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帽子作家になる前に働いた総合帽子メーカーでの思い出

30代になる頃、帽子の新たな知識を学んで製作技術をもっと深めたいと思い、総合帽子メーカーに就職しました。

私の配属先は、取引先や自社から依頼された布帛(ふはく=布)の帽子のサンプル製作(型作り・縫製)をする部署でした。

上司は帽子職人歴50年以上の方と、帽子の縫製工場で縫製のキャリアを磨かれたベテランの方々ばかり。

当時の私はといえば、服飾や帽子の学校を出て、帽子店で数年ほどアルバイトしただけの全くのひよっこです。

おまけに、スピードが速い工業用ミシンを扱うのは初めてという状態。。。

そんな私に、上司はいちから帽子の技術や知識を丁寧に指導してくださいました。

人生の大先輩でもあった上司からは、人生にとって大切なことも教えていただきました。

教えていただいたことは、山ほどありますが、技術がなかなか上達せず仕事が向いてないかもしれないと悩んでいた私に、上司がかけてくれた言葉があります。

「仕事は向いてる向いてないではなく、自分がやろうとするかしないかが大切。」

「仕事は集中して取り組むこと。」

という言葉が当時の私の背中をおしてくれました。
今も思い出すたび身が引き締まります。

帽子の世界は、「縫製をマスターし、型作り(パターン)に入るまでには3年はかかるぞ!」と言われます。

しかし、実際はそれ以上かかりミシンにひたすら向かう日々でした。ですから、型作りにたどり着けたときは、本当にホッとしたものです。


総合帽子メーカーだけあり、様々なジャンルの帽子を取り扱っていたため、私はあらゆる縫製方法やあつかいづらい生地と格闘する経験をしました。

一つの帽子が市場に出るまで妥協せずにトライ&エラーをくり返し、時間も労力も使わなければならないことを身をもって学びました。

中国に自社工場があり、単身で現地に赴き国籍が違う方々と数ヶ月間一緒に働く、そんな貴重な体験もしました。

中国人の同僚は、不安いっぱいの私に「メイグァンシ(大丈夫)」「メイグァンシ(大丈夫)」と何度も声をかけてくれ、大変救われました。

今も、フッと「メイグァンシ」と口にすると、温かい気持ちになります。大好きな言葉です。

こちらの会社には、30代の10年間お世話になりました。沢山の方々に接し、心身共に成長させていただいたことは感謝してもしきれません。

最後までお読みくださりありがとうございました😊


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