アイシア・ソリッドさんの動画を見続けたらG検定に受かった話 ディープラーニングを学ぶのにオススメYouTube3選
日本ディープラーニング協会が実施しているG検定という試験があります。ディープラーニングにまつわる話題について一通り理解しているかを問う試験内容で、1960年代からつい最近の生成AIまで、機械学習の歴史を浅く広く出題する感じ。暗記問題の4択なので、エンジニアではなく、技術系の会社の営業や広報の人向けかもしれないです。
国家資格ではないので受かったから何か意味があるかと言えばないかもしれませんが、私は資格試験を受けるのが趣味であり、かつ、ChatGPTブームからディープラーニングに興味を持ったニワカ中のニワカなので、知識整理にも役立ちそうだったので受けてみました。
といっても、ガリガリと参考書に向かったわけではなく、YouTubeで勉強しました。一番勉強になったのは、データサイエンスVTuberアイシア・ソリッドさんのチャンネルでした。
AIcia Solid Project
チャンネルの“マスター”は分析モデル入門という本も書かれている本職のデータサイエンティストです。
活動歴が長いのでディープラーニングから行列計算の基礎まで幅広く扱っていて、どれもとても分かりやすいです。以下の「Deep Learningの世界」シリーズは、ほぼG検定の範囲と被っているので、このシリーズを2~3周ほど見れば予習はバッチリでしょう。
強化学習のシリーズは特におすすめです。どうしても複雑な式変形が出てきがちな分野ですが、式を丁寧に解説してくれるので、めっちゃ分かりやすかったです。アイシア・ソリッドさんがいなければ僕は強化学習を1ミリも理解できなかった気がします。
ご本人も「神回」とサムネを作っている以下の動画はとくにオススメ。わかりやすい!
3Blue1BrownJapan
せっかく動画で学ぶのだからアニメーションを使った教材を見たいぜ! という人にオススメなのは3Blue1BrownJapan。3Blue1Brownという英語の数学教材を、東京大学の学生有志の方々が、正式な許諾を得て日本語ナレーションに吹き替えたものです。アニメーションの作りが丁寧で、数学をイメージで理解するのに最適です。数学のジャンルを広く扱っていて、もちろんディープラーニングの数学を扱ったシリーズもあります。
ニューラルネットワークの学習の基本である誤差逆伝播法(バックプロパゲーション)は、以下の動画を見るとイメージがバッチリ理解できます。
一番のオススメは、畳み込み演算(Convolution)の説明。「畳み込み」といいう和訳ではなかなかイメージが湧きませんが、この動画を見ればなにをやっているのかが鮮やかに理解できるはず。
ちなみに、この解説を見てから、アイシア・ソリッドさんの「畳み込みは内積に似ている」という説明を聞くと、めちゃくちゃ理解できます。
Neural Network Console
Sonyが出しているディープラーニングの統合開発環境「Neural Network Console」というものがあります。このチャンネルはこのソフトの公式チャンネルで、基本的には使い方を説明する動画がメインだとは思うのですが、ディープラーニングの解説動画も豊富です。とてもありがたい。
基本的な考え方や、押さえておくべき手法など一通り解説されているので、Neural Network Consoleを使うつもりが無い人にとっても役立ちます。
ちなみに、この解説をされている小林さんというエンジニアの方は、Frieve-Aという名前でオンラインソフト作家・ミュージシャンとしても活動されています。
本題とは関係のない話ですが、私は小学生の頃、MSX FANという8bitコンピューターの雑誌を愛読していました。そのMSX FANのカリスマ投稿者がこのFrieve-Aさんでした。インターネットなんて庶民には使えなかった当時の雑誌は、読者が作って投稿したゲームを付録のフロッピーディスクに入れていたりしたのです。Frieve-Aさんのゲームはよく付録に収録されており、内容もBGMも大変に完成度が高い作品ばかりで、「こんな作品を作れるなんてすごい…」と、ある種、憧れのお兄さんでした。そんな憧れのお兄さんに、中年になった今も、コンピューターのことを学んでいるというのは不思議な気分です。もしもお目にかかる機会があったらサインをもらってしまうことでしょう(笑)。
これら3つのチャンネルの動画を何周か見て理解できれば、G検定は受かってしまうと思います。実際、私は合格できました。一応、試験形式を理解するために問題集は1冊買って流し読みはしましたが、試験対策らしいことをしたのはそれくらいです。
今は無料の動画でこれだけのことを学べてしまうのですから、本当にいい時代になりました。動画を公開してくださっている方々には本当に感謝です。また、こうした知識を誰でも得られるということは、ある意味、知識を持つ人たちが次々と現れるということでもあり、ちょっと人より詳しくなったくらいでは油断できない時代ともいえます。怖いぞ。
というわけで、合格体験記(?)的な記事でした。
おまけ
G検定の合格証のPDFは、暗号化ZIPファイルとして添付されており、別メールで解凍パスワードが届く“PPAP”形式でした🤣
日本政府も2020年に廃止した方法を、まさかディープラーニング協会という組織が今もとっているとは思わなかったのでちょっと面白かったです。