地球のどこかで想う事-短編集Ⅶ-マツダヒロムのいないバジャウ村
バジャウ族について⇧
Hello the world this is Kaito.
今回は2024.07 約半年ぶりの訪問だ。
一緒に来たダイゴは約5年振りのバジャウ村。
彼の場合は"僕"よりもずっと前からバジャウに住んでいたヤツだ。
ダイゴのリトリートツアーの後、バジャウコミュニティを訪れた。
昼過ぎに到着予定が、フィリピンタイムかまして結局夕方に。
以前のヒロムの家は、数年前の歴史的台風により番犬のペヤングと共に海に沈んだ。
ペヤングは一緒に海に行ったりボールで遊んだり、かなり人懐っこくとても力強いロットワイラー。
もう何度目かわからないけど、ここでもう一度ペヤングに追悼を。
また何処かで会える日まで🐕🦺
そしてみんなの思い出がたくさん詰まっていたであろう3階建の家も跡形もなく全て海に呑まれた。
もちろん近隣のバジャウ族も家や資産である船などを失った人々が多くいたであろう。
それくらい強烈な台風だった。
家とモノをほぼ全て失ったヒロムは新たなステージに向かうべく、現在に至るまでバジャウ族を離れている。
そんな彼が、以前家があった場所にゲストハウスを建設した。
ヒロム抜きで自走出来るバジャウツアーを目指し、ツアーやゲストの訪問、滞在の建て付けを構築している。
※入り口のアートはもちろんのこと、アート街プロジェクトにより彩られたバジャウ村を散策するだけでも楽しい。
彼の作品が生で無料で見られるまるで生きた美術館の様だ。
もちろん"僕"らゲストにとってヒロムは強烈なキャラクターと存在でいつも楽しませてくれる大切な存在であった。
正直、彼抜きでバジャウコミュニティを訪れたゲストたちは満足するのだろうか?
ゲストハウス訪問前はそんな事を考えなかったワケではない。
理由はバジャウを取り巻く環境や場所だ。
通常の日本人の感覚でいったら"危険"が取り巻いている。
家の下は汚染されたドブ海。
通路はいまにも壊れそうなツギハギの板。
狭い通路の両端にはひしめき合う小さな家々。
昼夜問わず見かける汗だくのシャブ中。
普段から清潔な環境でまるで温室のような状況下で暮らしている人々にとっては、衝撃的な光景だろう。
だからこそ、海外未経験者にとってはとても刺激的で異世界へ迷い込んだかの様な体験を出来るはずだ。
また、様々な環境へ飛び込んでいったバックパッカー 旅人たちにとっては即バジャウコミュニティの良さや魅力に虜になるはずだ。
ただいずれにしても、ゲストを迎えるヒロムの存在があり 精神的な安心を得る事ができてこそなのではないか?
と考えていた。
"僕"もヒロムがバジャウコミュニティを離れてから数回しかここを訪れていなかった。
そんな懸念を感じながらゲストハウスに到着すると鍵が閉まっている。笑
しかしこの後、上記の懸念が吹き飛ぶぐらいのホスピタリティ溢れた歓迎を受けることになる。
とりあえずダイゴと村長orデンジを探しに行く事に。
※セブのバジャウコミュニティは大きく分けると2つの村があり
ヒロムのゲストハウスがある海側のバジャウ
と
デンジが住んでいる陸側のバジャウ
こちらにそれぞれ村長が存在している為、訪問に際しては注意が必要だ。
いずれにしても、バジャウコミュニティへの敬意と多少の礼儀を持った上で村長たちには接してくれたら嬉しい。
仲良くなる前に必ずお互いのリスペクトは欠かせない。と"僕"は思う。
堅苦しくなる必要は全くないけどね。笑
デンジの家を目指していると、ビリヤードをしていた青年たちが声をかけてくる。
彼らに『デンジ何処にいる?』
と聞くと1人の少女が
『I know デンジ. Come here』
とデンジのところまで連れて行ってくれる事に。
ダイゴは久しぶりのデンジとの再会。
彼がバジャウに滞在していた頃からだいぶ成長したであろう、デンジの子供やその周りのバジャウと顔を合わせお互い幸せそうに再会を喜ぶ。
とても美しい光景だった。
その後デンジとゲストハウスへチェックイン。
夜は一緒にメシを食う。
バジャウコミュニティの青年たちも含めて様々な事を語り合った。
デンジのカレンデリア(食堂)では何回言ってもお金を受け取ろうとせず、無理やり支払いを済ませた。
※それくらいダイゴとの再会にみんな喜んでいた。
翌日朝になると、デンジの娘のジュマイリンがコーヒーとパンを持ってゲストハウスへ来てくれた。
彼女もいまや優秀なガイド。日本語もかなり理解している様で、英語力に自信がない人や女性ゲストも安心して滞在出来ると感じた。
彼女は父親のデンジから日本語を学んでいる様だ。
コーヒーを飲んでいるとデンジも現れ部屋の掃除を始める。
どうりで新築とはいえ綺麗だな。と思ったのは陰でハウスキーピングをしている彼らの存在あっての事だ。
※以前のヒロムの家に来た事ある人ならびっくりするぐらいの綺麗さだ。笑
ゲストと適度な距離感を保ちながら、的確にサポートをしているデンジに感動した。
今や彼がバジャウと日本人を繋ぐ架け橋へと進化していた。
おそらく日本語だけでなく日本人特有の文化や感覚も努力して理解し、自分のモノにしていっているのだろう。
そしてデンジの家に連れて行ってくれた少女や、必要なモノを都度買い出し行ってくれるバジャウの少年少女達。
みんな揃ってチップを受け取ろうとしない。
それぞれ理由はあるのだろうが、"僕"には客という意味の"ゲスト"ではなく
"仲間"に近い"ゲスト"として受け入れられている感覚を感じた。
バジャウ族という部族の保護
と
現代社会に馴染み発展していく事
という2つの相反するパラドックスの渦に思考が呑まれていく。
そんな疑問をデンジにぶつけてみると
彼はバジャウを取り巻く近代化について
『おれは何も気にしてないよ。わかるだろカイト。
何処にいても何が周りであろうとおれはおれだ。
ただ昔より変わった事といえば、良い人間であろうと心がけてるぐらいだ。
だから盗みもドラッグももうやらないよ。笑』
と実にバジャウらしい答えが返ってきた。
より一層彼らと過ごす時間が素晴らしい時間になった。
まだまだ彼らにとって"僕ら"が出来る事は限られており、本当に彼らの為の事なのかはわからない。
しかしそんな事より、1人の百歩より 百人の1歩。
たくさんの人がバジャウを訪れ 彼らと過ごし友人になり旅に出ることで、彼らと"僕ら"に共通の記憶や思い出が産まれる。
これは驚くほど強力な絆であり、海を超えた向こうに自分の"仲間"がいて彼らがいつでも自分を受け入れてくれる。
こうしたエナジーを彼らから貰う事が出来れば、なんだったら施しを受けているのは"僕ら"訪問者のほうだ。笑
人生は短くて長い。
人は迷ったり悩んだり苦しんだりする時もあるだろう。
そんな時こそ、この異世界への扉を開くチャンスかもしれない。
最後に、バジャウ族に日本人が受け入れられるキッカケを作ったファーストペンギン🐧
マツダヒロムにビッグラブとリスペクトを。
今回の旅の招待もありがとう。
現在バジャウ×日本人の礎を作ったのは紛れもなく彼である。
訪問やツアーの問い合わせは彼のInstagramへ
気まぐれに返事がやってくるハズだ。笑
それではバジャウコミュニティでまだ見ぬみんなと会えることを楽しみにしていまふ。
マツダヒロムのInstagram