フランスの学生起業家のステータスのメリットとデメリット(3話目)
1話と2話目でどんな人がもうしこめるのか、どんなサポートが得られるのかだいたい把握できたと思いますが、
そもそもこのフランスの学生起業家のステータスを得られるこれらのサポート、専門コースのメリットはどんなもので、またデメリットはあるのでしょうか?
実際体験した人のブログの内容をみてみると
メリットは
ーボランティアチューターと学生起業家による夜のミーティングもあり起業分野に精通したプロフェッショナルが手伝ってくれます。その人は、あなたに助言を与えたり、外部の視点を提供したり、自分のネットワークをあなたに開いたりすることができるので、その人のサポートは重要ですがその助けてくれる人の熱意やそれがどれだけ自分に助けになるかは自分次第です。それらの人が非常に良い友人となり、面白い扉を開いてくれる場合もあります。教師の専門分野のサポートも受けられます。
ー集団の力
学生起業家のコミュニティは、全体的にとてもしっかりしています。夢とやる気と向上心が入り混じった、実にダイナミックで、滋味深いものがあります。そのような状況であれば、成功したいという欲求が定期的に目覚め、プロジェクトの開発や活動の進展に生産的に取り組むようになります。同じようにすごいプロジェクトを持っている人たちに囲まれていることが重要です。強いモチベーションを保ち続け切磋琢磨して前進することにつながるのです。
ーチャレンジングなイベント
賞金を目指した起業プロジェクトコンクールなどは快適な環境から抜け出し、プロジェクトを後押しする理想的なソリューションです。自分のアイデアを人前で発表するだけでも、自分を売り込む術を身につけることができます。すばらしい他人の実力やプロジェクトを目の当たりにすることもあると思います。そして、特にあまり気負うことなく、多くの人に自分自身や自分の志をさらけ出すことができるのが、このようなイベントの特徴です。スタートアップイベント、特別セミナー、あるいはファンドレイジングイベントなどがあります。何でもありで、たとえ知り合いがいなくても、自分を知ってもらうため、自分の企画を試すためだけでも行く価値があるのです。
ーツールおよびメソッド
PEPITE(のちの投稿で説明します)は、アイデアやプロジェクトを構造化し、実現するためのツールを提供するもので、特にスタートアップに適しています。事業創造に重点を置くというより、多くの障害を想定してビジネスモデルに挑戦し、可能な限り揺さぶりをかけたい場合にも関連します。
ー人と人とのつながりを大切にする
イベントやチューター、プロフェッショナルとの様々な交流の場を通じ、リアルなネットワークと簡単かつ迅速にコンタクトできることがこの学生起業家のステータスの利点です。各都市には、ビジネスクラブや起業家ネットワーク、CCIのコーチなど、あなたのプロジェクトに興味をもってくれる人がたくさんいます。特に若いうちは、まだ知り合いが少ないので、ネットワークはプロにとって非常に重要です。だから、そこにいて、姿を見せ、あなたのビジネスのために物事を実現させるのです。たった一度の出会いが、すべてを変える。
ー自由度の高さ
特にD2Eの授業コース(2話目で説明した)に参加しない場合は、自分の興味のあるワークショップやイベントに参加したり、プロジェクトの進捗状況を口頭で発表したりと、1年間の活動は限られたものになるのです。やることがかなり自由なのは、とてもいいことだと思います。プロの家庭教師や先生のチューターには自由に相談できますし、より具体的な指導が必要な場合は専門家に相談することも可能です。
しかし、すべての自由がそうであるように、自由には限界があります。
デメリットは
ここから少々マニアックな話しになりますが、
ーすでに会社を立ち上げている場合、すべてのワークショップやイベントは、基本的に起業することに焦点を当てたものとなり、開発に関するものはかなり少なくなります。
ープロジェクトの構築と展開を行うための時間が足りない場合がある
学生起業家は、D2Eの授業コースを受講していないということは自分の通常の博士コースや修士コースや学士コースなどを受講中ということが大半だと思います。両立は難しくその受講中の正規コース内でフランスでは3ヶ月−6ヶ月のインターンシップが卒業必須項目になっていますが、自分の起業のための活動時間を確保するために、インターンシップを起業のプロジェクトに代えるということは認められているものの、実際必須のインターンシップの代わりとしてこれらを行うことを学校を説得するのは、たとえPEPITEのサポートがあったとしても、とても難しいことです。
ーD2E受講なし、自分で積極的に行動できない場合
自由度が高いのはいいことですが、中には自分のプロジェクトが進化していくのを見てもらうために、監督してもらうために、定期的な確認をしてくれる人が必要なタイプの人もいます。残念なのは、「PEPITE」チームによるフォローアップが不十分で、行ってくれる確実なことは最後の口頭発表試験で点数をつけるくらいです。D2Eを受講していないにもかかわらず、「市場調査を十分にしていない」と非難される学生起業家を見たことがあります。数あるPEPITEのワークショップでもこのようなテーマに関するものは少なく、プログラム全体から見ると実に偏りがあり、物足りないのです。受け身の姿勢では多くのことを得られないでしょう。
ー時間の負荷
口頭発表には、プロジェクトの推進や学生への建設的なフィードバックという点で明確な利点がありますが、それでも追加的な作業負荷となります。さらに、PEPITEが要求するような進歩を遂げるには時間がない学生もいますし、指示が一回一回で少し大雑把になってしまいます。
ー審査員が自分のプロジェクトに適応していない
審査員がその道の専門でなかったり、毎回違う人になることで毎回一から説明する必要がある。学生にとってはすべての口頭試験で、最適な1人の審査員がいて、毎回自分のプロジェクトを完全に説明する必要がなく、どのように発展してきたかを審判される方が、よりシンプルで楽しいだろうと思います。
ープロジェクト、会社、利益を発展させるためのワークショップが少ない
残念なのは、すでにビジネスを立ち上げている場合、あまりメリットが見つからないことです。起業した後、あるいは企業経営の知識をしっかり身につけた後では、このステータスはあまり意味をなさないと確信しています。
私個人の考える、外国人へのメリット
最後に私もやりはじめたばかりなので実際どんなメリットとデメリットが自分にあるのかわかりません。そもそも先輩のフランスで育ったわけでもない日本人留学生が同じことを行った記録のブログなど見つけられません。情報がないのです。
そのためにもこうしてnoteで後に続く人のためにしっかり記録を残そうと思い始めたわけです。
そんな中でも私の考えるメリットは以下です。
ーどうしてもフランスの滞在許可証を持ち続けたい場合。
それでいてフランスで起業したい事業がある場合。
2話目で説明したD2Eのコースの入学が認められる場合は、日本に住んでいても学生ビザを取り、9月スタートでフランスの大学に入学できます。そしてこの授業でフランスで起業に必要になることをあれこれ先生やプロが指導してくれますが、ただし自由度が高いプログラムなので自分のやる気と実力次第だと言えます。
私のように修士をフランスで修了している場合、
Carte de séjour - Recherche d'emploi/création d'entrepriseという滞在許可証を申請できる資格があります。これは起業する為に1年フランスに入られる滞在許可証なのです。しかもこの場合は銀行での貯蓄額やアルバイトでいくら毎月収入があるかなどの審査が免除になります。
それ以降のビザや滞在許可証については今後投稿します。
ーフランスで外国人が正規に雇われるのが大変という現状がある。
ヨーロッパ外の外国人が雇われる時には会社が労働ビザを発給するので余分なお金が必要になり、好まれません。
場合によっては雇われるよりは自分で起業した方が稼げることと思います。
ーデメリット
博打のようなものです。人生なんの金銭的な補償がないのが続くわけですので、そういう状態がとてもストレスな人には無理ですが、親などの支援があれば想像以上に簡単にフランスで起業は実現できると思います。