譲渡損失を翌年以降に繰り越す場合、翌年の税金も試算しよう
例年通り1月中旬に確定申告(正しくは還付申告)を提出した。
確定申告の対象は上場株式の配当所得と譲渡所得。
特定口座(源泉徴収あり)なので申告不要でもいい。
ただし、確定申告をしたほうが節税になる場合がある。
課税所得金額が900万円未満の場合。
複数口座間で損益通算する場合。
譲渡損失を翌年以降に繰り越す場合。
前年から繰り越された譲渡損失を控除(繰越控除)する場合。
株式取引が下手くそな人が確定申告をすると税金を取り戻せる。
私もそのうちの一人。
昨年までは確定申告をして住民税を申告不要にすることができた。
所得税の還付金を受け取りながら国民健康保険料に影響を及ぼさない。
株式取引が下手くそな人にとって有効な節税方法だった。
今年からはその方法を採れない。
確定申告をしたら住民税も同じ課税方式になる。
そうすると、国民健康保険料にも影響を及ぼす。
私は事前に所得税、住民税、国民健康保険料を試算する。
今年はこんな感じ。
申告不要にする場合、所得税(青)と住民税(赤)は源泉徴収されたまま。
確定申告をする場合、所得税と住民税がほぼ全額還付される。
前年から繰り越された譲渡損失があるからだ。
一方、国民健康保険料(黄)は確定申告をすると高くなる。
国民健康保険料について補足する。
国民健康保険料は総所得金額等に応じて計算される。
総所得金額等は総合課税の所得と繰越控除後の申告分離課税の所得の合算。
所得税や住民税のように所得控除と税額控除は適用されない。
繰越控除がない場合、国民健康保険料は高くなる。
繰越控除が比較的小さい場合も国民健康保険料は高くなる。
話を戻そう。
今年だけを見れば、配当所得を申告分離課税にする場合が有利。
配当所得を総合課税にする場合、繰越控除を適用しても譲渡損失が残る。
この譲渡損失はさらに翌年に繰り越されるので翌年の税金に影響を及ぼす。
この場合、今年と翌年の税金を合算して判断する必要がある。
翌年の所得を今年と同じと仮定して翌年の税金を試算した。
今年の配当所得を総合課税にする場合、翌年はこんな感じ。
この場合、今年から繰り越される譲渡損失がある。
確定申告をする場合、全ての税金に繰越控除が適用される。
今年の配当所得を申告分離課税にする場合、翌年はこんな感じ。
この場合、今年から繰り越される譲渡損失がない。
確定申告をする場合、全ての税金は先ほどの場合より高くなる。
今年と翌年の税金を合算して天秤にかけてみよう。
なお、翌年の税金は配当所得を総合課税にする場合のものを用いる。
今年の配当所得を総合課税にする場合
今年の税金 20万円
翌年の税金 75万円
合計 95万円
今年の配当所得を申告分離課税にする場合
今年の税金 5万円
翌年の税金 105万円
合計 110万円
今年と翌年を合算すれば、今年の配当所得を総合課税にする場合が有利。
今年の税金だけでは見誤ることがある。
譲渡損失を翌年以降に繰り越す場合、翌年の税金も試算するといい。
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