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進捗のご報告

旧三省堂書店本社ビル

■ごあいさつ

大勢のお客様に見守っていただきながら神保町本店の閉店セレモニーを行わせていただいたのは、2022年のゴールデンウィーク最終日の夜でございました。緊張して震える声を絞り出しながら「この場所に全く新しい神保町本店を誕生させます!」と宣言してシャッターを下ろした、あの光景は今もつい先日のことのように覚えています。それから早くも2年の月日が経ちました。41年間、多くのお客様に支えられた神保町本店ビルは見事に解体され、彼の地で見晴らしの良い空間となっておりますが、再び上へ背伸びをする準備を着々と進めております。神保町本店は隣の小川町に居を移し、そちらでの営業がすっかり定着しておりますが、並行して新本店の未来の姿も描き続けておりました。この度は神保町本店の復活をお待ち頂いているお客様へ、計画の一部をご披露させていただく場を設けました。新しい神保町本店の姿を想像しながら、未来の本との出会いに期待を膨らませていただきたく、何回かに分けてリニューアル計画の内容をお伝えしてまいります。


2022.5.8 一時閉店のご挨拶

■リニューアルの目的と概要

今回のリニューアルは、単なる建物の改築に留まらず、お客様や周辺地域の皆さまへ新しい書店の魅力をご提供することを目的としています。急激な時代の変化に適応し、書店も新たな役割を探してゆかねばなりません。新しい神保町本店は、本との出会いを楽しむだけでなく、文化交流の場としてもご利用いただけるようなスペースを設ける予定です。読書や学びの場、コミュニティの集いの場としての機能の実現を目指します。全く新しい神保町本店を誕生させるまで、あくなき探求心を持って未来の書店像を模索してまいります。

■新しい神保町本店のコンセプトは「Entrance to the World」

私達が新しい神保町本店の未来予想図を描くために最初に着手したのが、コンセプトづくりでした。この先も100年続く書店の姿を想像し議論を繰り返しながら「Entrance to the World」という言葉にたどり着きました。本は様々な世界を知るきっかけとなります。知りたい情報だけでなく予期せぬ発見があり、その発見が次の新しい世界へと導いてくれます。私共の神保町本店は世界一の本の街、神田神保町の一丁目一番地に店舗を構えてまいりました。そんな私たちが作る新しい店舗は、並んだ本を眺めるだけで世界を見渡せる、そして気の向くままに歩くだけで世界のかたちが見えてくる、「世界の入り口(Entrance to the World)」の役割を果たします。探している本が見つけられる網羅性を担保しつつ、思わぬ出会いである偶然性を演出すべく、「ETWチーム」一丸となってプロジェクトに取り組んでまいります。

■地域社会への貢献

新しい神保町本店のリニューアルは、地域社会にも大きな影響をもたらします。神保町は書店街として知られ、多くの書店や古書店が集まるエリアです。そして、神保町本店の周辺には楽器・レコード店が集まる御茶ノ水エリアやスポーツ用品が集まる神田小川町エリア、そして多くのお客様の舌を唸らせる飲食店など、魅力的なコンテンツが数多存在します。本はそういった街の特色との親和性が抜群です。新神保町本店のオープンにより多くの本好きのお客様が集まり、周辺地域への「Entrance」の役割を果たすことができれば地域経済の活性化にも貢献できると思います。また地域の文化イベントとの連携を深め、地元の文化発展の拠点としての役割も担ってゆきたいと考えております。

■おわりに

リニューアルに対する皆様のご理解とご協力に心より感謝いたします。現在、工事は順調に進行しており、2026年春頃の完成を目指しています。建設現場では、安全管理を徹底しつつ、工事が予定通り進むよう努めています。新しい三省堂書店神保町本店は、伝統と革新が融合した施設として、多くの方々に愛される場所となることを目指しています。今後とも、変わらぬご支援、ご期待を賜りますようお願い申し上げます。完成を心待ちにしつ
つ、皆様と新しい本店でお会いできる日を楽しみにしています。

株式会社三省堂書店
代表取締役社長 亀井 崇雄

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