JAPAN VINTAGE YAMAHA FG252

YAMAHA FG252ってギターがあります。
1970年代後半に出回った 所謂「オレンジラベル」って云われるアコギなんだけど、
1970年代前半までの 有名な あの「赤ラベル」が数万円から十万円で扱われるのに比べると、
「オレンジラベル」は 中古市場では9000円以下と云う、安い値段で入手できます。

「赤ラベル」は 例えば 竹原ピストルさんが ライヴステージで 必ず使用されていて、
汗だくになりながら、ふりしぼった声で 鳴らすと 「激鳴り」して、迫力ある歌唱力を さらに
激しく ドーパミン分泌作用を刺激して たまらない、名器といいますか、
わたしは 嫌いではありません。
では、「オレンジラベル」というアコギは、そこまで行かない なり損ないなのでしょうか?
と云うことなんですが、
現在の 引き籠もりアコギ中古市場を刺激して 大変申し訳ありませんが、
FG252こそ 隠れた 名器だと申し上げて良いでしょう。
各方面からの反論を覚悟で申し上げれば、
FG252こそが 現在の LL、LS、LJなどのLシリーズの
原点となったのではないかと考えるからです。

先ず 「鳴る」「鳴る」と云いますが、ドレッドノート型で 鳴らなきゃ 大きな面して
「鳴んねぇのかよ!」っていう罵声があっても、普通のことで、珍しくもありません。
「赤ラベル」は当然に「鳴る」のです。しかも、オール合板、ベニア、表現が悪ければ ラミネート板で
製作されているのにも関わらず「激鳴り」するんです。これは 当時 乾いた板を特殊な膠(ニカワ)で?
丁寧に接着した板が 半世紀を経て、経年変化とともに まるで オール単板のような 「激鳴り」を
実現しており、Gibsonよりバランスが良いクリアな音が出るぞぉ〜❗と云う評価が
中古市場での高評価となっているのでありましょう。
これには わたしも大いに興味深く思います。

「オレンジラベル」のFG252も実は 表板も裏側板(裏板のみ3pベニア)は
同様の製作過程なのでありますが、
ボディーシェイプが オーディトリアム、Martinで云えばOOOタイプなんで小柄なワケです。
「赤ラベル」のドレッドノートタイプに 比べますと箱体の体積が小さいですから、当然に
「音が小せぇじゃないかよ!」ってことになるわけです。

はい。皆さん、演奏や伴奏は 音の大きい小さいで決まるのではありません。
例えば「赤ラベル」は ピックを使用してジャカジャカ鳴らすタイプの伴奏では 大変 都合が良いのですが、
指弾きアルペジオや FingerPicking奏法では チト 困るのです。弾きづらいし、抑揚を出しにくい、
例えば 1970年代前半の日本のフォークシーンの100曲と 70年代後半のフォークシーンの100曲を
想像してみますと、FingerPicking奏法が要求される伴奏が圧倒的に増えて来ています。
音の「鳴り」ばかりではなく 弾きやすさや 取り回しの良さ を考慮せざるを得なくなったと云うところでしょうか。

「赤ラベル」も「オレンジラベル」も半世紀も経てば、「オリジナルペグでは どうにもなんねぇ」って問題が
ありますが、グローバー製のものに比較的安価に替えれば、チューニングは合います。
何よりも、棹が 丈夫なものを よく選定されて使われており、指板やブリッジの造りも丁寧です。
トラスロッドは 柄杓型の特殊なレンチが必要ですが、半世紀も経って、よく効くし、左右十分な余裕があるのが
不思議なくらいです。

ブレーシングはスキャロップドでなくて、現在のLシリーズのように
板の「鳴り」に任せる比重を大切にしています。

ざっと 触ってみただけでも、現在 3万円や5万円で楽器屋さんに並んでいる新商品に比べると、
当時は 凄いアコギがあったんやね❗って 誰もが思うことでしょう。
2万円かけてペグを付け替えて、3万円かけてフレットを打ち直して、ついでに弦高を
12フレット6弦をジャスト2mmくらいにすれば、そうですねぇ、ライヴステージでも使用できると思います。
Mayton並みとまでは 行きませんが、10万円クラスのK.YAIRIやHEADWAY並みにはなると思います。

わたしは FG252を
来年か再来年には ステージで使用するつもりです。
「鉄弦」という音色のイメージがありますが、
PUを工夫してみては いかがでしょうか?
マグネットや 圧着素子も使い方次第だと思います。

いずれにしても、
当時のモノづくり現場って云うのは 丁寧で
数段 進んでいたのですねぇ・・・
撫でるように弾いて 楽しんでいます。

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