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【読書】コーチング力=聞く力
アラフォーになりそれなりの職に着くとぶち当たるのが、人を使って仕事をすること。相手によっては指示ではなくcoachingが役立つ。そのcoachingのテクニックが詰まった一冊。
要約
Guiding questions 等のテクニックを駆使する通常のコーチング手法と異なり、いかに相手に考えさせるかを重視。
Thinking Environmentを作り出す10個のテクニックを提示。特に重要なのが、相手に対して100%以上のattentionを与えること。
チーム・マネジメント等ビジネス上ではあるが、日常生活で良好な人間関係を築く上ために有効なツールとなりうる。
1.本の紹介
ビジネス・コンサルタントのナンシー・クライン(Nancy Kline, 米国人)によるコーチング指南書で、本のタイトルは「Time to Think - listening to ignite the human mind」(1999年刊行)。
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著者はコンサル会社を経営しており、本書のテーマであるThinking Environementの重要性を教えている。
2.本の概要
本書はいわゆるcoachingの指南書の一つ。キャリアや人間関係などで人々が抱える問題の解決をサポートするのが通常のCoachingだが、手法は様々ある。本書が他の本と違うのは、その特殊なcoaching手法にある。
Coachingで大事なのは、coachが対象者を導いてあげることではなく、むしろ対象者が自分で問題発見をし、自分でその解決策を考え導き出すこと。そのためには、相手に考えさせる環境「thinking environment」を作り出す事が重要。そのためにcoachすべきことは下記10点あるという(一部意訳):
全力で相手の話を聞くこと/full attention
既存のバイアス/limiting assumptionを取り除くための質問/incisive questionsを投げる (what if …, what would you do? question)
対象者達を平等に扱う
批判vs評価=1vs5
リラックスさせる/ease
応援する
感情面のケア(怒りや悲しみなど、思考の邪魔となる感情を処理)
適切で正しい情報を提供
場所を選ぶ
Diversity 担保
以上10点をしっかり担保することで、対象者が自分で思考できる環境を創出できるとのこと。より具体的な手法と例が本書に記載されているが割愛。
以下は心に響いたパラグラフ。
The quality of a person's attention determines the quality of other people's thinking.
3.感想
著者と今はなき彼女の母親との一連のやり取りから始まる本書。また、ポッドキャストでは、著者が若いときにガンで余命宣告された際、父親と散歩にいったこと、その際の心暖まるストーリーが語られている。本書が提示する「thinking environment」というコンセプトは、両親との実体験に基づくモデル。
仕事場では、ここ最近、年次的に同僚のサポートする機会が増えているが、ついつい自分の正解を相手に押し付けてしまいがち。なので本書の教えを念頭におくようにしている。先に私が仕事のやり方を決め押し付けるのではなく、まずは先方にどうすべきか考えさせる、ということを意識的にやるようにと。
最後に一言
人生指南書の一つで、徹底して話し相手にgive full attentionというメッセージは、仕事だけでなくあらゆる人間関係に共通する原則。一読の価値あり。
本記事は、あくまで私がポイントだなと思った部分のみ書き出しまとめているだけです。この概要記事がきっかけとなり、この本に興味を持っていただけたら幸いに思います。
併せて、他の記事もご覧いただけたら幸いに思います。