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〜ロマン喫茶へようこそ〜


『蕎麦打ちと農業やってみたいなぁ…』
亡き夫が生前、笑顔で語っていた夢。

彼はサラリーマンを退職して、第ニの人生を考えていたのだろうか?

夫婦で''あんなこと、こんなことやってみたいね"と色々な妄想が湧き、楽しいひとときを過ごしたことを幾度となく回想した。

例えば、
夫は昼の部で蕎麦打ち、
私は夜の部で8畳一間のおでん屋を営む、
一人っ子の長女には、看板娘になってもらい、オーダーをとってもらう…

だんだん夢物語がエスカレートしていく。

しかし、その夫が50年で逝ってしまうとは予想だにしない出来事だった。

マンションのベランダで夜空を見上げながら、
『あの世で…あなたの夢は叶えられたかな?』
そう呟やきながら、ホロリと一粒の涙が頬を伝う。

まだ夢よ、醒めないで。

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