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【読書】会社組織とは/「経営の神」から

世の中には大小さまざまな企業・会社が存在するが、会社経営という切り口から大きく4つの会社組織・文化に分類できるらしい。自分が好むマネージメント体制と勤める会社のそれが一致していないとミスマッチをおこし、ストレスなどにつながる。チャールズ・ハンディによる組織管理の名著。

要約

  • マネジメントと組織論の古典で名著。4つの会社組織・文化カテゴリーを提唱。ゼウス型(例:社長ワンマン型)、アポロ型(各人が組織の歯車化する)、アテネ型(例:コンサル会社)、ディオニソス型(例:医者とか完全独立型)。

  • 各々の組織文化に長短あり。大きな組織ほどアポロ型。ゼウス型やアテネ型で始まっても規模が拡大するとアポロ型へ移行。

  • どの組織に合うかは人次第で、私はアポロ型。以前ゼウス型&アテネ型の組織で仕事したが、はだ感合わず転職。




1.本の紹介

会社人事研修の講師から紹介された本で、タイトルは「Gods of management The changing work of organisations」(1978刊行)。邦訳は見当たらない。

著者は、組織論やマネジメントの分野で著名なアイルランド人作家で長年にわたりロンドン・ビジネス・スクールにて教壇にたってきたチャールズ・ハンディ/Charles Handy (1932-)。

チャールズ・ハンディ
チャールズ・ハンディ(出典: Diamond online)

You Tubeで見つけたマネジメント・コースで簡易説明あり。

2.本の概要

マネジメント&組織文化を下記4種類に分類、各々の特徴をギリシャ神話に登場する主要な神々に類推:

  • クラブ(ゼウス)型組織文化 :ギリシャ神話のゼウスのような、カリスマ性を持ったリーダーと共感を覚える人々から成り立つクラブ/サークル的な組織。同じ考えを持った集団で、スピード感ある決断が可能な反面、なんら手順を踏まないためその意志決定の質にばらつきや不確実性・不安定性が出る。中央集権的(例:スタートアップ、投資会社、政治団体等)。

  • ロール(アポロ)型組織文化 :人員を合理的かつ論理的な思考を持つと想定し、各々に決まった役割を与える。個人は組織全体の歯車となり、各々が定められた細分化された職務を遂行することで、組織全体として安定と予測可能性を作り出す。中央集権的かつ組織としての制度化度合いが高い(例: 政府組織、大会社)。

  • タスク(アテネ)型組織文化:プロセスなどではなく問題を解決することに注力し、組織としての戦略を立てる。年齢や勤務年よりもやる気と共同作業を貴ぶ文化。実力主義/メリトクラティック(例: コンサル会社)

  • ディオニソス型組織文化:スペシャリストたちが各々独立活動に従事、マネージメントはあくまでサポート(例:医者、弁護士)

チャールズ・ハンディ―によるマネージメントの4つの類型
チャールズ・ハンディ―によるマネージメントの4つの類型(出典:Management Pocketbooks

各人、自分にあったマネジメントスタイルがある。アポロ型のように、自分の組織内での役割が決まっており、プロセスにしたがって意志決定を含む業務を遂行していくスタイルを好む者が、ゼウス型の組織に放り込まれると、ミスマッチをおこし、フラストレーションをためることになる。

組織というものは元来、成長し拡大することが自己目的化されている。巨大化するにしたがって、製品やサービスの品質担保、そのための決まったprocedure、組織としての一貫性などが必要になり、ロール型文化(アポロ型)に移行せざるをえなくなる傾向にある。しかし、アポロ型ならではの弊害も存在し、それをどう乗り越えるかが詳しく語られている。

例えば、社員の歯車化/非人間化が例として挙げられている。組織が巨大化するに従い、組織構成や社内プロセスが複雑化、個々のタスクが専門化していく。すると、組織としてのゴールや意志決定が個人レベルには見えづらくなる。組織ロジックより個人的な思いや感情に重きをおく西洋文化で育った者には、抵抗を覚える。

まだまだ話は続くが、今回は割愛。

3.感想

①わが社=アポロ型

私の勤め先は間違いなくアポロ型、ヒエラルキーが明確化され各部署がRole expectationを持つ。各々がそれを全うすることで、開発プランに安定と予測可能性を与えている。

しかし著者も言っていた通り、部署間にまたがるイシューが勃発したときの対応が難しい。結局はCross functionalなタスクフォース(専門家+リードのアテネ型)を立ち上げて、各部署持ち寄りで乗り切るしかないが、それを発足するにも一苦労。こんなことで将来乗り切れるのか不安になる。

②居心地の悪かった国際機関=ゼウス×アテネ型

この本を読んですぐに頭のなかに浮かんできたのは、とりわけ居心地の悪かった以前の職場。それは、パリにある国際機関、世界中から厳しい競争を勝ち抜いた優秀な人が働きにやってくる職場。

私もそもそも純ジャパで日本の組織で学業や仕事をしてきた人間。ひょんなことで2012年から海外で仕事はしているが、これも日系企業の海外拠点。しかし一時期、上述の国際機関に受かり、国際公務員として2年間ほど仕事をしていた(私の国際機関勤務の経緯は下記)。

日系企業では、自分が与えられた役割を全うすることが尊ばれるが、国際機関では全く違う。各々のテリトリーはあまり明確に区切られておらず、やりたい人が手を上げてやる、やりたくない人には仕事は回ってこない、仕事がない人は無能、結果来季の契約はなし、というまさにアテネ型の世界。中には能力や専門知識もないのにあるふりして上に上がっていく人も多々。

更にはゼウスのような神格化されたワンマンな人もいたり。彼の考えに共感出来ない人はどんどんきえていく。日本人の私にとってはまさにカオスだったが、この本を読むとそういう組織文化もあるんだなということがわかった。

そういう意味では、元々アポロ型マネージメントが正解と思い込んでいた私、アポロ型視点が各社のマネージメントスタイルの私の判断基準になりがちだった。この本を読むといろんなマネージメントスタイルがあり、それぞれが正解なのだと改めて気づかされる。

最後の一言

会社には色んなマネジメントスタイルがあることがわかる名著。転職など考えている人にはおすすめかも。

本記事は、あくまで私がポイントだなと思った部分のみ書き出しまとめているだけです。この概要記事がきっかけとなり、この本に興味を持っていただけたら幸いに思います。


併せて、他の記事もご覧いただけたら幸いに思います。


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