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定期借家契約は借主の目的に合致するならば選択肢の一つ

漫画『正直不動産』は不動産屋の裏側を描く。

不動産取引のからくりや不動産業界の悪習を知ることができる。


今回のテーマは『定期借家契約』。


アパートの借主が登坂不動産に電話をかけてきた。

定期借家住宅契約終了のお知らせが届いたと不平を鳴らす。

永瀬が諭すように言う。

契約時にお話ししましたが、山口さんのアパートは契約期間があらかじめ決められている賃貸借契約です。

半年後、契約期間が満了するので、退去しなくてはなりません。

正直不動産

借主は絶対に退去しないと怒鳴る。

永瀬と月下が借主のもとに赴く。

このアパートの場合、オーナーが将来的に建て替えを考えているので、定期借家契約にしたんです。

正直不動産

借主はいきり立つ。

定期借家契約ってのは、貸し主に有利。

あなたみたいなトラブルメーカーを追い出すのに、最適ってことです。

正直不動産

正直営業の永瀬がまたもや口を滑らす。

果たして退去してくれるのか…


定期借家契約は貸主に有利。

では、借主にとってメリットがあるのか?

借り主が不利な契約のように見えるが、メリットもある。

・転居予定先があり、完成や手続き完了までの期間居住する場合は有利

・相場より家賃が安い(普通借家よりも安いことが多い)

・初期費用である敷金・礼金が安い

・建物自体高品質であることが多い

正直不動産

高品質物件の家賃が安いことが多い。


先日、タクシーの運転手から聞いた話を思い出す。

「今住むマンションは二重窓なので外の騒音や隣室の物音も聞こえない。

もともと大企業の社宅だったので造りがしっかりしている。

そのマンションは定期借家だったので家賃が安かった。

建て直す予定だったがその後白紙になった。

今でも安い家賃のまま住み続けている。」

まさに定期借家契約の好例。

そこに住み続けられるとはなんて幸運なのだろうか。


最近は定期借家契約のあり方に変化があるようだ。

そうした悪質な入居者を未然に防ぐ方法として、定期借家契約に着目する大家がじわり増えているようだ。

定期借家契約とは、賃貸期間が終了すると借家契約が終了する終了型、貸主・借主の双方の合意による再契約が可能な再契約型がある。(中略)

定期借家の成約が増えたのは「新築の物件が増えたため。新築は利用されやすい。新築オーナーの不良入居者対策として利用するケースが少なくない。

普通借家の物件よりもグレードが高い傾向にあるのが定期借家物件の特徴だ」と説明する。(中略)

実際、冒頭で紹介したアットホームの定期借家物件の調査でも、定期借家と普通借家の平均賃料を比べると、マンションと戸建ては定期借家が3万円弱高かった。(中略)

先述のとおり、定期借家にも2種類ある。それが終了型と再契約型。

入居者にとっては2年間しか住めないものと、普通借家で更新できるものでは住まいの価値が違う。

それを考えると、終了型は家賃を下げるのは当然だが、再契約型の場合で賃料を下げる理由は見当たらない。

健美家

定期借家契約の中には再契約を前提とする物件もある。

この場合、家賃は高い傾向にある。


定期借家契約と言っても一概に同じではない。

終了型は家賃が安いが期間が満了したら退去しなければいけない。

再契約型は高品質物件に長く住めるが家賃は高め。

借主の目的に合致するならば定期借家契約も選択肢の一つだろう。

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