オシロスコープ比較検討(10万円以下編)
前回の記事でオシロスコープ選定の基準について調べました。
今回はそれを踏まえて実際に機種を比較検討したものの備忘録です。
オシロスコープの価格帯について
少し調べるとわかるのですが、オシロスコープはめちゃくちゃ価格レンジの広い製品です。
安いものは数千円から高いものは数千万?(もっとかもしれない)という世界です。
ここではベンチトップ型(机の上に設置して使うもの)を前提に、いくつかの機種を比較した結果見えてきた価格レンジごとのクラスについて個人の見解を書いていきます。
2万~10万
中華格安オシロがたくさんあります。Tektronix TBS1052Cのようにブランド物の一番安いモデルもギリギリ存在します。一般的に趣味には十分だと言われるようです。
10万~50万円
中華メーカーのミッドレンジ機種があります。ブランド物のエントリー~ミドルクラスくらいのスペックのものを中華メーカーが出してます。
50万~100万円
50万くらいでやっとブランド物のエントリーモデルに手が届きます。でも有名メーカーはプローブやオプションもそれぞれ高いので何か足すとどんどん嵩みます。
70万くらいからは有名メーカーの主力商品にも手が届きはじめます。
業務にメインで使う場合は最低限この辺りだと思われます。
それ以上
今回は調べてないですが、例えばチャンネル数が8欲しいとか、周波数帯域が1GHz欲しいとかそういうハイミドルクラスを選ぶと平気で数百万になるようです。
中華メーカーについて
オシロスコープには古くから計測器を販売している有名メーカーがいくつかあり、そういうメーカーのそこそこちゃんとしたオシロスコープは前述の通り最低でも50万くらいの価格帯のようです。
そこに近年台頭してきたのが中華メーカーです。Rigol, Siglent, OWON等が有名です。
中華メーカーのオシロスコープを見てみると、カタログスペックで比べれば老舗メーカー品の半額やそれ以下というコストパフォーマンスの良さが売りになります。
Rigolは元々Agilent(現Keysight)のOEM元、SiglentはTeledyne LeCroyのOEM元&最近では共同開発も行っているようです。
10万円以下の機種の比較と選定
まず条件を決めます。
チャンネル数を2chにすれば安くあがるのですが、4chくらいは確認したいことがある可能性が高いので4chで探すことにしました。
そうすると老舗メーカーの最安シリーズは既に予算オーバーになりますが、ブランドの最安シリーズはコスパが悪いことが多いのは経験上思い当たる節が多いためここでは中華メーカーで良さげな格安機種を選定することにしました。
オシロスコープに限ったことではないのですが、こういうガジェット類は低予算であればあるほど中華メーカーのコスパがいいイメージがあります。
ここではそこそこ有名な3つの中華メーカーからエントリーモデルのオシロスコープを5つ挙げてスペックの比較表を作ってみました。
思ったよりスペックに差がありますね。
RIGOL DS1054Z
RIGOL DS1054Zは名機と名高い「迷ったらこれ!」という機種です。最安モデルは50MHzですが、ごにょごにょすると100MHzまでロック解除できるという噂……。もちろんやっちゃだめです。
DS1000Zシリーズの特徴はメモリ長の大きさのようですね。
メモリ長が長いと一度に長時間の波形を取り込むことができるので後から分析しやすそうです。1chで1GS/sでサンプリングした場合24msまで連続して記録できるという計算です。
Siglent SDS1104X-E
Siglent SDS1000X-EシリーズはTeledyne LeCroyのエントリーモデル「T3DSO1000シリーズ」と中身まで同じだというレビューがありました。
Siglentを調べたところ最近はTeledyne LeCroyのミドルクラス機種も共同開発をしているそうで、技術力はかなり評価されているようです。
SiglentとTeledyne LeCroyのオシロスコープラインナップを見比べてみると面白いほど同じ形のものが確認できます。
SDS1104X-EもRIGOLと同じく、ごにょごにょするとシリーズ最上位モデルの200MHzまでアンロックできるという噂。もちろんやっちゃダメです。
この機種は前回の記事に書いた通り、4chでも500MS/sのサンプリングレートを維持できるのが強いですね。
あとEthernetポートがありLANに接続すればブラウザからアクセスできるというのもとてもメリットだと思います。
また通常でも取り込みレートが100,000wfm/sである上、シーケンスモードを使えば400,000wfm/sまで高速取り込みできるようです。
ネックは価格とメモリ長の短さでしょうか。
OWON SDS1104
前述のSiglent機種と型番がほぼ同じでびっくりしました。他に比べて圧倒的に安いです。
ただしRIGOL, Siglentと違い、有名メーカーのOEMはおこなっていないようです。OEMを任されているというのは信頼性の証拠みたいなところもあると思うのでちょっと勇気がいりますね。
カタログスペック上はRIGOL DS1104Zと酷似してますが、詳しいスペックシートが見つかりませんでした。
結論
製品開発に使うということと予算には少し余裕があったため、仕様を調べた時点でOWONは候補から外れました。
RigolとSiglentについては、Rigolはフロントパネルのノイズが気になるという意見が多かったです。その点SiglentはRigolに比べて低ノイズという意見も見られました。
その辺りとスペック上の強みを考慮して、買うならSiglent SDS1104X-Eかなというのが個人的な結論でした。
とは思ったものの
レビューを探っていてどうしても気になるのが「趣味の電子工作には十分」という意見でした。
これは日頃ガジェット好きとしていろいろな中華ガジェットを漁っているオタクとしての所感ですが、新興中華メーカーは比較されやすいカタログスペックを盛る傾向にあります。
もちろんスペックが嘘だというわけではなく(嘘のこともありますが…)、数値としては正しいものの、それ以外の表に出てこない部分に不便さ・微妙なクオリティの違いを感じることが非常に多いという印象です。
例えばソフトウェア上の設計だったり、知らないうちに壊れていたり。。。
それを踏まえたうえで「コスパが良い」のは紛れもない事実なので普段は喜んで中華製品を買っているものの、今回は僕自身初めてのオシロスコープだというのが引っかかっていました。
中華製品のコスパの良さって「わかってる人が割り切って使う」からコスパが良いのであって素人が最初に手を出すと痛い目を見ることが多々あるからです。
そこで今回はもう少し予算を確保してそこそこちゃんとした機種を選ぶことにしました。
というわけで今のターゲットは50万から80万円程度のエントリー~ミドルクラス機種です。
このレベルになると代理店に見積もりをお願いしないと価格もわからないです。
現在検討中。オススメ機種があればご提案お待ちしております。
次回、オシロスコープ選定(100万以下編)おたのしみに。
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