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はじめまして!カンフルガールです

となりのトトロで、トトロが住んでいるあの木。
クスノキ(楠)といいます。
娘の名前には「楠」の字が入っています。

クスノキは丈夫で病気に強い木だそうで、葉や樹皮には防虫剤の成分(樟脳)があり、精製されたものはカンフルと呼ばれ、昔からお薬としても使用されたそうです。

妊娠中に娘が病気を持って生まれてくることを知った私たち夫婦は、なんとか元気に育ってほしいという念を名前に込めました。

もうすぐ10歳になる娘は、常時人工呼吸器を装着していて、ご飯は胃ろうから食べています。お口からは食べられません。トイレは自力では無理なので医療的な道具を使って定期的に出してあげなければなりません。立って歩けないので家の中ではハイハイですが人工呼吸器の管の長さは決まっていますので、その半径内でしか動けません。人工呼吸器は喉に開けられた穴に繋がっていて、そこが取れてしまうと結構すぐ命の危険が迫ります。頭には「シャント」という精密機械が入っていて、強い磁石や携帯電話を近づけられません。お話はできますが発音が明瞭ではないので、他の人と会話すると高確率で聞き直されますし、知的にもゆっくりさんなので会話のラリーは続きません。
…と、羅列するとズーンとされちゃうかもしれませんが。


てんこ盛りの医療的ケアを必要としながらも、娘は毎日「あ〜今日も楽しかった!」と言いながら眠りにつきます。母が不調でゴロ寝しているとすかさず近寄ってきて、おててをトントンしながらあやしてくれます(笑)ゆっくりながらも学校では通常の教科書を使ってお勉強しています。ダンスが大好きでYOUTUBEを見ながら激しく踊るのが日課です。最近はピアノ教室に通いはじめ、譜読みやらリズムやらを学ぶように。


ん?人工呼吸器なんだから、寝たきりじゃないの?
ごはん口から食べられないのに?どんな子供なの?
そう思われるかもしれません。

私たちの周りにも、正直、あんまりいません。
最近は「動ける医ケア児」というワードもよくありますが、うちの娘が「動ける」のカテゴリに入るかというと、それもまた違う気がします。歩けないので。


名前に念を込めただけでは、娘が授けられた病気や障害が消えてなくなることはありません。けれど娘はクスノキのようにすくすく成長し、時に私たちのカンフル剤になっています。

こんな子供ですよ


キャパシティの小さい母なので、ここまでは毎日のことをこなすだけで精一杯でした。今も変わりませんが、でも、このあたりで記録を残しておきたいと改めて思うようになりました。出産直後は全てが緊急事態に思えて、目を血走らせて日記を書いていたこともありました。今は「この先、娘を支えてくれる方々が娘のこれまでを知ることのできる資料」または「娘への母子手帳的なもの」といった意味合いの記録を作ってみたいと思っています。公の場所に残す理由はここにあります。娘のケアをしてくれる方だけでなく、娘に関わってくれる方々、応援してくれる方々がこの記録にアクセスしてもらえるように。10年前の自分と同じような境遇にいる方にも、届くことがあればいいなとも思ったり。   

文章を書くこと自体、一体何年振りなんだろうか。誤字脱字、配慮に欠けた表現をしないように心がけていきたいものです。小心者のくせに少々皮肉っぽさがある書き手のためこれまでSNS避けてきました。この度、なんとかやる気や大義がそれを上回ったのでできるところまでやってみようと思います。

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