抗インフルエンザウイルス薬「アビガン(ファビピラビル)」とは
新型コロナウイルスの感染拡大を受け,加藤厚労大臣は2月22日に抗インフルエンザウイルス薬「アビガン(一般名:ファビピラビル」を患者に投与したことを明らかにしました。
一躍注目を集めるようになったアビガンとはいったいどういう薬なのでしょうか。今回は話題のアビガンについて,簡単にまとめてみたいと思います。
アビガンとは
アビガン(ファビピラビル)とは新型インフルエンザなどのパンデミックインフルエンザに対する薬剤です。富士フイルムグループの富山化学工業株式会社が製造・販売しています。
新型インフルエンザの大流行に備えて政府が備蓄しているもので,国の判断で投与可能になるものです。ですから,もちろん市販はされていませんし,一般の病院に置いてあるものでもありません。新型コロナウイルスに感染した患者さんに投与するのであれば,国としては追加で新型インフルエンザ対策用の備蓄量を確保する必要があるでしょう。
投薬の際に注意すべきこと
どんな薬もそうですが,この薬も万能というわけではなく,注意すべき点があります。それは催奇形性があるということです。催奇形性があるとはつまり「妊娠中の女性が薬物を服用したときに胎児に奇形が起こる危険性がある」ということです。そのため,妊婦への投薬は原則として禁止されています。
また,これは精液中へ移行の可能性有となっていますので,妊娠の可能性のある女性や男性患者は,投与期間中及び投与後7日間はその危険性を考慮した対策を実施する必要があるようです。
おそらく,この薬が投与されるのはそうした可能性が低い,高齢者が中心となるのだと思われます。
服用量
アビガンは1錠200mgで服用量は以下の通りです。
1日目:1回1600mg(8錠)を1日2回
2~5日目:1回600mg(3錠)を1日2回
投与継続期間は5日間ということですね。
まとめ
今回は一躍注目を集めるようになったアビガンについて簡単にまとめてみました。まだ新型コロナウイルスに関しては情報が少なく,なかなか全容が見えてきませんが、私たちは闇雲に恐れるのではなく,正しく恐れる必要があります。適切な知識を得て冷静に対処していきたいですね。
関連記事
「エアロゾル感染(エーロゾル感染)と飛沫感染・空気感染との違い」についてはこちらの記事をご覧ください。
中国政府が公式発表した感染経路,「エアロゾル感染(エーロゾル感染)とは何か」についてはこちらの記事をご覧ください。
新型コロナ治療の有望薬「レムデシビル」についてはこちらの記事をご覧ください。
厚生省が2月25日に発表した「新型コロナ対策基本方針」の内容を簡単にまとめた記事はこちらからどうぞ。