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デジタルアーカイブ学会 第9回研究大会 参加レポート
2024年11月1日~2日、東京大学本郷キャンパスで開催されたデジタルアーカイブ学会 第9回研究大会に、私たちEukaryaも参加しました。
この記事では、そこで得た知見やイベント全体について共有します。
デジタルアーカイブ学会 第9回研究大会とは
概要
デジタルアーカイブ学会の研究大会では、デジタル技術を活用したアーカイブに関する研究発表や議論が行なわれます。
また、最新の研究成果の発表や実践事例の共有、パネルディスカッション、あるいは企業による関連技術製品紹介などが行われる場でもあります。
第9回となる今年の研究大会は、11月1日から2日の2日間、東京大学本郷キャンパスにて開催されました。
1日目にはオープニングアクト・学会賞授与式や企業によるプロダクトレビュー、2日目には 一般発表・企画セッションや企業ブースでの展示が行われました。
参考:デジタルアーカイブ学会 第9回研究大会
Eukaryaは、1日目のプロダクトレビューと2日目の企業ブース展示に参加し、Re:Earthについて多くの方にお伝えする機会をいただきました。
1日目 プロダクトレビュー
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初日は、東京大学本郷キャンパスの福武ホールで開催されたプロダクトレビューに参加しました。
現地参加者の皆さまに向け「記録を未来に伝えるための地理空間情報データの活用 アカデミア発スタートアップの取り組み」と題して、3分間のライトニング発表を行いました。
短い時間でしたが、Re:Earthの紹介として以下のポイントを中心にご紹介しました。
社会問題やその記憶・記録の喪失と拡散という課題へ、データ活用という形で向き合うことの重要性
データベース設計・可視化・システム構築や運用の専門家でなくても、デジタルアーカイブ作成や〜公開ができる地理空間情報プラットフォームツールであること
オープンソースソフトウェア(OSS)であること
さらに、当日の発表でも多く触れられていた「小さなアーカイブ」や「多様なアーカイブ」の議論とも絡め、Re:Earthがこうしたニーズにも貢献できることをお話ししました。
2日目 企業ブース
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会場の様子
2日目は会場を法科大学院総合教育棟に移し、企業ブース展示を行いました。
会場全体は活気にあふれ、他の企業さんによる3Dスキャンツールの紹介書籍販売、さらには東京大学大学院 渡邊英徳研究室によるリキッドギャラクシーを使ったヒロシマアーカイブ関連の展示なども行われ、非常に充実した雰囲気でした。
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Eukaryaの展示ブースへは、Re:Earthに関心を持つ研究者、教育関係者、データ可視化の企業組織や自治体関連の方々など、幅広い方々にお越しいただきました。
ブースでは、Re:Earthの機能に関する質問だけでなく、プロダクトの理念や組織の方向性、さらにデジタルアーカイブ全体の課題についても活発な議論が行われました。
地域やNPO、研究グループが「小さなアーカイブ」からスタートし、それを大きな成果へと繋げようとする強い意志とエネルギーを感じる場面が多くありました。
また、手作業で収集したデータだけでなく、統計データやオープンデータを組み合わせ、「扱うデータの多様性を広げることで新たな知見を得たい」というニーズが高まっていることも実感しました。
弊社は、こうした取り組みが孤立することなく、社会のデジタル公共財としての価値をさらに高めていけるよう支援することを目指しています。
そのためにプラットフォーム提供企業として、製品開発や研究の方向性を明確にするとともに、コミュニティ支援や情報提供にも力を入れていきます。
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デジタルアーカイブ学会での学びとコミュニティとしての魅力
同時に二日目は、他の教室でも様々な興味深い発表が行われていました。
実は今回の研究大会の二日目では、Eukaryaメンバーの藤野が自身の研究発表を行う機会もありました。
藤野は東京大学大学院学際情報学府の後期博士課程に在籍し、「市民の社会参加とデジタル」をテーマに研究を行っています。
今回の研究大会では、アーカイブされたオープンデータを活用し、市民主体で情報に意味づけを行い、情報共有を通じたコミュニケーションを行なう活動に焦点を当てて研究発表を行なっていました。
大会の抄録は、クリエイティブ・コモンズ [表示 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
また、私自身も展示対応の合間を縫っていくつかの発表を聴講し、興味のあるテーマや専門分野(主に美術や著作権等)に関する新たな知見を得ることができました。
こうした発表を通じて、学術的な視点からも多くの刺激を受ける貴重な時間となりました。
忙しい中でも学びを深められる機会を得られたことに感謝し、今後の活動にも活かしていきたいと思いを新たにしました。
まとめ
今回の参加を通じて、ビジネスと学術・研究の両面で、Re:Earthがどのように活用されるべきか?また私たちがどのように貢献していけるのか?について改めて考える機会を得ました。
Eukaryaは、こうしたアカデミックなイベントにも積極的に参加し、これからもより多くの、様々なバックグラウンドの方々と連携しながら、デジタルアーカイブや、データを使ったより良い社会・文化の形成へ寄与していきたいと考えています。
お越しいただいた皆さま、貴重なお時間をありがとうございました。
引き続き、Re:Earthをよろしくお願いいたします。