オシロスコープ比較検討(100万円以下編)
前回の記事まででオシロスコープ選考に当たってのスペックの読み方と10万円以下だとどの機種がよさそうかという点について書きました。
今回はそれを踏まえてもう少し高額な機種で比較してみます。
比較する機種の価格レンジ
10万~50万あたりの定番機種について
前回は10万以下でしたが今回は主に50万~100万円程度の機種を比較しようと思います。
じゃあ10万から50万あたりのレンジはどうなのかと言うと、主に中華メーカーのミドルクラス機種が位置しており、有名メーカーのエントリーモデルには少し手が届かない予算です。
例えばこの価格帯の定番と言えば、RIGOLはMSO5000シリーズ、SiglentだとSDS2000X Plusシリーズ辺りが挙げられるようです。
これらの機種はカタログスペック上かなり魅力的な上、好意的なレビューが比較的多く観測されました。また細かな不満点も散見されました。
細かな不満点が多く観測される場合、ぱっと見は評判が悪いように感じますが、「その分野に詳しい人が検討の結果導入しており、他に使用したことがある有名メーカーの製品と比べて不満を述べている」場合が多く、個人的にはある程度好意的な印象に繋がることも多いです。
本当に悪い製品は良くも悪くも話題にならないためです。
プローブの重要性
ところでこの辺りまで調べたあたりでオシロスコープ選定の上で大事なのが本体のスペックだけでないことに気が付きました。
そう、実際の観測対象と本体を繋ぐプローブです。
調べてみると有名メーカーのプローブは数万から数十万かかるアクセサリであることがわかりました。
また種類も非常に多くのラインナップがあります。
プローブによって周波数特性や信号の種類が違い、ちゃんと計測するには適切なプローブを選択して使い分ける必要があるようです。
このプローブの品質が計測結果に大きな影響を与えることになるのは想像に難くありません。
Rigol MSO5000シリーズ対応プローブは18製品ほど見つかりマニュアルも存在していましたが、Siglentの方はあまり専用プローブの情報が見つかりませんでした。
わかってる人にはコスパの高い製品群
この辺りから10万~50万あたりの中華製オシロスコープは、「わかってる人にはコスパの高い製品群」であろうことが想像できました。
そこで今回の場合は有名メーカーのエントリー機種以上を選定の対象とすることにしました。
100万以下の機種の比較と検討
Tektronix、Rohde & Schwarz、Teledyne LeCroy、YOKOGAWAの製品群から予算に合った機種を6つほどピックアップして比較しました。
こうして比べてみるとやはりメーカーごとに結構差がありおもしろいです。特にメニューのUI等、細かな使い勝手についてはかなり差があり、ユーザーによって「○○派」というのが結構分かれるようです。改めてカメラと似ていますね。
とりあえず見積もりをとる
さて、これらの機種は大体どれも代理店経由で購入することになります。
付き合いのある代理店がある場合はそこに見積もり等を聞いてしまえばいいですが、僕にはそれがないのでネットで見積もり請求をすることにしました。
大体どのメーカーも機種のページに「見積もりのご相談」みたいなボタンがあり、そこから代理店の問い合わせフォームに飛んで見積もり請求をするという感じでした。
なおRohde & Schwarz公式ページに記載のある取り扱い代理店に片っ端からRTM3004の見積もり請求をしたところ、複数の代理店から「既に他の業者で見積もり請求をしているためR&S Japanから辞退を求められた」との回答があったため、少なくともRohde & Schwarzの製品については事前に代理店の目星をつけてからピンポイントに見積もり請求をした方が良いです。
更に現在半導体不足&円安のダブルパンチで毎月のように価格改定が行われる&納期が4か月とかが普通の世界になっています。そういう意味でも事前のネットの情報は全く当てにならないです。
デモ機をレンタルする
この価格帯のオシロスコープは事前にデモ機で操作感を確かめてから購入するのが普通らしく、たいていどの機種も代理店&メーカーに連絡するとデモ機を借りることができます。期間は1週間から2週間というのが多かったです。
デモ機の台数には限りがあるようで自分の好きな時期に借りられるわけではありませんが、購入前に実際の使用感を確かめられるのは大事です。
ただしこのデモ機は一般的に使い勝手を確認するためであり、校正を頻繁に行っているわけではないため、測定した値はあくまでも参考値というくらいの認識だそうです。
僕はとりあえずYOKOGAWA DLM3054とTektronix MSO 2シリーズのデモを申し込んでいます。
使って比べるのが楽しみです。