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中国のおもしろマーケティング事例:グループウェア钉钉がビリビリで人気になるまで
アリババグループが展開しているグループウェアで钉钉(英語名DingTalk)というものがあります。ビジネス向けのツールですが、中国において、1月から新型コロナウイルスで休校になった学生が、学校の指示により使う場面が急増したようです。
だが元々はビジネス向けのため、10代の学生にはとっつきにくいツールであった様子。不満の声が上がり、ついにはビリビリに钉钉を揶揄するネタ動画が上がり始めました。
そこで钉钉はイメージ回復のため、ビリビリを活用したマーケティングを開始。2月から、かなり気合いの入ったコンテンツをビリビリに続々投稿していきました。
- 钉钉への不平不満を正面から受け止めて自虐的なギャグ動画化
- リッチな映像付きで钉钉公式楽曲を発表
- 「アニメ化決定!」というアニメ好きにはおなじみの告知のパロディ
- FLASHアニメ的なストーリーコンテンツ
などなど。きちんとビリビリユーザーに向き合って、ビリビリユーザーに受け入れられるコンテンツでした。
こうしたアクションによって、钉钉への評価が急上昇。钉钉を題材にしたMAD動画を作ったり公式楽曲の「歌ってみた」をアップロードするファンも続々現れ、ビリビリ総合ランキングに钉钉関係の動画が続々登場していきました。
結果として钉钉はイメージチェンジに成功。多くの若者に受け入れられていきました。
2月16日、钉钉マスコットが土下座して謝る動画
1月の段階ではシンプルな使い方動画しかアップロードしていなかった钉钉公式チャンネル。2月16日に突如としてビリビリらしい面白動画をアップロード。2530万再生という記録的な再生数に。その後もヒトラーの映画のパロディ(日本のニコニコでも人気のパロディネタ)や、女装ネタなど、ビリビリのノリに完全に合わせた動画を投稿しはじめます。
2月16日に投稿された、流れを変えた動画。
その後も続々と、ビリビリらしい(日本人からすると往年のニコニコっぽい)動画を制作して投稿
ネギを振る初音ミクの動画(Ievan Polkka-初音ミクver)のパロディ
ついには、きれいなイラストがついたオリジナル曲まで公開するように。
4月新番組で钉钉アニメ化決定? といって、往年のFLASHアニメのような会話劇動画を公開したり。冒頭はハイクオリティなアニメのように始まって、途中でFLASHアニメのように切り替わるあたりも、ネタの仕込みがうまい。
普通の告知動画の再生数も伸びた
コミュニティに寄り添ったマーケティングが功を奏したのか、新バージョン発表会というエンタメ要素のない動画の再生数も伸びていき、ソフトへの興味関心を高めたことが窺えます。
本来は硬派なビジネスツールが若者に受け入れられていったマーケティングとしてめちゃくちゃ面白い事例だと思います。
現在は大規模な二次創作コンテストも実施中
キャラの設定図や、楽曲、MMDデータまで公開するほどの気合いの入りようです。優秀者への賞品には、キャラクター抱き枕まで(笑)
この記事も広い意味では、钉钉の二次創作ということになるのかもしれません。
私は中国語はまだまだ勉強中なので追えていませんが、中国語ができる人は、ユーザーの作った二次創作MAD動画も見てみるとこの熱量がわかるかもしれません。