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インフォ・ラウンジ×Eukarya交流勉強会レポート

概要

2024年7月24日、恵比寿のEukaryaオフィスにて、インフォ・ラウンジ株式会社さんとEukaryaによる技術交流会が行われました。
(本交流会は大変光栄なことに、インフォ・ラウンジさんからご提案をいただきました!ありがとうございます)

EukaryaからはCTO井上をはじめとしたエンジニア・GISエンジニアの3名、インフォ・ラウンジ株式会社さんからは4名のメンバーが参加くださり、計7名での会となりました。

この技術交流会の主な目的は、GIS・WebGISについてや、タンジブルインターフェイス・オープンデータやその活用、といった相互の専門分野における技術潮流や展望について意見交換を行い、お互いに知見を深めることです。

企業間コミュニケーションに不慣れで人見知りがちなEukaryaメンバーは、地味に大変緊張しながら当日を迎えました。

会議内容

GISやWebGISに関する説明

お互いの自己紹介もそこそこに、まずはEukaryaから、GIS全体の課題やWebの潮流、各プロダクトにおける技術的なアプローチについてプレゼンテーションさせていただきました。

プレゼンテーションでは、以下のような項目が取り上げられました。

  • GIS全体の課題

  • Webの潮流

  • 各プロダクトにおける技術的なアプローチ

  • Re:Earthエコシステムについて

  • Re:Earth Visualizer(可視化)について

  • Plugin systemについて

  • Re:Earth Core / New Layer Systemについて

  • PLATEAU VIEWについて

  • Re:Earth CMSについて

  • Re:Earth Flowについて

  • Map Engineについて

例えば、PLATEAU VIEWのパートでは、Re:Earth上で動作するPLATEAU VIEWを、ゲームでも使われている3DCG技術を用いて、視覚的にも美しく見えるように工夫していることなどを紹介させていただきました。

質疑応答タイム(一部抜粋)

インフォ・ラウンジ加川さん:
プレゼンテーション内、PLATEAU VIEWの紹介時に「ゲームっぽいような表現」とも述べていたが、PLATEAU VIEW3.0における工夫点を、より具体的に知りたい。

Eukarya井上:
たとえば影の描画。機械的に一色ベタの影ではなく、影の中に別の建物があるとその部分が濃くなっていたりと工夫がある。
これはCesiumにも実装されていたが、あまりよくないので自分で書き直した部分。また、タイルの色によって建物の色を変えている。
PLATEAU VIEW3.0では太陽光シミュレーションもできるが、これは天体モデルを使っているので実際の太陽と一致するなど、他にも工夫が複数ある。

インフォ・ラウンジ加川さん:
なるほど、実装が大変そう…。

技術の話になると時間を忘れてしまう井上は、なんだかんだ当初の予定を大幅にオーバーし、1時間半ほど話してしまいました。
しかしインフォ・ラウンジの皆さまが真剣に熱意を持って聞いてくださり、とてもありがたかったです。

タンジブルデバイスおよびWebGISとの連携活用例

次に、インフォ・ラウンジの皆様がこれまでの取り組み・案件等についてや、タンジブルデバイスやそのWeb・WebGISの連携活用例についてご紹介くださいました。

プレゼンテーションの中では、主な取り組みとして以下が挙げられました:

  • 全国の美術館を横断検索できるサイトの作成

  • Meta Bathというサービスによる3D Tilesを用いた銭湯の表示

  • 神奈川県のオープンデータカタログサイトの作成

  • PLATEAUのユースケース開発

  • タンジブルユニットとWeb/VR連携の実装

例えば、「タンジブルユニットとWeb/VR連携の実装」についてのパートでは、住民が将来の街の姿をよりリアルにイメージできるよう、市民・専門家・行政の間のコミュニケーションを促進するためのツールの開発が紹介されました。

このツールはワークショップで使用されており、テーブル上で模型を動かすと、その動きがデジタル上でもリアルタイムで反映される仕組みです。

タンジブルユニットにはラズベリーパイ(Raspberry Pi)が内蔵されており、模型の位置情報を取得してクラウドに送信し、APIを通じてUnityでその情報を受け取ります。このプロセスについて、デモ動画を交えながら詳しく解説していただきました。

また、インフォ・ラウンジのメンバーからは、ラズパイを用いた3Dモデルの高速化処理や、サーバサイドでのレンダリングデータを用いた高速化の可能性等についても紹介をいただき、活発な議論が行われました。
https://www.mlit.go.jp/plateau/use-case/uc23-09/

意見交換タイム

最後に、一時間程度の意見交換が行われました。
主な議題は以下の通りです。

  • リンクトデータを用いたデータの共有と保存

  • PLATEAUのXMLデータの柔軟性と連携

GIS畑ではリンクトデータに馴染みが薄い方も多いので説明しますと、リンクトデータとはWebの標準技術でデータを公開・共有するための方法です。

リソースの識別子にはIRIを採用していて、データとデータをリンクすることができます。また、データはRDFによって構造化されています。

ニューヨークの音楽ホールやアメリカの美術館、イギリスの博物館でもリンクトデータが使われています。自分たちのデータと他者のデータを繋いだ、分散協調型でデータを共有しています。

Project PLATEAUのデータと、防災など別のデータを繋ぐ際に、Project PLATEAUのCityGMLに防災のデータを書き込むのではなく、リンクトデータの形で繋いでおくと良いのではないか?といったアイデアがあがりました。

実はEukaryaでは、(あまり表に出してはいないのですが)APLLODB(アポロディービー)という、データベースに関する研究開発も行っています。

APLLODBでは、統一的なスキーマを持つのではなく、スキーマを柔軟に変更できる仕組みになっています。

このため、特にリンクトデータやPLATEAUデータと他のデータを用いて掛け合わせるような将来的展望についてなど、大変白熱した議論や展開案が飛び交い、話がとても盛り上がっていました。

まとめ

今回の会議は、GIS技術やWeb上のタンジブルインターフェイス、データベースなども含めた最新の取り組みについて深く理解する良い機会となりました。

さらには、リンクトオープンデータやCityGMLの拡張性 、今後の展開や掛け合わせによる可能性についてなど、思いもよらない方向へも話が転がって広がる、大変実りの多い時間となりました。

Eukaryaでは今後もこのような技術交流会を通じて、さまざまな企業・分野の皆様とのさらなる連携や発展を目指していく予定です。

もし、Eukaryaの技術にご興味がある企業さんいらっしゃいましたら、相互に勉強できる機会を求めております。

ご希望の方は、FOSS4G等のイベントで是非Eukaryaメンバーにお声がけください!

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