を見た瞬間、瞳が色づいていくあさひの表情は胸が熱くなりますね。
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2年半の年月は確かにあさひを大人にしたようで、うんと伸びた身長はもちろん、プロデューサーにもくだけた話し方をするようになり、言動も少し落ち着いた雰囲気に。
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それでも持ち前の純真さは忘れていないようで、プロデューサーからの刺激を受けると以前のような屈託のない笑顔をまた浮かべてくれました。
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彼女自身、はじめ帰国した理由には思い当たっていないようでしたが、プロデューサーとカイトを挙げた時間がそれに気づかせてくれました。もうストレイライトは無くなってしまったから帰る場所も無くなってしまった……そんなわけはない。彼女をはじめに見出し導いてくれたプロデューサーは勿論、他のみんなだって。彼女にとっての“家”は変わらず存在しているのですから。
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そのことに気づいたあさひは、朗らかな笑顔でプロデューサーにもう一度カイトのハンドルを手渡します。
ここでのカイトがあさひに擬えているのはもはや言うまでもないですね。カイトというのは気流に乗って、天高く飛んでいきますが、地上でハンドルを握りしめてくれる存在がいなければ、風に乗せられるだけ乗せられて、やがて地に落ちてしまう。地上で待ってくれる存在が必要になるわけです。
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ここで、ムーンライト・ガーデンに立ち返ってみましょう。上記記事本文では、ぐんぐん伸びていく木(≒成長するあさひ)は遠く広がる世界を見渡すことができても動くことができないという一点のみで取り上げていましたが、これと同時にあさひがかぐや姫に重ね合わせられる話がありました。
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かぐや姫がいなくなってしまうことを寂しく思い嘆く人々に、月まで届く木を育てればいいと言うあさひ。その心中は恐らく、『自分がどんどんと先に行ってしまったとしてもきっと付いてきてくれる人がいてほしい』という怯えだったと思います。あさひのあらゆる問題は解決しつつありましたが、業界での持て囃され方からして、自身では思いもよらぬところに運ばれてしまう予感をあさひは抱いているのだと察します。
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月まで届く木を育てるということは、あさひの元に追いつけるように励み続けるということを暗に示していますが、あさひの才覚は誰しもが認める特異なもの。プロデューサーをはじめとした凡人たちでは、強い言葉でそれを首肯することはできかねました。
現在のあさひには、その言葉は真っ直ぐとは届きませんでした。眠気に推されて、プロデューサーの言葉はきっと忘れてしまうだろうと口にするあさひ。現在の時系列では、あさひの危惧は未だ取り払われていないと言えます。
パラコレは、既にプロデューサーとの間に別離が生じてしまった未来。満足のいく対話も経ぬままに海外に飛び出してしまい、互いのことを十分に理解もできないままの関係性だったでしょうし、決して良い未来だったとは言えないものです。
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しかし、その終末の先の未来であさひは確かな答えをつかみました。自分が自由に飛び続けるためには導いてくれる存在が、見守り続けてくれる存在が必要だったということ。その存在は、地上にいてこそ意味がある。
思えば、パラコレの物語で再会を果たした直後、あさひはやたらと一人でも生活がうまく行っていたと強調していました。それは、今回の物語の帰結における裏返しだったのかもしれません。一人でいる時に、他人の必要性にはなかなか気づけないもの。まして、自分の意思で飛び出していった手前、取り返しがつかなくなっていた部分があるのかもしれません。
でも今はもう違う。自分にとっての無二のパートナーであるとプロデューサーを認めて、そのハンドルを彼に預けた。自分がどこまでも高く飛んでいける、絶好の風を彼ならば見つけてくれる。その信頼を持って、あさひは今再び空へと旅立ちました。
![](https://assets.st-note.com/img/1734681361-KsgFiZGwxyoBv2RJPMILj3EO.png?width=1200)
今見えている空よりも、もっと高くの空まで。
どこまでも飛んでいく意志を新たにしたのです。
今回の物語はあくまで、ifの存在したかもしれない未来のお話。現在のあさひが直面している課題はまだ解決していない状態です。
不完全なままに空に飛び立ってしまいそうになっているあさひのことを救ってやれる、ハンドルを握ってやれるのはプロデューサーだけ。
彼がどんな回答を導き出すのか、今後を見守りたいですね。