福島市一箱古本市「本博」出店録
10月22日(日)に開催された「本博」に、一箱古本市の出店者として参加しました。今年で2回目の参加です。この半年ほどで新潟、宮城、そして福島と3県を渡り歩きました。
一般的に一箱古本市の会場といえば、商店街や路地の一角に露天形式で開くもの、市民センターなどのイベントホールで行うものの二つに大別されるところ、昨年と今年の「本博」は引退した鉄道車両の車内で行われる一風変わった一箱古本市となりました。「本博」は毎年趣向や会場を変えながら続けており、何と今年は14年目とのこと。過去には著名人を招いたトークショーを行うなど、本に関わる盛大なイベントとして開催していたようです。
朝10時の開場に合わせ、仙台の自宅を7時30分に出発。村田ICまで下道で行き、そこから福島飯坂ICまで高速で行きました。設営開始の9時ちょうどに乗り付けたので、我ながら完璧な往路です。会場前にはスタッフの方々と助っ人の大学生がいて、テントや椅子を設営していました。何か手伝いましょうかと声を掛けていただき、軽めの荷物の搬入を依頼。本博に関わっている方々はどなたも溌溂としていて気持ちよく、長く続いているのもこうした一人ひとりの力が大きいのだろうと思います。
本の陳列にはいつものIKEA製キッチンカートを使用。運ぶのにも並べるのにも便利で、少々本を出しづらい難点を除けば非常によいアイテムです。ただ、他の出店者の方々は楽しい陳列方法を工夫されているのに対し、自分は毎度無骨な出来栄えで、もう少し何とかならないのかと思います。(思うだけでアイデアは出てこない。)
開始後、一斉に来場客がなだれ込んできます。が、大半はお子様とのクイズラリー目当てで、本をゆっくり見る人はあまりいません。北車両は通路が狭く、立ち止まると後ろがすぐにつかえてしまうのでどうしても先に進むのが優先となってしまいます。そもそも私が取り揃えている本がマニアックなので、通の方には目に留まるようですが、ごく普通の家族連れは一瞥し、「神秘」「幻想」「四次元」といった書名に対し、何か得体の知れないイメージを抱くのか、そそくさと立ち去る方がほとんどです。そこは折り込み済みなので、あまり立ち入った態度は取らず、売れても売れなくてもよいという雰囲気を醸し出しつつ、熱心な方が来ないかと待ち望みます。
昨年の反省から、今年は児童向けの本を取り込んで目立つように置いていました。児童書を置く作戦は本博の前日に思いついて、ダメもとで息子に売る本はないかと聞いたところ、案外あっさりしたものであれもこれも売ってよいと交渉は容易でした。この作戦は大当たりで、息子選書の8冊中6冊が売れました。イベントの趣旨を考えれば児童書が売れやすいのは当たり前ですね。息子も自分の本が次々と売れていくのは楽しかったらしく、次回も交渉はしておこうと思いました。
午後になると超満員の乗車率は少しずつ落ち着き、本好きと思われる方々も見え始めます。本を眺める眼差しや、慣れた手付きで本を抜き差しする動作からなんとなく察する程度ですが、大体この勘は当たり、自分自身でも扱いにくくなった非常にマニアックな本から売れたりするので驚きました。出店者の方からも何冊か買っていただき、やはり目が肥えていてこれはと思う本を的確にチョイスしていました。
終わってみれば18冊8200円の売上で、今年最大の売上でした。人を選ぶセレクトながら健闘した方ではないでしょうか。冊数が捌けた分、撤収が少しだけ楽になりました。昨年は運営の方からコインパーキングのサービス券をいただいて、淡い期待を抱いていたのですが今年は無し。朝から停めて1080円であれば安い方です。
他の出店スペースを見ていて特にいいなと思ったのが、「ばったりたおれ屋」さん、「すなば書房」さんです。ばったりたおれ屋さんからは海の生き物の仕掛け絵本を、すなば書房さんからはたむらしげるの『ロボットのくにSOS』を購入。どちらの本も息子が夢中になって読み耽っており、よいお土産になりました。
昨年に続いてブックカフェコトウも訪問。1年ぶり、2回目の来店にも関わらずご店主は私のことを覚えていて、一箱古本市の様子や金港堂の古書市について会話が弾みました。内田百閒全集の端本、本に関する話題満載のZINE『おてあげ』、エドワード・ゴーリーのファンブックを購入。すばらしいお店です。一箱古本市が無くてもこのお店目当てに福島には時々行きたいですね。
次回は今年最後、山形市の一箱古本市に出店予定です。お子様向けの本を組み込みつつ、怪異や心霊など変な本もしっかり補充しますのでよろしくお願いします。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?