スタフィーって覚えてますか?
懐かしいゲームの話。
皆さん、「一番思い出深いゲームは?」と聞かれてぱっと答えられるものはあるだろうか?
僕はある。そしてそのゲームが僕の人間性の一部を形作ったとも思っている。
いきなりだが僕は結構ゲームが好きだ。
その中でも僕はゲームの世界観やキャラクター、ストーリーを重視するタイプだ。
もともと共感性の高い気質なため、その架空の世界に没入できる感じがとても好きだ。旅行でもしている気分になれる。
とはいうものの、僕はたくさんのゲームをやってきたわけじゃない。
子供のころは少し家が貧しく、欲しいゲームはたくさんあったが我慢していた。
なので本当にほしいものを厳選して、おばあちゃんに会えたタイミングなどでおねだりしていた。
そのせいもあって、一つのゲームを相当やりこむタイプだった。
オールクリアした後も散歩気分でそのゲームの世界を旅し、自分なりに裏設定などを考えて知り尽くしたストーリーに深みを与えたりして楽しんだ。
(あまり外遊びするタイプではなかったし、旅行する家庭でもなかったのも原因だと思う)
今回は、そんな灰色の幼少期をカラフルにしてくれた、思い出深い大切なゲームについて書いてみたいと思う。
タイトルは「伝説のスタフィー」。
ゲーム業界でも下請け最大手のトーセが開発、そして天下の任天堂より発売されたゲームボーイアドバンス専用ゲームだ。
いくつかシリーズがあるが、第一作は2002年に発売された。
20代前半はもしかしたらやったことがあるかもしれない。
そうじゃなくても「あー聞いたことある!」という方も多いのでは。
僕の周りにプレイした人はあまりいなかったが(たまたまかな?)、CMが頻繁に流れていたこともありタイトル自体は結構有名だと思っている。
こちらは主題歌付きのCMで、それがまた耳に残る。
歌っていたのはなんとベッキー(これは知らない人も多いのでは)。世界観にぴったりでキャッチーな名曲だ。
※以下Youtubeリンク
ジャンルは「マリンアクション」。
あまり聞かないジャンルだと思うが、基本的には星のカービィやマリオのような横スクロールアクションで、「水中ステージがメイン」という特徴がある。そのため登場キャラクターも海洋生物モチーフが多い。
自慢にもならないが僕は伝説のスタフィーを相当やりこんだ。
ネタバレ防止として名前は伏せるが伝説のスタフィーシリーズを通して最強と呼ばれるボスキャラクターがおり、そのクリア難易度はおおよそ子供向けとは思えないと世間では言われている。
僕はそのボスを8歳のときには初見で瞬殺したし、特に高難度キャラとも感じていなかった(今でも余裕で倒せると思う)。それほどやりこんでいたのだ。
では、伝説のスタフィーの何がそこまで幼い僕を魅了したか。
いくつかあると思うが、一番は世界観だと思う。
伝説のスタフィーに登場する世界はとにかくきれいだった。
海ステージがメインということもあって、
冒険の舞台は色鮮やかなサンゴ礁の海に始まり、光り輝く氷の海、アトランティスを彷彿させる海中の古代神殿などなど・・・・
内陸の県出身だったこと、旅行など一切ない家庭だったこともあり、
実際に海を見たことがなかった僕にとってはそれらはとても刺激的で、美しく、同じステージを何度周回しても全く飽きなかった。
クリア後に未開放エリアに入れるようになったときの興奮は今でも覚えている。
それでは、伝説のスタフィーで一番好きなステージはどこだったか。
それは「空の海」という面だった。
実は伝説のスタフィーのゴールは空中に浮かぶ城である。
終盤までずっと海中がメインだったわけだが、一気に舞台は空へと移る。
それまで見てきた水を表現する青色は、空を表現する青色へと変わる瞬間が訪れるのだ。
ここで少し話は変わるが、伝説のスタフィーで描かれる水はとても美しい。
しかし物理的に重さを感じ周囲を纏う「水」であるため、どうしても閉塞感が発生してしまう。
だがここを苦痛と感じさせない工夫がある。
当然一言に水中ステージを言っても色々ある。伝説のスタフィーには光の届かない深海ステージや、圧迫感のあるクジラの胃袋の中、幽霊船などもあり、その閉塞感にも強弱があった。そしてそのステージはおおよそ明るい海のステージと交互に訪れる。閉塞感にも緩急があるのだ。
プレイヤーはストーリーを進めるごとにその緩急に慣れ、もはや伝説のスタフィーの世界では水というものは当たり前なものと認識し、理解し、没入するのだ。
気づけばその閉塞感は僕たちにとっての空気と何ら変わらない。
水の重みを受け入れることができるようになる。
しかし、ストーリーが進み、それまでずっと当たり前だと思っていた閉塞感が、終盤空へと放たれることで
一気に解放される。
水中から一足飛びで空中に進むときに感じる「軽さ」は、単に地上から空中に進むときに感じる「軽さ」のそれとは大きくレベルが違う。
幼いながらもそのときの軽さに、僕は快感を覚えていた。
そしてそこには空に浮かぶ島、乗ることができるフワフワの雲、翼の生えた乗り物が存在し、子供心を大いに刺激するギミックが存分に盛り込まれていた。
※こんなの多感な小学生の人生には楽しくてたまらないですよ任天堂さん&トーセさん。。。
…
……
………
引っ込み思案で、それまで見ることができなかった憧れの外の世界。
特に実際に訪れることが難しい「水中」と「空中」を、僕は伝説のスタフィーを通して旅することができたのだ。
水中散歩と空中散歩にはまった僕は本当に何回も伝説のスタフィーをプレイした。
何回も何回も何回も同じステージを、ある日は違うところを通りながら、またある日は歩きながら、またある日は可能な限りスピードを出しながらプレイした。
多分、そうやってゲームをやっている感覚は現実世界の散歩と何ら変わりないと思う。
そしてバーチャルな世界の旅だったが、きっとその頃の僕にとってはリアルと遜色ない旅ができていたのだと思う。
今でも僕はナショナルジオグラフィックやディスカバリーチャンネルが好きだし、海洋図鑑を読むことが好きだし、ソロ水族館をするほどの海が好きだ。
そんな趣味ができたのも、伝説のスタフィーのおかげだと思う。
…
……
………
任天堂様、トーセ様。
伝説のスタフィーは今でも僕にとって大切なゲームの一つです。
楽しい思い出を本当にありがとうございました。
この気持ちが届いたらいいなあ。。