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豪州看護記録:CCUの悲惨な夜

豪州で7年くらい看護師してたが、CCUでの初めての夜勤は忘れられない。

CCU( Coronary Care Unit) 循環器内科集中治療室に看護師3年目で入職し、初めて4日連続で夜勤をすることになった。

病床は6床、二人の看護師で看護するが、一緒に働く先輩看護師は二次蘇生資格取得済でICU転職予定の優秀な看護師だ。初めての夜勤ではあるが安心していた。

それがこんな事態になると知らず。

私の担当した患者さんは、

・50代女性 

・腹腔鏡補助手術中に心肺停止

・蘇生後徐脈続きで本日午後、左上胸部にペースメーカー挿入

・術後の胸部レントゲン異常なし

と申し送りを受けた。

その患者さんをその前日担当したこともあって知ってたし、術後ケアに注意すれば良いと思ってた。

申し送りが終わって、私が「ご気分はいかがですか?」と聞くと患者さんが言った。

「苦しくはないんだけど胸の周りが何かグルグル巻きにされている気がする。。。。」

意識明朗、PPM挿入患部異常なし、バイタル正常である。

先輩看護師が言った。

「蘇生されたときにこの患者さん肋骨折ってるから、そのせいだろう」

(うーん、でも、この患者さん昨晩はそんなこと言ってなかったよな)

そう思って、当直の医師に胸部を診察してもらおうと私が判断した。

夜勤で医師の人員も限られる中、安定した患者さんの少しの変化を気にして見にきてくれる医師はいない。よって看護師もそれを配慮して通常は、

ヴァイタル正常なら経過観察する。

でも、気になったので当直医師に電話し依頼した。

研修医のJessがこの夜は担当だった。Jessは

「分かった〜。30分以内には来れる。CCUね?」と返事してくれて

本当にきてくれた。Jessが胸部聴診するということでアシストした。

彼女は診察後「Not too bad, Let me check the chest X ray result」と言って

デスクに戻り患者の胸部レントゲンを確認した。

確認してJessは言った。

「She s got pneumothorax」

一瞬言葉を疑った。へ?術後の胸部レントゲン異常なしって申し送り受けたんだけど?

申し送りした看護師さんはいい加減なことを言ってたのだった。

私も胸部レントゲン見た。

あった。左。気胸だ。ガーン。

Jess:「おかしいと思ったのよね、左の肺が聞きにくかったから」

Jessが上司の内科専攻医に連絡し、内科専攻医が患者診察後、当番の外科専攻医に連絡した。

胸腔ドレナージ決行。

外科医がCCUに登場した。すごい不機嫌そう。

「っっったく、こんな時間に胸腔ドレナージかよ」と外科医が愚痴る。

私はドレナージ挿入の補助は初めてであたふたしてまい、

外科医は不機嫌な上、CCUに必要な器材がなくイライラしている。

外科医「胸腔ドレナージキットもないのか?本当に病棟なのかここは!!」

はい、怒鳴られた。「す、すみません、、、」とか言いながら心中では

(ここはCCUなんだからあるわけないでしょ〜!!!)と叫んでた。

なんとかICUに頼み込んで器材を揃え、遂に針が挿入され、空気がぶくぶくぶく〜と出てくんのかと思ったら、何やら真っ黄色の液体が出てきた。外科医が呟いた。

「なんだろ、胸腔じゃなくて胃の方に刺さっちゃったみたい・・・・・」

(いやいや、ダンナ。。刺さっちゃったみたいじゃないでしょ、、、、、)と内心ツッコミを入れながら

黄色い液体見たときは血の気が引いた、、、、、、。

Pleural fluid (胸水)の可能性もあるかなと思ったけども

ここまでマスタード色の真っ黄色の胸水は見たことない、、、

外科医:「この液体のp Hを測れ!!」と命令するんで

言われた通り私はリトマス紙で謎の液体のpHを測った。

酸性!!!

胃液だった。この外科専攻医が外科専門医に連絡して

Nasogastric Tubeを胃に挿入してデフレートを行うと判断した。

(なんだよそれ、そんなんCCUでやったことないよ!! )

私はこれ以上の外科アシストは無理と判断し、ICUナースに応援にきてもらった。応援要請しなかったらどうなってたことか。

外科医とICUナースと共同しながらNGtubeを挿入、チューブを吸引器と接続して胃をデフレートした。

移動式レントゲンを呼んでレントゲンをとって胃のデフレートを確認すると

二度目の胸腔ドレーン挿入が始まった。二度目は成功。やれやれ。

これで患者さんもやっと一息つき、やっとNightmere なNightshift は終わると思ったが

終了直前に患者さん200以上の頻脈出てICUに搬送されて行った!!

初めてのCCU夜勤はほんま疲れた。

終わり。










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