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Web3.0って何?DAOって何?

2023年1月に、当時中学1年生の息子からWeb3.0って何?と聞かれました。以下、中学1年生の息子にわかるように、多少は正確性を省いた形で「Web3.0って何?」という質問に答えてみました。非常にお忙しい中恐縮ではございますが、ご意見を賜われますれば光栄です。

Web3.0という言葉を理解するためには、Web1.0から順を追って理解する必要があります。Web1.0とは1990年頃から2000年頃までの、インターネットが普及し始めた頃の状態を指しています。Web1.0とは「www」と省略される特定ドメイン「World Wide Web」が普及して、個人がホームページなどを作れるようになったり、情報発信が出来るようになったりした状態、つまり「文章による自己表現がインターネット上で可能」になる状態と言い換える事ができると思います。Web1.0では情報発信者とホームページ閲覧者はメール等でコミュニケーションが取れます。しかしそのコミュニケーションにはタイムラグ(時間差)が存在し、同時進行形での双方向のやり取りは、まだできない状態でした。

2000年代から始まったWeb2.0とは、Web1.0のようなタイムラグ(時間差)が少なく双方向の情報交換が可能なSNS(ソーシャルネットワークサービス)などが普及し、個人が情報発信出来るだけでなく、閲覧者との双方向コミュニケーションが可能となった状態です。Twitter、Facebook、LinkedIn、Instagram、YouTubeなどが典型的な例と言えます。Web1.0の「読むだけ」や「見るだけ」から、閲覧者がコメントをする事ができたり、DM(ダイレクトメッセージ)を送れたり出来るようになり、受動的閲覧者が能動的閲覧者に変化したのがWeb2.0と呼ばれる状態、つまり「動画による相互コミュニケーションがインターネット上で可能」になった状態と言い換える事ができると思います。

君が質問してきたWeb3.0と呼ばれる状態は、Web2.0の状態が作り出した「負の状態」に対する「抵抗」として生まれてきている状態の事を指します。Web2.0の状態が作り大した「負の状態」とは、インターネット上で中央集権型プラットフォームを使って情報発信も相互コミュニケーションも可能な状態になったものの、大量の個人情報や個人履歴を中央集権型プラットフォームに吸い取られる状態、中央集権型プラットフォームを管理するプラットフォーマー(GAFAに代表されるようなプラットフォーマー)が強すぎる状態の事です。例えば君がプラットフォーマーの利益を損ねる発言・活動をするとプラットフォーマーの意思で君がプラットフォームから弾き出されてしまう状態などを指します。このようなインターネット上の中央集権型権力構造から、クリエーター個人の表現の自由と活動の自由を取り戻す(確保する)ために、ブロックチェーン技術を駆使して中央集権型プラットフォームを分権型プラットフォームにした変化させた状態が、Web2.0の次の状態という意味でWeb3.0と呼ばれる状態です。インターネット上で、誰が本物か、どの情報が真正か、を保証する事を可能にしたブロックチェーン技術を使い、データを複数人により分散管理し、誰か一人の特定の人による改ざん(悪意を持った変更)を不可能にする事により、誰か一人がインターネット上の世界を中央集権管理できなくしている状態です。

それでは、2023年1月時点で中学1年生の君が大人になる頃にはWeb3.0の世界が当たり前になっているとすると、今からどのような事を理解して準備をしたら良いのだろうか。

多くの大人の人達が、Web3.0の事を「新しい技術」、「新しいアプリケーション」、「新しいブラウザー」の様に語っている様ですが、そのような考え方に惑わされないでください。重要なのは技術や技術による作り出されたモノではなく、新しい技術が使われる事により出現する世界が重要なのです。Web1.0では、文章で面白さを伝えられる人がインターネット上で富を創出しました。メルマガやブログの時代です。Web2.0では、動画を上手に編集して面白く見せられる人が、インターネット上で富を創出しましています。YouTubeやInstagramやTikTokの時代です。Web3.0では、コミュニティー(共同体)を作れる人がインターネット上で富を作れる時代になります。

Web3.0は、少し難しい言葉で表現すると「個人がインターネット上で自らの情報を管理するという理念に基づく共同体」であると言えます。例えば「こんなワクワクする未来を創ろう」と言う理念を共有してムーブメントを起こせる人が、Web3.0で富を作れる人です。理念を共有した共同体の中で、アイデアやプログラムやプロジェクトを共有して、それを実現する為に必要な技術を、お互い足りない凸凹を共同体内で相互に補え合える関係をファシリテート(醸成)できる人です。Web2.0の世界では独りで面白いことを提供すれば成功できますが、その時代は終わろうとしています。人々にサービスや情報が分権的に付与されたWeb3.0社会では、個人と個人との関係の重要性が更に際立っていくと思われます。Web3.0社会で失敗するキーワードは「独占」です。そしてWeb3.0社会で成功するためのキーワードは「共有」と「共感」です。自分の「価値観」、「理念」、「情報」の「共有」と「共感」です。何でもかんでも独りでやろうとする一匹狼タイプの人は、中央集権的なWeb2.0では有利ですが、分権型のWeb3.0では不利になるでしょう。そして君に事実として認識して欲しい事は、このWeb3.0が作り出す「共同体」の事を DAO(Decentralized Autonomous Organization: 分散型自律組織)と呼ぶ事ができます。Web3.0の世界で成功する為には、自分の得意と不得意をしっかり見極めて「自分はこれが得意で共同体に貢献できるけど、これは不得意だから助けて欲しい」と素直に言える人間になれる事が重要です。その為に自分自身を客観的に知り、得意を伸ばす為に戦略的学習能力を身につけ、自分の専門分野以外に心理学、社会学、人類学などを学び、既存の「共同体」に貢献できる、そして新しい「共同体」を作り出せる人間になれる様に今から準備していきましょう。


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