いらない子
僕はいらない子なんだって。
いらないって言われても、
いらないってなんだろう?
おかあさんは、しってる。
ほかのいっしょにいる僕とにてるけど僕より大きい人と小さい人が、髪の毛が長い1番大きい人をおかあさんと呼んでて、おかあさんと呼ぶとなに?と返事をするから、あの大きい人はおかあさんって名前なんだろうなと思う。
僕に似た背の高い人は、おにいちゃんて呼ばれてる。
僕に似た背の低い人は、いもうとって呼ばれてる。
僕はいらない子って呼ばれてる。
僕はばかでわからない事がおおくて、いつもおかあさんて人の手で髪の毛のところをぎゅうぎゅうされる。
でもおかあさんやおにいちゃんって僕が言うとうるさい、だまれって言われて、髪の毛のところをぎゅうぎゅうされるから、僕はその人の名前を言えない。
僕は、わからない事がたくさんある。
でも今はおかあさんがいない。
だから大きな布を動かしてみた。
おかあさんにかーてんは開くなと言われてたけど、かーてんが僕にはわからない。
きっと、この大きな布をかーてんと言うんだと思うんだけど。
布をうごかしてみたら、僕はやっぱりわからない事があった。
上から水がおちていたんだ。
おふろばやだいどころじゃなくて、どうして上から水がおちているんだろう?
とてもたくさん水がおちてきて止まらないけど、どうなっているんだろう?
そのうち水が白いものになって、白いものがたくさんたくさん落ちてきた。
はじめて見たけれど、これはなんだろう?
おにいちゃんに、あの上から落ちてくる白いのはなに?と言った。
ゆき、とおしえてくれた。
ゆき。
はじめて知ったことばだ!
白くておいしそうなのがたくさん落ちてくる。
おにいちゃんに、あれを食べてみたいと言ってみたら、おにいちゃんがあははと言って、お前そういえばごはんたべてないもんな、おなかすいてるだろう、くってこいよ、いらない子、って言って、まどを開けてくれた。
まどは僕でも知ってる。
これは開けちゃいけないんだ。
開けると髪の毛のところとか、手のところとか、たくさんたくさんぎゅうぎゅうすることをおかあさんにされるんだ。
そう思ったら、胸がぎゅうぎゅうしてきた。
そしたらいもうとって人が、あーゆきだー!って言った。
いもうとはゆきにさわった。
つめたい!と言った。
ゆきはつめたい?
つめたいってなんだろう?と思って、僕もゆきをさわった。
おふろばで水をかけられた時みたいに手がビリビリした。
このビリビリをつめたいと言うんだと、また僕ははじめてしった!
そして、ゆきはやわらかくて、持ってたらなくなった。
なんだろう?どうしてかな?
これじゃ食べる前になくなりそう。
おにいちゃんが、好きなだけたべてもいいぞとまどのそとに僕を出してくれた。
こんなこと、おかあさんに知られたらおにいちゃんまでぎゅうぎゅうされないかなと思ったけれど、ゆきの方が僕のあしをぎゅうぎゅうしてきた。
おかあさんは、おにいちゃんをそういえばぎゅうぎゅうしたり、おふろばでたくさん水を飲ませたりかけたり、髪の毛のところをぎゅうぎゅうしない。
ありがとう!と言ったら、おにいちゃんがへんなやつ、ゆき食べてしんでしまえと言った。
しんでしまえって、なんだろう?
いつもおかあさんといっしょに僕をぎゅうぎゅうするおにいちゃんが、ゆきを食べていいって言ったから、きっとしんでしまえってこともおなかがいっぱいになるのとおなじくらい、いいことなんだと僕は思った。
白くておいしそうで、でも手で持つときえちゃうゆき。
いそいでたべないとなくなっちゃう!
ゆきをつかんで、くちに入れた。
くちの中がぎゅうぎゅうした!
びっくりして、ゆきをだしたら、白くなくて水になってた。
しかも、おふろばみたいなぎゅうぎゅうする水に!
でも白いままたべることができたら、口のなかがぎゅうぎゅうしたりしないで、おなかがいっぱいになるかもしれない!
僕は、ゆきをくちにいっぱい、
いっぱい入れた。
おなかとからだがぎゅうぎゅうしたけれど、たくさんゆきを食べられた!
くちにいっぱい入れたから、きっと白いままおなかに入ったと思う!
でも、ゆきを食べてたら僕はなんだかねむくなってきた。
上からずっと白いゆきが落ちてくる。
僕のぎゅうぎゅうするのがなくなってきた。
そして僕はゆかに寝た。
ねむくなったらゆかに寝ろっておかあさんが言ってたから。
体が白いゆきだらけになった。
まるでおにいちゃんやいもうとやおかあさんがいつもつかってるふとん?みたいだ。
ゆきはふとんにもなるんだ!
ふとんにもなって、いっぱいたべれたり、
ゆきは、やさしいな…
いつもならおかあさんにおやすみなさいを言わないといけないのだけど、僕はもう目があかない。
からだと歯ががたがたしてきた。
なんでだろう?
僕はだからおかあさんのかわりにゆきに言った。
おやすみなさい。
最初、この話はいらない子が必要とされたいと願い外に出て、いつか誰かに必要とされる存在になる予定でした。
でも書いてる途中で気付いたのですが、いらない子として育った子は、何も教わらず感情や表現が乏しく、願うという行動や外出行動も、雨や雪も冷たいも痛いも必要という意味さえもわからないのでは?と。
なのでこういう形になりました。
これは勿論フィクションだけど、気付いたら児童相談所や警察に通報してください。
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