〜CL出場を祝う勝利と得点王に輝いた男〜 22/5/22 《プレミアリーグ21-22 第38節》 ノリッジ vs トッテナム レビュー
こんにちは。えつしです。
今回は、プレミアリーグ21-22第38節、ノリッジ対トッテナムの試合をレビュー。
いよいよ今季も最終節。スパーズは引き分け以上でCL出場が決まる状況。CL出場権の行方は如何に。。
1. スタメン
・ノリッジ
クルル
アーロンズ-バイラム-ハンリー-ソーレンセン-ヤヌリス
ダウェル-ノルマン-レス=メル-ラシツァ
プッキ
36’ バイラム⇄ツィマーマン
61’ ダウェル⇄スプリンゲット
71’ レス=メル⇄ルップ
直近のウォルヴァーハンプトン戦からガン、ギブソン、ギルモアに代えてクルル、ソーレンセン、ラシツァを起用した〔5-4-1〕。
・スパーズ
ロリス
サンチェス-ダイアー-デイビス
エメルソン-ホイビィア-ベンタンクール-セセニョン
クルゼフスキ-ソン
ケイン
68’ クルゼフスキ⇄モウラ
73’ ベンタンクール⇄ウィンクス、エメルソン⇄ベルフワイン
直近のバーンリー戦からモウラに代えてクルゼフスキを起用した〔3-4-2-1〕。
タンガンガ、スキップ、ドハティー、レギロン、ロメロが欠場。
2. 振り返り
降格が決定し、かかっているものがないノリッジに対して、スパーズは自力でCL出場を決めるためには引き分け以上の結果が必要とされる試合であり、対戦相手の状況を見ても、CL出場権を争うアーセナルと比べるとかなり楽な条件ではある。
試合はその予想通り、〔5-4-1〕での撤退守備を敢行するノリッジに対してスパーズが多くの時間ボールを保持して主導権を握る展開となった。
ノリッジはワントップのプッキの周り、中盤ライン4枚の前のフロントスペースを管理する意識が低く、ホイビィア、ベンタンクールの2ボランチにボールが入ったときのプッキのプレスバック、レス=メル、ノルマンの寄せが甘い。それによってスパーズはボランチのところで前を向いて縦パスを狙うことができていた。
それが見事に形となったのが15分26秒の1点目。
プッキの横で前向きでボールを受けたベンタンクールからボランチ間の門を通してライン間のソンへ。ソンにバイラムが食いつき、空いたスペースにベンタンクールが走り込む。ソンの落としを受けたホイビィアからDFライン裏へのロブパスが出て、ベンタンクールのナイストラップからゴール前でパスを受けたクルゼフスキが落ち着いてシュートを流し込んだ。
ベンタンクールのパスを出しただけで終わらずにそのままランニングに移行した動きをうまく活かせたゴールだった。
点を入れられてからもノリッジのスタンスは基本的に変わらない。逆にスパーズ側には、ホイビィアがデイビスの位置に降り、デイビスを左の大外に押し出してそこから斜めのボールでライン間のソンへのパスを入れようとする動きが増えた。
ノリッジも28分にはラシツァがサンチェスにプレッシングにいくことで全体を押し上げてのミドルプレスを見せたものの、やはりWBの押し上げやCBの寄せのタイトさなど、強度の部分で物足りなさは感じたし、継続してスパーズの保持に制限をかけることはできない。
そして、31分。ノリッジ陣深いところからのヤヌリスのスローイン。ソーレンセンへのスローインにクルゼフスキがプレッシングし、それに合わせてチーム全体で陣形を押し上げる。クルゼフスキがバックパスを受けたクルルまで追い、クルルの不用意なノルマンへのパスをベンタンクールがダイレクトでケインへのクロスに。ケインがダイビングヘッドでボールを流し込んでゴール。31分24秒に2点目を決める。
2失点後、さすがのノリッジもスパーズのバックラインへの圧力を強め、〔3-4-3〕の形でハイプレスを敢行するが、ロングボールを蹴らせた後のセカンドボールを拾えなかったり、WBの縦スライドが遅くプレス回避されてしまったり。
ノリッジの攻撃の糸口はサイドに流れてボールを受けるプッキやサイドチェンジから早めに入れるクロスなど。しかしファイナルサードでのパスの質やクロスの質が伴わず、思うように決定機は作れず。
試合の大勢は変わることなく、スパーズの2点リードで前半が終了する。
後半も特に変わったことはなく、〔5-4-1〕で構えるノリッジを相手にスパーズが安定した保持を見せる展開が続く。
前半よりは〔3-4-3〕でスパーズの並びに噛み合わせにいく形のプレスでボールを奪える場面が増えたノリッジだったが、奪ってからの速攻で点を取ろうとする気配はなく、一度ボールを保持するフェーズに移行してからの工夫も特に見られず。
63分35秒にクルゼフスキが持ち前のフィジカルとキック技術を存分に発揮したカットインシュートを決めてスパーズに3点目。
CL出場権獲得がほぼ確実となった状況の中、チームは明らかにソンの得点王獲得を意識したプレーになっており、何度も決定機を外していたソンだったがチームメイトの思いに応える得点を69分39秒に決めて4点リード。
73分には負傷のベンタンクールに代えてウィンクス、エメルソンに代えてベルフワインを投入し、モウラを右WBで起用する余裕も。
そのモウラの右コーナーフラッグ付近からのフリーキックから、ツィマーマンのクリアをソンが拾い、PA外からのスーパーショットで74分55秒に5点目を決め、大量得点の末に試合終了。
CL出場権に加え、サラーと同率ではあるもののソンの得点王も獲得し、シーズンを最高の形で締めくくる勝利となった。
3. 感想、総括
引き分けでもCLへの切符が手に入るという条件下でこの試合をスタートしたスパーズからすると、ノリッジが〔5-4-1〕でのリトリートという戦い方を選択してくれたことはありがたかった。ブロックの前でボールを持つホイビィアやベンタンクールに対するケアが甘く、楽にボールを保持する中で自分たちのタイミングで縦パスを入れて攻勢に出ることができるのだから。
ノリッジが〔3-4-3〕嵌めにきたタイミングでも、相手のマークが甘ければワンタッチでボランチの間を通してライン間につけてしまうベンタンクールの冷静さが光っていたし、ファイナルサードでの前線の選手の力も大いに見せつけ、CL出場を祝うに相応しい試合だった。
4. おわりに
シーズン序盤は全く持って想像もしていなかったCL出場。
コンテの語る通り、彼がやってきた段階ではCL出場権獲得が現実的な順位ではありませんでしたし、コンテ就任後も紆余曲折あり、周りが転けてくれたことにも助けられての目標達成でしたが、コーチングスタッフ、選手共に本当によくやってくれたと思います。
個人的にも、コンテがスパーズをCLに導いたこの7ヶ月間、さらに失意のどん底に落ちていた10月までの期間も含め、なんとか1シーズンレビューを続けることができ、多少なりとも皆さんの試合観戦の楽しみを増やすことができて光栄です。
このレビューも含め、投稿ペース、クオリティが異常に落ちた期間もありましたが、それでも暖かいコメント、アドバイスをくださったり、拡散、評価をしてくださったり、何よりいつも長ったらしい文章を飽きずに読んでくださった皆さんのおかげでゴールすることができました。本当にありがとうございました。
来季のレビューに関してはどうなるか未定ですが、今夏はかなり期待ができそうですし、まずは全くの専門外である夏の移籍市場を楽しみたいと思います。
ここまで読んでくださってありがとうございました。