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ノートの落書き

久しぶりに開いたノートの片隅。花や動物、そして二つ結びの女の子の落書きに目が止まった。

もちろん、落書きだから色も何もついてない、控えめに言っても上手いとは言えないような絵だけど。

なんでだろうな。「あ、綺麗だな」ってふと思って、しばらく目が離せなかった。



落書きを描いた時期を思い返してみた。

前後のページは思いついた歌詞やシナリオのメモ書き。創作のメモ書き用に使っているノートだから当たり前。左上に書かれた日付は1年前のものだった。そうか、これは。

苦しくて、つらくて、泣いてばかりだった頃のページだった。

今でこそ自分のことを好きだと思えるけど、4,5ヶ月くらい前までは自分のことが嫌で、でもどうにかしたくてもがいてた。

そんな心底苦しかった時期に描いた絵が、しかも落書きがこんなに綺麗なんて。


正直驚いた。


でも。同時にあの頃の苦しみって無駄じゃないんだなとも思えた。

もしこの落書きがあのどん底の感情の中にいたからこそ描けたものなら、暗い感情がこの綺麗さを引き出したなら。

私は、あの感情を忘れない限り、例え上手でなくても、美しいものを、綺麗だと思えるものを作っていける。


もちろんあの頃の息苦しさも、闇の中にいるような絶望も、自己嫌悪も忘れる気はなかったけど、捨てようと思っていた。もうあの頃に戻らないように。

でも捨てるんじゃなくて、あの思い出も作品に昇華することができたら、きっとあの頃の私も救われるはずだよね。



1年前の私が残した落書き。

これを描いているときの自分に伝えたい。


「その苦しみを残してくれてありがとう」

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月夜海一颯 Eveki Tsukuyomi
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