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いのちを、産む。

私の出産は、世界にひとつしかない

妊娠後期、例に漏れず私は、
「出産ってどんな感じなのだろう?」とビクビクしていた。
約2年前、初期の流産を経てのはじめてのお産だった。

読み漁ったネット上に転がる「出産体験記」。
その記録に私が助けられたように、
このnoteには、出産・育児で感じたこと、行動を記していこうと思う。

出産を終えた私が、少し前の自分の問いに出した答え、それは
「私の出産は、世界にひとつしかない」ということだ。

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いのちを、はじめて産んだ日 

2019年9月3日

最後の検診になるだろうと向かった病院で、まさかの質問をされた。

「胎盤機能低下症の疑いがあります。
今日か明日、どちらから入院しますか?」

唐突に、早期の入院が決まった。
予定日から2週間前のことだった。

「胎盤機能低下症」とは、お腹の中で赤ちゃんが成長しなくなること。基本的に徐々に胎盤は役割を終えて予定日頃には機能低下するものなのだが、私の場合それが早く訪れ、最悪、お腹の中で赤ちゃんが死んでしまうこともあるとのことだった。

早ければ翌日には陣痛促進と言われてドキドキしていたけれど
他の分娩が重なり、結局5日間何もしない入院が続いた。
すこぶる体調の良い私にとってはひたすらに暇でしかなかった。
その後やってくる激動のドラマを想像もできぬまま。


そして迎えた9月9日

台風15号が去ろうとしていた昼頃に
子宮口を開くためバルーンを入れ、14時頃陣痛促進を開始した。

ざわざわと強い風に揺れる木々、ぼんやり赤紫色の不思議な空を
窓から眺めていた。

「いよいよ、、、、か。」

それからは怒涛だった。本陣痛が始まってから7時間。
人生が変わるほどの体験を畳かけるように経験した。

産後1日目の夜、忘れたくなくてベッドで書き起こした出産のメモを
一語一句そのまま載せようと思う。

・12:30頃 バルーン入れる
・14:00 陣痛促進剤開始
 短い間隔の痛みが続く、まだ耐えられる
 旦那さんが骨盤を押してくれた
・16:00頃 陣痛促進剤ストップ
 子宮口3cmほど
・「痛みがだんだんとまっていくよ
  今日は準備運動みたいなもの、明日また頑張ろう」
 …の先生の言葉と裏腹に陣痛の間隔は伸びて、痛みが強くなる
・そのままLDRにいることに
・そこからまさかの本格的陣痛開始
・19:00頃?痛みは限界に近づく
 トイレでも発狂しそうなレベルで痛い
・21:00頃?叫ぶほかないくらいの痛みと、出血が多いことを告げられる
・緊急帝王切開と、輸血の同意書を旦那に書いてもらう
本人も聞いててね、と言われるが、発狂しすぎて聞いてられない。何も集中できない。痛みは増していく。本気で死ぬかと思う。
・22:00頃?いきみ過ぎてしまう。出血続く。子宮口8cm。血が多過ぎて、いきまないで、痛みを逃して、と助産師さんに言われ続けるが逃し方がまったくわからない。
とにかく痛い。もう、いきみを許すしかなかった。そのうち、何かが出そうな感覚。自然分娩いけるかもしれない、これを出せば終わるかもしれない、意識朦朧とする中少し前向きになる。
旦那には出血を見せたくなくて、最後の出産シーン以外、外にでてもらう。
・先にママになった人たちから聞いていた「お産はきもちいい、赤ちゃんの方が大変」の言葉を何度も何度も言い聞かせる。
・ラストスパート。完全にいきむ。もう、叫ばずに踏ん張る。上手、上手、と聞こえる。二、三回踏ん張る。
・「もう生まれるよー!」の一言で、旦那さんが分娩室へ走って入ってきた。 そこから一瞬だった。
・「えり、赤ちゃん産まれたよ」
その一言で赤ちゃんが股の間から見えた。全然気づかなかった。
「赤ちゃんちゃんと泣いてるよ」
その旦那さんの言葉で涙がでた。
・「よかったあー、動画!」私の最初の一言。笑
・そこから、出血多量と、股の傷が内部深くまであることがわかり1時間半手術。原因は、急速に陣痛が進んだ痛みで、早くからいきみ過ぎて、産道が切れたことによるものだった。
・お母さんとお父さんが病院へ。
結局、私は最後に赤ちゃんを抱っこした。
でも、家族が赤ちゃんにすぐ会えて良かった。

私にとっては、これが世界にひとつの出産だった。

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2019年9月9日 23時07分
2370グラム。少し小さな女の子が産まれた。

信じられないくらい、可愛い存在に死ぬほど嬉しかった。
「来てくれてありがとう。無事産まれてくれてありがとう。」
そんな気持ちでいっぱいだった。

妊娠中は、出産についていろんな理想を描く。
大きな病院は嫌だ、とか産後すぐに抱っこしたい、とか。
結果、大きな病院で出産し、産後すぐに抱けなかった。

けれど今は " 無事生まれてくれる " それだけで良いと思える。

出産は奇跡だ。

世界でたったひとつのいのちを産む、という経験は
私の想像なんて簡単に越えてしまった。
生きる意味も大事なものも180度変わった。
そして、今もなお生きていく上で味わったことのない感動を
与え続けてくれる。

これは、娘がくれた大きな大きな贈り物。
時が経っていつか、出産の日の話を一緒にしたい。


▷ 産後1日から。「いのちを、育てる」

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