EC販売業者が「卸売市場」に実店舗を持つ理由。人•モノ•場所の集約による効率化&プロに学び販路を拡大【前編】
私たちの会社は今、花茶と果茶専門店「fuacha」を運営しています。(イベント業から小売業をはじめた理由はこちらの記事で)
基本ECサイト販売をメインにして、百貨店での催事、提携飲食店での代理販売なども行ってきました。でも、この時代ですし、コロナ禍で始めた事業ということもあり、今までは、実店舗を持たないと決めていました。
ですが、表題の通り、この7月から「柏市公設卸売市場」に実店舗をオープンすることになりました。
今回は、いろいろありすぎる(笑)オープンまでの道のりとなぜ市場に実店舗を持つのか、お伝えしようと思います。
執務スペースは人数と機能に合わせて増減させるのが今時のビジネス方法
元々はイベントの企画運営が主要事業でした。会社スタッフは代表を入れて3人だけ。イベントの運営に関しては、「イベントサポーターチーム」を作り、地域のママさんに登録いただきます。
企画と集客までは、この3人で十分回ります。毎月のイベントの予定が決まったら、グループチャットに予定を掲示し、都合のつく方が手を挙げ、イベント当日一緒に運営を手伝っていただきます。サポーターチームの登録メンバーは20名ほど。我々にとっては固定費削減と人員確保は両方兼ねます。また地元の活性化に繋がり、会社の知名度と好感度も上がります。ママたちにとっては社会との繋がりを持つ、更に小遣い稼ぎにもなっています。まさに、一石数鳥。
常勤メンバーが少人数のため、固定のテナントを借りずに、コワーキングスペースの会員契約し、通常そこで働きます。お子さんや家族の用事があるときは、おうちで働くのもOKです。世の中で在宅が一般化するずっと前に在宅自由でした(笑)
備品などは近所で倉庫を借りて保管し、イベントの時倉庫から出して倉庫に戻します。
人・モノは、集約せず分散する、必要な時に必要な機能に合わせて追加する。コストを最小限に抑えられる、とても省エネ?です。
人、モノ、場所、すべてが分散する状況に限界を感じた
しかし、3年前に、お茶の小売り事業をはじめました。原料在庫、商品在庫、包材、販促グッズなど、常時置いておくモノが一気に増えてしまいました。また、商品製造のため、人も増やさないといけません。
そこで、近隣で商業利用可能のアパートを借り、原料や包材の保管と商品のパッキングはそこで行うようにしました。販売はできませんが、事務スペースはある程度確保できますので、ECの発送業務もここで行っています。私は変わらずコワーキングスペースで仕事して、他のスタッフもコワーキングスペースやアパートや自宅と、それぞれ働きやすい場所で仕事するスタイルになりました。
コワーキングスペース~倉庫5分程度~アパート5分程度。分かれますが、徒歩圏内という便利な場所でスペースを確保できましたので、距離的にそんなに不便はないはずです。2年ほどこのスタイルでやってきました。しかし、距離ではなく、人・モノ・場所の分散による支障が段々顕在化して、結果的に仕事の効率を下げると気づき始めました。
たとえば、SNS用に販促写真を撮影したいと思っても、コワーキングスペースもしくは在宅で仕事していると、手元にお茶や茶器がないため、アパートのほうに行かなければいけません。到着してからも、撮影道具を取り出し、セットして撮影する。1時間は以上はかかります。そう思うと、ついおっくうになり、また次行くときについでに!って諦めてしまい、結果SNSの投稿頻度が落ちてしまいます。
また、出店する際の陳列方法を検討したい時、販促用品が倉庫になると、イメージで陳列を考えないといけないので、なかなか決まらないし、ずれも大きい。
また、フタッフとのコミュニケーションにおいても、場所が分散するということは、それだけコミュニケーション負荷がかかるということです。普段の会話はLINEメッセージや通話がメインのため、仕事の伝達は特に問題ないですが、コミュニケーションにはならない。スタッフの様子も分からない。たまに、アパートに行く日には、ここぞとばかりにリアルの場で伝えたいことを大量にアウトプットし、伝わりにくいし、漏れも多いし、時間も余計にかかってしまいます。
そうなると、スタッフも私も、対面で話す日がお互いにしんどいものになっている部分もありました。
こうした少しずつ負荷や非効率な部分が増えていき、「人もモノも同じ空間にいること」がとても大切だと痛感しました。2年弱が経ちまして、そろそろ賃貸契約の更新時期。よし!テナントを探そうと決めました。
卸売市場は小売業の新人にとって最高の場所。
弊社がいる柏の葉は、所謂「新興住宅地」です。駅ができて新しくできたエリアで、駅前は大規模開発が進み、住居中心なのでテナントは数も少ないし賃料も高い。駅前ではテナントを持つのは無理無理。
ネットで情報検索していると、「柏市公設卸売市場」が目につきました。卸売がメインですが個人に対応する店舗もあって、私も何度か行ったことがあります。
「柏市公設卸売市場」は、青果・水産物・花き類・関連食品が集まる総合卸売市場です。主に飲食店など業者向けに卸販売を行う場所。設立してから50年以上経ちまして、数十年続く卸の老舗ばかりです。
しかし、この写真の通り、50年以上経っているだけあって、設備はかなり古い。店頭に段ボールを積み上げる売り場ばかりです。花茶果茶専門店のfuachaが作り出すオシャレなイメージと真逆です。
正直、最初は戸惑いました。でも、ここは50年続いたからこそ、卸売の老舗ばかり集まっているからこそ、販売のプロが集まっています。そこに仲間入りできたら、販売のイロハを教わることができる。さらに、飲食店が仕入れに来る場所なので、卸販売への販路拡大も期待できそうです。
また、柏市公設で、駅から少し離れていますので、駅前のテナントに比べると、家賃も少しお手頃になります。
さらに、今までのコワーキングスペースもアパートも、商品を展示や販売するスペースはありませんでした。SNSのライブ配信や商品撮影の時はいつも会議室やカフェを借りてやっていました。費用がかかるから回数は増やせない。
また、イベント業で培ってきた地域のコミュニティの仲間はfuachaのファンになってくれる方が多くて、リアルで買いたい・今ほしいとよく言われます。お茶を始めてから出会った新しい仲間からも、事務所に行ってお茶をいろいろ試してから買いたい!とよく言われます。リアルの販売スペースあればなとたまに思います。
市場でテナントを借りて小さな販売展示スペースを作れば、SNSライブ配信や撮影はいつでもできます。仲間やファンと一緒にワークショップしたり、商談もできたり、、、など、いろんなことができます。
いろいろ考えると、なんか、市場はまさにECメインの小売業新人にとっては最高の場所。
ぜひ市場に入りたい!と思いました。が、しかし、どうやって出店できるの?イメージがまったく湧きません。(笑)特にテナント募集も出されておらず、入り口が分かりませんでした。
そんな時、これまた地域のつながりの中で解決口がありました。市場にテナントを構える「小林海苔店」とコワーキングスペースの交流会でお会いしたことを思い出しました。早速連絡して、数ヶ月後につい、3つの区画で「公募」が始まる情報を掴みました。
その中で、一番広い55㎡のテナントを応募しました。もちろん1社ではなく、弊社含めて3社の応募がありました。決め方はシンプル、くじ引きです。抽選当日、1社が辞退し、2社によるくじ引き抽選になりました。
それも、初めて見る、割り箸のくじ引き、笑
お分かりの通り、見事2分の1の確率でチャンスを勝ち取り、今に至ります。
これは運命だと感じ、もう何の迷いもなく、市場最高!という気持ちで、入居に向けて準備を進めています。
ここでめでたしめでたし、と言いたいところですが、課題はここからでした。
苦労話は後編に続く⇊