手荒れの少女
空は曇っていた。肌寒くて、何気ない日々。
駅前のパチンコ屋に行こうと歩いていたら、
少女が一人ティッシュ配りのアルバイトをしていた。
汚れた靴を履き、色褪せた帽子を被り、地味な服装をしていた。見た目から貧しさを感じされていた。
少女は一生懸命に声をかけながら、笑顔でティッシュを配っていた。
でも、通りかかる人々は無視したり、音楽を聴いたりとティッシュを受け取ることはほぼなかった。
それでも少女は一生懸命に、笑顔のままだ。
どうしてだろう、、笑顔で頑張ってるのにティッシュは減らない。頑張ってる姿を見たら受け取ってあげたくなるのに、、人々の無関心さに悲しくなりそうだ。
ティッシュを受け取ってくれた人がいた。少女は満開の笑顔で「ありがとうございます!」と可愛い声でお礼を言っていた。受け取った人も笑ってお辞儀をしていた。
遠目から「ありがとう」と呟いた。心が温かくなったんだ。少女の頑張りと受け取ってくれた人の優しさに。
少女からティッシュを受け取る為に、パチンコ屋を通り過ぎた。
手荒れした手でティッシュ配っていた。少女は笑顔で「ありがとうございます!」と言い、お辞儀した。
仕事でお礼を言っているかもしれないけど、受け取ってくれた心遣いに対してお礼を言ってる気がした。
「頑張って!」と声をかけ、通り過ぎた。
少女の手荒れした手が美しく見えた。生きる力をくれた気がした。